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こんなことを言いたくはないけれど、世の中には手出ししたらダメなことがあるって親に教わらなかった?

今日3話目です。いつもと違う時間に投稿しています。

あと、今日は誤字報告をたくさん頂きました。ありがとうございます。

お楽しみ頂けると幸いです。

しばらくもしないうちに色々と見えてきた。一番に目を惹くのは海の巨大戦艦とも言えるような要塞だ。車輪もついているが接地面がキャタピラだから陸上であれば割とどこにでも移動出来るんだろう。

あんなデカいものが存在しているなんて驚くどころではない。改めてここが現実離れした世界であることを感じる。正にゲーム(かアニメ)の世界って感じがする。ホシモノはアニメにはなってなかったけど。


大きさで言えば野球ドーム1つ分といったところかな。何を動力としているのか聞いてみたいものだ。想像するのは容易いけど。

現状は動いていないのか、何かあって止まっているのだろうか。どこかに周囲を警戒しているだろうから無防備に近づくのは危険か。高度を落として進む。

もうそろそろリセルを見つけてもおかしくないはずと思うが見当たらない。地上から近づけるように、闇魔法を使う。鎮静などに効果がある闇を纏って気配を消して走る。


多少開けたところがあったので隠れて様子を見てみる。気になったのは火が半球状になっていた。火の精霊ではあそこまで大きくて高音な炎の半球を維持できるだろうか。火の大精霊がも持っているのか。

だとすると中にいるのはリセルの可能性が高い。半球の周囲には何人かの人影が取り囲んでいるのが見える。たぶん無関係ではないだろう。目指すところはあそこらしい。


少し目立つ登場にするか。高く跳躍すると、何段か高く跳び周囲に響く大声で叫ぶ。


「多連氷槍!!」


一応まだ敵と確定したわけでは無いから当たらないように、ただ半球からは離れるように狙って打ち込む。俺の声が聞こえたのもあってか慌てて回避行動に移っている。元から当たらないようにしてるけどね。

囲んでいた者たち、地面に刺さった氷槍、俺、火の半球という図式になるように着地する。着地前には半球の中が見えたため囲んでいたやつらには目もくれず、火の半球の中にあるものを確認する。


「リセル!リセル!!大丈夫なのか!」


何度も呼ぶが反応は無い。火の半球は魔力依存というよりは物理的な炎のようだ。かなりの高音を発していて、近づくのが躊躇われるくらいには熱い。

火の半球の中にはいつも連れている精霊たちも守るように浮かんでいたが、色が薄い。リセルが気絶しているからかMPが供給されなくて力が消える寸前なんだろう。

この中もかなり熱いはずだが、水と氷の精霊が光っているから精霊の間で魔力を譲り合ってなんとか保護しているのだろう。言葉もない。何か音がすると思ったら自分の奥歯を噛みしめる音だった。


「おい!リセル!返事しろって!」


精霊たちがまだ付いているってことは死んではいないんはず。どう見ても口元には血が付いているし、服装もボロボロ、俺の張った結界も消えている。

今のリセルをここまでにするのは中々に出来ることではない。何がどうなってここまでのことが出来るのかは分からないが、自分がすべきことは分かる。


氷魔法を左腕に全力で使って氷漬けにする。細胞が壊死しないことを祈る。火の半球にそのまま突っ込むと右手でアイテムボックスを操作し、左手の延長線上でリセルの近くに各種ポーションを出す。

おまけに半球内を無魔法を使用して魔力を大量に放出する。これで精霊も少しは補充できるはずだ。リセルに比べたら効率が悪すぎるけど、この様子を見るとしないよりはマシだ。

精霊が少しでも元気になれば、リセルにポーションを飲ませるか患部に振りかけることくらいは出来るだろうし、熱さからの防御も持続させることが可能だろう。


「あとは頼む」


聞こえたかは怪しいが、精霊たちも返事してくれたように思う。次に俺がすることはこの炎を消すことだ。

状況から考えて火の大精霊が張り続けているのだろう。守るべきリセルがダメージを負いかねない防御手段は褒められたものでは無いが、それほどまでに危険だったと思うことにしよう。

