第3話 ノエルのステータス
ニコニコと満面の笑みでノエルを呼ぶ創造神。
ノエルは心の中で、まったく可愛いやつめ!
とか思いながら言われるがまま創造神の近くまで行く。
「創造新様。もしかして、今から教えてくれるんですか?」
ドスッ!
「ゴフッ…」
ノエルの口から鮮血が散る。
ノエルの左胸を創造神の右腕が貫いていた。
「ガハッ…」
無言でノエルの左胸から右腕を引き抜く創造神。
ドサッ。
ノエルの胸に穴が開く。
膝をついて床に倒れる。
頭にロザリンヌの泣き顔がチラつく。
(死ねない。僕は、まだ死ねないんだ。ロザリンヌが待ってるってのに。死んでたまるかっ…!)
ノエルは穴の開いた自分の胸に向けて回復魔法を発動し死から逃れようと足掻く。
ドスッ!
「ガフッ・・・・・・」
創造神は左手でノエルの右胸を貫いた。
床に広がる夥しい量の鮮血。
倒れて動かないノエル。
そして勢いよく左腕を引き抜く。
ノエルはピクリとも動かなくなった。
完全に死んでしまった。
沈黙。
創造神が息絶えたノエルを覗き込むように確認している。
「ハッハッハ。よし!バッチリだな。癒神ー!宜しく頼む。」
創造神は満足そうに笑っている。
「もー!バカ!」
癒神が急いでノエルに再生魔法を施す。
ノエルの傷が全て治っていく。
ガバッ!傷が治ると同時に意識も回復したノエルは、素早く飛び起きて臨戦態勢に入る。
「はっ!!はぁはぁはぁ…どういうつもりだ?」
「ん?」
創造神はノエルに向かってキラーン☆と、サムズアップをした。
「ノエル。創造魔法、もう使えるだろ?」
(は?何言ってんだこいつ…って)
「え?ほんとだ分かる、なんだこれ…って!ええええええー!?」
ノエルの頭には創造魔法の知識が全て記憶されていた。
だが驚いたのはそこじゃない。
いや、そこでもあるが、それどころじゃない。
背中から自分の魔力でできた大きな白銀の翼が6枚も生えていたのだ。
「なにこれ。いったいなんなのこれ。」
ノエルはパニックになっていた。
そんなノエルに創造神は優しく説明をしてあげるのだった。
「人間が創造魔法を完璧に使いこなすには、少し神に近づく必要がある。創造魔法を使うために神に近づく手っ取り早い方法は、創造魔法を使う神によって右胸と左胸をそれぞれ反対の神の腕で背中の肩甲骨まで貫かれ、一度死亡し、生き返る事だからだ。」
「待ってください。じゃあ僕はいま神様になったってことですか!?」
「いいや。違う。人は神にはなれない。神と人間の中間って感じだ。」
(最悪だ。神礼の儀の途中で種族として大幅にランクアップしてしまった。僕のステータスについて国王陛下や父上、母上にどう説明すればいいんだ…)
ノエルは俯いて黙りこくってしまった。
「よし!もう大幅に時間オーバーだ。またな!ノエル!」
良い事したぜ!って感じで、創造神は晴れやかな笑顔で手を振っている。
宝玉から発せられた光が次第に収束していく。
そして上方にノエルのステータスを映し出す。
(あーあ。終わった。)
「これは…!」
〈ステータス〉
――閲覧権限なし――
国王陛下が大きく眼を見開く。
「なんだ、これは。」
陛下が不機嫌な声でつぶやく。
大司教がパニックになる。
「へへへへへ、陛下!!!わ、私もこのような表示は見たことがございませぬ!!!」
ノエルも驚きのあまり硬直する。
(もしかして人間と神様の間の存在に昇格したから、人間には僕のステータスを見ることができなくなったってこと!?)
「創造神様、まじグッジョブ。」
ノエルは小声で独り言をこぼした。
「む。ノエル。創造神様がなんだって?」
(ひっ!地獄耳すぎだろ!)
「いえ!!!何でもございません!!!」
ノエルを訝しげに一瞥し、国王陛下が言う。
「何かのトラブルか。前代未聞の事態であるが、見れぬのならば仕方がない!ノエル。王国に戻り、王国騎士団の団長と副団長そして王国魔法士団の団長と副団長の計4人と闘ってもらう。敗れれば王国騎士団と王国魔法士団にて計50年職務にあたれ。勝てた場合は自由の身とする。」
「そんな!!!陛下!どうか僕を返してください!待ってる人がいるんです!」
「男がつべこべ言うな。行くぞ。」
ノエルは国王陛下に王国まで連行されていくのだった。
ステータスが隠されたことによって余計に面倒なことになったのは言うまでもない。
(待ってよ!こんなの八方塞がりにも程がある!!!)
<次回予告>
連行
創造魔法
そっ閉じ
美女は正義
断固としてお断り
王都に連行される男は、一体どうなってしまうのか。
次回
回復魔法を極めて始める異世界冒険譚
第2章 激闘の王都と新たな旅立ち
第4話
王都への連行




