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自分の成長だけではなくて周囲の成長を手助けするのも楽しそうではある

お楽しみ頂けると幸いです。

「まあ今日はこんなものか。中魔石は少ないけどまた来ればいいし」


アイテムボックスに収納し終わって手に入れた数を確認する。火山の麓に来るまでに移動で一日必要だったけど、次からは『空間接続』で一瞬で来ることが出来る。

最初はリセルがどこまで検討できるかだから麓付近に設定しておく。地面に露出しておくと怖いので埋めて、壊されることの無いように隠してある。


火山は獣人の村からも来ないだけあって魔物たちだけの楽園状態になっていた。食料問題など魔物がどうやって生きているのかは知らないが、俺を見たら襲い掛かって来てくれるので手間が省けた。

シンボルエンカウントだとなぜかめっちゃ寄ってくるもんな。同じ理屈だと思うことにしよう。周囲に何も近くにないことを確認する。


「じゃあ帰るか。『空間接続』」


変に何かを連れ帰ってしまうと危ないから自分が通るときは特に注意が必要だ。これは慣れない方が良いだろうな。


戻ると目の前で作業をしていたフレンドビーたちが手を止めてビシッと敬礼をしてくれる。これも慣れたくないな。


「ただいま。出迎えてくれてありがとう。作業がんばってね。無理しないように」


昨日も同じことを言った気がするが、毎日可能な限り言うことを決めた。リセルの家の扉をノックしたが返事が無い。今日は誰もいないのかなと中に入ろうとしたところで、後ろから声をかけられる。


「イレブン様お戻りしたとお聞きして出迎えに参りました」


万花と毎果だった。さっき出迎えてくれたフレンドビーたちが知らせてくれたんだろう。少し荒い万花の鼻息が急いで移動してきたことを知らせてくれる。毎果は相変わらずの無表情で控えている。


「今日はリセルさんの訓練がまだ続いておりまして、まだ中には誰もおりません」

「そうなんだ。今日は長いんだね」

「はい。リセル様の動きが良くなったことが私にも見て分かるほどです」

「さすがだねぇ。俺も見に行こうかな」

「では、ご案内いたしますね!」


いつもの広場なら知ってるけどなとは思ったけれど、案内してくれると言うならついて行こう。


「万花も眷属養蜂のスキルには慣れた?」

「はい!疲労なく使えるようになってきました。使っていればよりうまく使えるとのことですので繰り返し使うようにもしています

「スキルレベルが低いのにここまでの働きが出来るんだからすごいスキルだと思うよ。村周りの農業と外回りとか巣の手入れと3つの部隊に別れてるんだっけ?」

「あとは薙刀の戦闘探索部隊ですね」

「そうだった」


忘れていたわけでは無いけど、思ったよりも蜂たちの仕事が多いな。


「必要以上の数を作るとなると管理も大変だろうし、量を増やすのではなくてより質を引き出す方向のイメージをしても良いかもね」

「質、ですか」

「そうそう。例えば今は獣人たちに守ってもらってるし、戦闘探索部隊の戦闘力もあるけど守備が固いとは言わないだろう?戦闘特化とか、農作業特化とか何かそういうのが生まれても良いかもしれないよね」

「なるほど!では数が揃い次第その方向で考えてみます。現状で生き残っている者たちを強化する方向も考えておきます」

「お願いね。それと、今の言い方だと少しは犠牲になる子たちもいるの?」

「それは…はい。やはり我々は弱い生き物ですから。薙刀も目の前で守れなかったことがあり、可能な時間を使って戦闘訓練を行っています」


そっか。少しこれは放置しすぎたな。


「分かった。明日は…あ~無理か。明後日は戦闘探索部隊の訓練を俺が請け負うよ。そう伝えておいてくれる?だから明日は戦闘探索部隊の数が減ってしまうような仕事はなるべく無しで。明日一日くらいハチミツを取りにいかなくても大丈夫かな?」

「それは大丈夫ですが。イレブン様の手を煩わせることは…」

「いやいや。テイムしたら本来は全て面倒を見るものだよ。自由にしてもらって構わないけど、それは放置していて良いってことでもないし。困ってることがあったら俺が解決しないと」


