第5話 真相と転生
可愛い声が創造神様との会話に割って入る。
「もー、ちょっと待って。創造神ってば。」
創造神様があからさまに嫌そうな顔を割り込んできた神に向ける。
「ちゃんと伝えないと分かってないわよ。この子。」
今までこのやり取りをずっと傍で見守っていた、僕のお気に入りの超可愛い愛神様と癒神様が間に入ってきた。
(いや、声も喋り方も可愛いなおい。最高かよ。)
「優くん。よく聞いてね。実はね。優くんの妹ちゃんの件だけど、この口下手な創造神様が妹ちゃんの身体から病魔を優くんの身体に移植したの。だから、妹ちゃんはいきなり元気になって、直後に優くんが突然病気になったの。」
「え!?」
衝撃の事実。ここに来てから1番の衝撃と言っても過言ではない。普通に、これは先に伝えて欲しい。
「そう…だったんですか。」
(え、じゃあ、麻理奈の命の恩人って創造神様...!?僕はさっきまで、妹の命の恩人になんてことを…そして僕が治してあげれたわけじゃないのか。ちくしょう…悔しいな。自分の力で助けることができたって勘違いしてたのかよ。)
「そうそう。私たちからすれば、対象者の命だけ刈り取ってくれば問題ないから、妹ちゃんはそのままに優ちゃんだけをサクッと刈り取って連れてくることもできたのよ。というか、普通は手間をかけたくないし、対象者の命だけ刈り取るのよ。」
「それじゃ、創造神様は…」
自分の愚かさに落ち込む。さっきまで喚いていた自分が情けなくてたまらない。
そんな落ち込みモードの僕の目の前に、その行動1つで僕を元気にしてくれる愛神様と癒神様がいた。
愛神様と癒神様は、ふふんと自慢げに胸を張ってドヤァしている。
超可愛い。あと色々とチラチラ見えてる。何がとは言わない。
(女神様、とにかく最高です。本当に色んな意味でありがとうございます!!!!)
神様らしく無機質な雰囲気を頑張って出していたらしい創造神様がため息をついた。
「お前らさ、そういうこと言うなよ。神ってのはな、全部語らず、大事なことは雰囲気で語るもんなんだよ。」
愛神様と癒神様にバラされてことで若干恥ずかしそうな、バツの悪そうな感じで頬を指で掻きながら話す。
すぐさま愛神様と癒神様が容赦なくつっこむ。
「いやそれふつーに迷惑だし。」
「・・・・・」
ちょっと状況が不利になった創造神様は、僕をさっさと異世界へ行くようにと誘導する。
「そろそろ出発してもらうとしようか!安全に育ってもらうためにも、お前は異世界では良い感じの貴族の下に送る予定だ。」
「貴族!?僕ただの庶民なんで、礼儀作法とかいろいろまったく分からないですが!?」
(というか、良い感じの貴族ってなんだ!雑だな!)
「安心しろ。貴族制もお前のいた世界とは色々と異なる。別の世界なのでな。元の世界ではなく、行った世界に合った振る舞いを身に付ければよいだけだ。ちなみに、嫡男として産まれる予定になっている。」
(あれ?今しれっと産まれるって言った?)
「え?ちょっと待って、嫡男って?というか産まれるって?」
「あ、もう時間がないな!では、また会おう!」
「ちょ…」
遠のく意識の中、愛神様と癒神様の優しい声が聞こえた。
(安心して!貴方には10柱の恩寵を授けているわ。だから大丈夫よ。)
<次回予告>
物語は次のステージへ
無の世界
おぎゃー
元アラサー
美女のアレをアレしてアレ
ルミナス大国
異世界に送られた男は、これから何をなすのか。
次回
回復魔法を極めて始める異世界冒険譚
第1章 運命の出会いと回復魔法
第1話
二度目の誕生