第2話 神々との邂逅
目を開けると辺り一面が真っ白い謎の空間にいた。
「なんだここ。何もないし、誰もいない…」
(我ながら、国民的月9ドラマの最終回のような号泣逝去シーンだったのに、普通に肉体も意識もあって恥ずい。)
この謎の空間は神聖な感じがしつつも、静けさだけが存在している。
少し不気味に感じ、少し歩いて周りを確認してみようとした瞬間――。
閃光が走り視界が白一色で覆いつくされた。
「うわっ!!!」
しばらくして視覚が戻り、再び目を開けると、目の前に10人の神々しい存在が立っていた。
「・・・・・・」
(は?いやいやいや…え?)
正直、めちゃくちゃ焦った。高齢のおじいちゃんのような見た目の人もいれば、壮年のイケオジみたいな見た目の人もいる。
それだけならまだいい。だが、絶世の美女と言っても差し支えない、というか絶世の美女そのものです。
そんな女性がほぼ半裸のようなファッションで立ってこっちを向いているのである。
(おいおい…視界が晴れたと思ったら不意打ち大サービスですよ。視界と同時に僕の別の何かも腫れちゃうよ。)
生涯恋人のいなかった僕にとってこの10人の中の女性陣はいささか刺激の強い姿だった。心拍数が上がりすぎて息が苦しい。
一番視覚的に無害な真ん中に立っているサンタクロースのようなステキなお髭を生やしたマッチョな半裸の男性に視点を固定した。
(それにしても全員なんか神々しすぎない?服の布が発光してる。光の光芒が、ふわーってすごいんだが。あ。)
そして冷静になって、見つめあって数秒、この沈黙の間に確信した――この方々は神様であると。
そう認識した瞬間に真ん中に立っているサンタクロースのようなステキなお髭を生やしたマッチョな半裸の男性…
(長いので便宜上、サンタマッチョと呼ぶことにする。)
そう心の中で決めた直後。サンタマッチョが話かけてきて、少し話をした。
「よく来てくれた!君のような良い男を待っていたんだよ。ちょっと相談があるんだがいいかい?」
(いや思ったよりフレンドリーだな神。それでいいのか?)
「あ、はい。こちらこそお会いできて光栄です?ちょっと何が起きているのか全く分らずでして…その相談事の前に、まず何がどうなっているのかお聞きしてもよろしいでしょうか?」
(何の説明もなしにいきなり神からの相談事って怖すぎだろ。ガクブルしちゃうよお兄ちゃん。)
「おお!それもそうだな。すまんすまん。まぁ、見ての通り、我々は神だ。私は創造神で、他の9柱はそれぞれ破壊神、太陽神、大海神、天空神、大地神、光神、闇神、愛神、癒神と全員で10柱いる。」
「すごい…マジで神様に会える日が来るとは…」
(素直に感動してしまう。)
「ちなみに、光闇愛癒の4柱が女神である。お前がさっきからチラチラ見ているピンクの髪の女神が愛神で、グリーンの髪の女神が癒神だ。」
「ぶっー!!!」
(おい!チラチラ見てるとか言うな!いや見てたけど!だってホラ…ね?女神可愛いすぎるって。)
愛神様と癒神様が僕に向かって微笑みながらとてもお上品に手を振ってくる。
(めちゃくちゃ恥ずかしい。穴があったら入りたい。でもマジで可愛いから手振ってもらえただけでもヨシ。)
そして、想像通り彼らは神様だった。礼儀を欠いてはならないと思い、すぐさま姿勢を正す。神様に向かって正座をし首を垂れる。
そう、神様に対しては礼儀を尽くさねばならないのである。完全にクールジャパンカルチャーからの入れ知恵である。
やっぱり、チラ見してるのがバレていたことに対してなんだかんだ動揺してしまう。
(とりあえず、ヘンタイだと思われちゃおしまいだ。まず、神々の紹介をいただいた事にお礼を言わなくては…)
どうにか取り繕うことに必死だ。
「やはり神様だったのですね!大変失礼いたしました。教えていただいてありがとうございます創造神様。すでに僕は死んだと思いますが、なぜここに僕がいるのか、そしてなぜ神様とお会いしているのか。」
「うむ!それが本題なんだがな!月城優よ。」
「はい!」
「いい返事だな!では言うぞ!」
(いや早く言えよ。)
「はい!」
「ちょっと異世界いってみない?」
「はい?」
さっき死んだばっかりなのに、これから異世界にいくことになってしまった。
<次回予告>
近所のコンビニ
剣と魔法
山積みの問題
代行者
神の恩寵
異世界転生を告げられた男は、いま何を思うのか。
次回
回復魔法を極めて始める異世界冒険譚
プロローグ 死と転生
第3話
神々の言葉