それでも納得できなかったのかどういえば良いか万花が困っている。毎果の表情は変わらないな。何考えているか分からないとも言うけど。


「じゃあ命令だ。なるべくなら戦力は多くあってほしい。そのために鍛えるんだ。俺のためだよ」

「かしこまりました」


その一言で納得するんかい。慣れね~。なんで俺がこんなに偉そうにしないといけないんだ。もう少し気安くっていうのは少し前に言ったしな。仲良くなることを目標にしようか。


「それで?万花と毎果はどう?」

「私は毎果ががんばってくれているので、私の出来ることを増やしたいと考えています。五本指を得ましたし、体も大きくなったので自分のことは自分でしています。毎果はイヤな顔をしますけど」

「本来ならそのようなことは私の仕事ですから。本来女王として存在していた方が生活の雑事など」

「でも毎果は新しい子たちの指導で手一杯でしょう?」

「情けない限りでございます」


毎果が頭を下げる。責任感が強すぎる。


「情けなくないって。今数を増やしているところなんだから。万花、それぞれの部隊に良い子がいたら優先して強化してあげなよ。責任者を増やそう。もしくは毎果の補佐とか」

「そう致します。でも私も自分のできることは自分でする生活は変えるつもりはありませんよ?」

「さっき命令って言っておいてなんだけど。俺はあんまり上下関係を付けたくは無いんだ。相談して決めてくれ。あ~、でも」


ふとメディさんの店で3人がワイワイ言いながら『調合』をしていたのを思い出す。


「相手に敬意を持っていても一緒に作業は出来るし、一緒に何かするのは楽しいと思うぞ」

「そうです!毎果一緒に行いましょう!」

「は、はぁっ!?」


おう、毎果の表情が崩れた。できたら同じ大きさの薙刀も含めて仲良くやってくれ。

結論が出たところでちょうど広場に着いた。


「リセルはどんな感じなのかな?」


巡視隊の休みの人に相手をしてもらっているから、毎日違う相手みたいだけど、今日でスキルの感覚が噛み合ったみたいだな。

動きから固さが取れてる。自分の得た力を行使することにためらうことはなくなったみたいだ。体術の基礎はひとまずはこれで大丈夫かな。


「そこまで!」

「ありがとうございました!」

「リセル様強くなった~!」


周囲からの称賛を受けて照れ笑いをしている。確かに動きは良くなった。相手が手加減してくれているのはあっても段違いの成長だ。


「でも獣人の動きとは少し違うのよ」

「あれはイレブンの動きっすね~。いつも見てるからっすね」


気付くと横になんか好き勝手言っているやつがいた。


「ならお前の目にも焼きつけてやろうか」

「いや~それは勘弁っす。それに反論できないと思うんすけど?」

「私もそう思うのよ~」

「そんなに俺が戦うところは見せてないと思うんだけどな」

「少ない機会で覚えたんだと思うっすよ」


そういうものか。この2日のがんばりは特に良いしな。決意が後押ししている感じだ。


「獣人の動き、『爪牙獣術』だっけ?それは身に付けさせなくて良いの?」

「あれは肉食動物の獣人が身に付けるものっすからね。リセル様にはいいんじゃないっすか?どう見ても後衛タイプっすよ。イレブンの思うように鍛えてあげてくださいっす」

「分かった。そしたら次は『精霊魔法』の出力を上げていく練習でもしてもらうか」


その前に明日一日くらいはリセルも休みにしても良いかな。好きにしてもらうなら俺がいなくても大丈夫だろう。明後日からリセル、薙刀たちもまとめて鍛えていくことにしようか。


「イレブン見てたか!」

「ああ、見てたよ。俺の動きを真似したんだな」

「そうだよ。少しはマネできてたか?」

「まだ足りて無いところもあるけどな」

「ぐ…。だってイレブンはかなり格闘術の上の方まで身に付けているからだろう?」

「そうだ。だから次は真似じゃなくて、俺にも出来ないことを出来るようにしていこう。その前準備として明日は休みな」

「休み?」

「後衛の訓練もしていこうか。格闘術に関しては今度から俺も相手してやるよ」

「分かった。頼む!」


リセルに薙刀に戦闘探索部隊の強化育成か。後進の育成をするのも楽しみといえば楽しみかな

お読みいただきありがとうございました。

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