あとは俺たちにとっての危険物を取り除けば良い訳だ。神獣を相手するかもと思っていたことを考えると簡単なお仕事だね。


自分でもポーションを取り出して一口飲む。残りは直接左腕に振りかける。途中まで痛かったが、何も感じなくなっていた腕が徐々に回復していく。


むしろ治る時の方が痛い!痛いって!!歯を食いしばってガマンする。


凍傷と火傷と色々と負っていたが、なんとか回復する。さすがはメディさん印のポーションだ。質が良い。もっと研究しようと思う。痛い…。


「さてと、この中のは俺の身内でね。話を聞かせてもらいたいんだけどいいかな。誰に話せばいいんだろうか」


気が付けば氷槍からこちらへと入ってきていたが、俺の珍プレイを見守ってくれていたようだ。銃はこちらに向いている。


体格は様々だが、その装備は見覚えがある。ゲームの中だけどね。でも登場するのって99年後じゃないの?それにそんな巨大戦艦があるなんて話は聞いた事すらないんですけどね。

ここにいるのは装備から判断すると一番下の戦闘員と1つ上の小隊長クラスだけか。それでも俺を攻撃するって判断くらいは出来ないとまずいんじゃないのかな。


誰も反応してくれないから、爆弾情報を1つ投げてみることにする。


「他にも聞いてみたいことがあるんだよ。二千年前の過去の文明を現代にまで遺している方法とかさ。あのクソみたいな思想を持つアスゲラ・ビグ・ミグトベイ皇帝陛下の命でも受けてるのか?」


仮面で表情は見えなくても全員が面白いくらいに動揺している。今言ったのはホシモノのラスボスの名前だ。過去の文明が災害で滅びそうになった時に自分たちだけは生き残るようにと意地汚く策を弄した。特に自分だけは仮死状態にして厳重に生き残るようにしていた。

本編が始まる前にデテゴの孫が掘り起こして体を乗っ取り、三大国に数えられるほどの強国にした後に世界征服しようとしラスボスとなって立ちはだかる男の名前だ。まあ過去の世界でも皇帝兼研究者らしく、頭は良いらしい。代わりに倫理観と品性は無い。


過去に栄えたのは現在残ってるよりも遥かに高度な文明とされているからこんなに巨大な移動要塞はそれ関係以外に考えられない。


クソみたいな思想ってのは、自分たちの国の関係者以外は甚振って良い、他国の人間は我々の奴隷になることが至上の喜びだそうだ。

ホシモノの特性上何周かすることが前提だから、本編のキャラは殺しても何の罪悪感も感じないようにと作られた設定だ。どのセリフを取っても癇に障る。実際に結構な数の国を滅ぼして併合してるし、王国魔国相手の戦争もやらかしている。NPCだけどかなりの数の人を殺す予定だ。

現実にいることを考えると、関係者は丸ごとラスボスも復活前に闇に葬るのが世のためだな。よし、これもこの人生の目的に決めた。どこかは知らないけど探し出して復活できないようにしよう。


理由はシンプルでいいでしょ。


あの装置はこいつらくらいの科学技術が無いと実現不可能だし、火の大精霊が敵対してるっぽいし、何よりやつらがリセルに危害を加えたようだ。

ここまで囲んでおいて無関係ですってことは無いだろう。あ~、やっぱり何も聞かずに倒しても文句は誰にも言われないか。言わせなければ良いだけだし。


そんなときに甲高い男の声が聞こえてきた。こちらにズカズカと近づいてきている。


「何をしている!さっさと連れてこないか!奴隷にして遊べないではないか!」


あ~。何を連れて行きたいんですかね。手が痛かったので見てみると拳を強く握り過ぎて手の皮が破れてしまったようだ。MPがもったいないけど『手当』で癒す。

深呼吸して頭を冷やす。少なくてもリセルを追い込むだけの武器があるんだ。油断したら俺もやられなくても大ダメージを受ける可能性がある。


「何て言った?」


自分が思っているよりも低い声が出た。


「む!また新たな奴隷候補者か!貴様は男か、つまらん!さっさと殺してしまえ!」


敵、確定。

お読みいただきありがとうございました。

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