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回復魔法を極めて始める異世界冒険譚~神々に祝福されし代行者の旅路~  作者: かぷちーの
第1章 運命の出会いと回復魔法
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第9話 ノエルとロザリンヌ

 ロザリンヌのいる客間のドアの前に立つノエル。


(さっき、何か食べ物を持ってくると言って出ていった手前、手ぶらで帰ってくるのはいかがなものか。まぁ、ロベールにお願いしてきたし、そういう感じで堂々と入室して説明しよう。うん。)


 コンコン、ガチャ。ノックをして客間のドアを間髪入れず開けるノエル。


 ドアを開けると、そこには非常に布地の少ない状態でこっちを見ている美少女さんがいた。


「ひゃぁっ!!!!!!!」


 またもや耳まで真っ赤にしながら、あまりの出来事に声にならない叫び声を上げるロザリンヌ。


 すごい速さでベッドから布団を取り、布団で全身をくるむ。どうやらお着替え中だったようだ。


(僕、やらかしすぎ…)


「ご、ごめん!着替え終わったら教えてくださひ!」


 バタン!急いでドアを閉めるノエル。子ども同士とはいえ、お着替えシーンを見てしまった。すごく気まずい。


 コンコン。数分して、ドアが内側から小さくノックされた。


「の…ノエルくん。ドアの向こうに居ますか?着替え終わったのでもう入っても大丈夫ですっ。」


 ガチャ。ドアを開けたら天使が待っていた。


 真っ白いワンピースに所々ポイントであしらったレース、フリル、そして赤いリボンが…


(いや可愛すぎだろ死ぬわ。)


「あ…えーっと、さっきはごめん!今度から気を付けるから!」


「あ、うん。私も鍵かけてなくて、びっくりしちゃって、ごめんなさい。」


 ごめんなさいキャッチボールにより、ちょっと気まずい空気が流れている。


(長年、妹を相手にしていた僕。こういう時は、相手を褒めて空気を変えるに限る!)


「そ、その服すごく似合ってて、めっちゃ可愛い。ドア開けたら可愛くてびっくりした。」


「ふぇ!?あああああありがとう…」


 ロザリンヌはまたまた耳まで真っ赤にして、目をそらしてしまった。


(あー、ドキドキし過ぎて死にそう。キュン死にってやつかこれが。)


 しばらく経ってもロザリンヌがもじもじしていたので、美味しい物を手配したことを伝えて話題を変える。


「そうだ!伝え忘れてた。さっき、うちの執事に体の温まる甘くて美味しい物を持ってくるようにお願いしたから、たぶん後20分くらいしたら来るとおもう。きっと美味しいから、一緒に食べよう。」


「わぁ...!ノエルくん。ありがとう!私、甘いもの大好き!嬉しい。」


 温かくて甘くて美味しい物が食べれるをの楽しみにワクワクしているロザリンヌの笑顔は眩しすぎた。


 神々の登場の際の閃光を彷彿とさせるほどの目くらまし効果がある。


(あの時は必至で気にする余裕もなかったけど、これはマジで一目惚れです。異世界ありがとう。)


 ロベールが食べ物を持ってきてくれるまでの間、ロザリンヌとたくさん話をした。


 分かったことがいくつかある。


 ロザリンヌの一族は、フェアリースターの名を家名に持ち、森の奥で妖精たちを一緒に森を管理しながら暮らしていて、あの森はフェアリースターの森と呼ばれているということ。


 あのジンや凶悪な魔物などはフェアリースターの森から遥か北に行ったニブルヘイムの森という場所に生息しており、今までその森から出てきたことは無かったという。


 その森にはジンが雑魚に感じられるくらいに恐ろしい気配を放つ存在もいるのだとか。


 ロザリンヌは森を歩けるくらいに元気になったら、フェアリースターの森にいって、死んでしまった村のみんなの慰霊碑を建てたいそうだ。


 たぶん生き残ったのはロザリンヌだけだと思うとのこと。もちろん僕も手伝おうと思う。


(絶対に僕がロザリンヌを守ってみせる。)


 コンコン。いろいろ話をしていると20分なんて時間は一瞬で過ぎ、食べ物を繕ってきたロベールが部屋のドアをノックした。


「はい。入って大丈夫だよ。」


「ノエルお坊ちゃまの大好きな美少女殿のために気合を入れて作って参りましたよ。」


「えっ...!?」


 ロザリンヌはまたまた赤くなって俯いて固まってしまった。


「ちょ!ロベールさん!余計な事を言うんじゃない!あと美少女じゃなくてロザリンヌだ。今後からは名前で呼んであげて。」


「かしこまりました。お名前を知らなかったもので、失礼いたしました。ロザリンヌお嬢様でございますね。」


(いや、失礼しましたって言うのそこかい!)


 手際よく、ロベールがパンケーキと紅茶を配膳する。いつ見ても無駄のない洗練された動きは素晴らしい。


「ロベールさん。ありがとう。ロザリンヌさん。紅茶はストレートが好き?それともミルクティーがいい?砂糖はいる?」


「あああの!わ、私は、ミルクティーがしゅきです…甘いの好きです。」


 完全にさっきの件で、動揺している。ロベールが余計な事いうから…。


(変に避けられたらお前のせいだからな、泣くぞまじで。)


「ロベールさん。ミルクティーでお願い。甘めで。」


「かしこまりました。ノエルお坊ちゃま。」


 温かい甘々ミルクティーを飲んで少し落ち着きを取り戻したロザリンヌは、ついにバターと蜂蜜で黄金に輝くパンケーキに手を付けようとしていた...!


「はむっ…!わぁ…これ、すっごく美味しいです…!甘くてふわふわで…こんなに美味しいパンケーキは初めてです!」


 全身からキラキラの幸せオーラを出しながらパンケーキをもっちもっちと食べるロザリンヌを見て僕も幸せな気分になった。


 食事が終わった後もしばらくロザリンヌと2人で歓談していたのだが、そんな幸せな時間はすぐに終わりを迎えた。


「ゴホッゴホッ…うっ…」


「ロザリンヌ!大丈夫!?」


「ノエルくん…ゲホッゲホッ…」


 ロザリンヌは吐血し倒れてしまった。


<次回予告>


諦めない


回復魔法


命に代えても守る


真っ白い魔力


輝く右目


一目惚れした男は、少女を救うことができるのか。


次回


回復魔法を極めて始める異世界冒険譚


第1章 運命の出会いと回復魔法


第10話


ノエルと回復魔法

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