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再会の蜂娘たちの農業革命、と下剋上?…それは元からか

お楽しみ頂けると幸いです。


「みんな~ただいま~!」

「リセル様お帰りなさい」

「お久しぶりです!」


リセルは歓迎を受けているようで何よりだ。そんなにひさしぶりって程でも無いはずなんだけど。


「主殿、ご無事は分かってはいましたが、またお目通りさせていただけて恐悦至極でございます」

「硬いよ!もっとゆるくていいから!」

「そうでしたか?失礼しました!……毎果、違っていたようですよ?」

「いえ、主様もそうは言っても喜んでいるはずです」

「そうでしょうか?」

「間違いございません」

「聞こえてるからな!喜んでないからな!」


2人とも秘密につもりでコソコソと話していたみたいだが全て丸聞こえだ。テイムしてすぐに離れてしまったからだろうか。これから修正していかねばなるまい。


「イレブン、その子たちがフレンドビーから進化した子たち?」

「ああ、そうだよ。こっちの黄色の髪が万花で、こっちの黒髪が毎果だ。薙刀や他のフレンドビーたちも紹介したいんだけど」

「はい。薙刀は戦える者たちの訓練と探索を兼ねて森の中にまだ見ない植物を探しに出ております。他の者たちは蜜を集めるためにはたらいております」

「じゃあ、帰ってきたら挨拶しておこうか」


まだ昼過ぎってところだからな。俺との話くらいで手を止めさせるのも悪いし、良いタイミングを見計らせてもらおう。


「いえ!何よりも優先して呼び戻しています」

「え?いやいや。あとで良いよ。別にテイムしたからって敬われたいわけじゃないしさ」

「そんなわけにも参りません。新参の者たちに命の恩人にまず人目だけでもお目通りさせていただきたいのです」


テイムってこんな効果だっただろうか。あまりの圧力に圧し負けた。

とりあえず新しい巣はリセルの家の近くに作ったそうなのでそちらへと移動して見せてもらう。


「私たちと最初に生み出したフレンドビーたちとは体の大きさが違っていたので、勝手ながらリセルさんの家を使わせていただいています」

「かまわないよ。でもサイズ合わなくて大変じゃなかった?」

「いえ、ミケンダさんがたちが体の大きさにあう家具を作っていただけたので、特に不都合はございません」

「小さい家具ってかわいい感じだね。ちょっと見てみたいかも」


リセルよ。お前そこに興味を持つのか。意外に可愛いもの好きだったとは。まあ俺が持つよりは見た目の暴力感は無いからいいか。

なぜか一瞬で打ち解けてしまったので、交流を見守ってリセルの家に着く。


「結構巣は大きくなってきたのかな?」

「はい。まずは今いる者たちからだけでもご挨拶をさせていただきます。皆!


万花がパンパンと手を叩くとフレンドビーたちが巣から順々に飛び出してきたあとにビシッと整列。編隊を組んで曲芸のように飛んでまわったあと、整列し胸に右手を当てて静止した。

それって兵士さん達がやってた挨拶だね。なんで知ってるの?驚いて固まっているとリセルに脇をつつかれた。そちらを見ると、万花を見ろと声に出さずに言われた。

言われた通りに見てみると、どうですか!?褒めてください!と言わんばかりの表情をしている。毎果は…無表情で目も伏せてるから分からん。


「す、すごいね」

「はい!ありがとうございます!」


再度、万花が手を叩くと敬礼の姿勢をやめたが、飛んでいる状態とはいえたぶん人間でいうところの直立姿勢みたいな感じになっている。統率感がすごいな。だが、そんな他人事で考えている場合ではなかった。


「何かお言葉を頂けますか?」


いきなりのお言葉ちょうだいだった。いや、テイムってそんなのじゃなかったはずだろう!?しかし、お願いされてしまって断れる雰囲気でもなさそうだ。


「え~っと、はじめまして。イレブンと言います。いつも働いてくれてありがとう。これからもよろしくね」


無言で全蜂が、再度敬礼の姿勢を取るとそのままじっとしている。


「ではこれにて終了です。各自の分担に戻って良いですよ」


万花がそう言うと一斉に散っていった。なんかハイタッチしてるやつとかいたけど、フレンドビーってそんなのだったっけ?

戦闘探索をしてる薙刀の部隊がどうなってるのか見るのも怖いんだけど。


「しかし、この村はかなり植物が育てやすいです。主殿も色々とご入用かと思いまして、手を尽くしてみました。それについては毎果から」

「では僭越ながら私の方からご報告をさせていただきます」


今までは万花の左斜め後ろに控えていた毎果が前に出てきた。


「主様は色々と我々の作る蜜だけでなく、食料も御入用かと思われます。こちらの村の方々にも非常に助けて頂いたことも含めまして微力を尽くさせていただきました。ご案内いたしますのでご足労頂いてもよろしいでしょうか」

「分かった。ついて行くよ」


先導されるがままについて行く。途中でミケンダがいたので捕まえておく。


「思ったのと違う方向になってるんだけど、どういうことだ?」

「知らないっすよ!イレブンがテイムした子たちでしょうが!でも助かってますよ。食料生産が助かってるっす。不思議なことにオイラも考えるのはやめたっす」

「ちょっと待て。どういうことだよ!?なぜ目を逸らす!?」


ついて行きつつも少し毎果から目を逸らしたのがダメだった。


「こちらをご覧ください」

「……わ~。すっげぇ……」


そこは魔力草を育てるために作った畑だった。まだ成長途中のようだけど、畑には新しい魔力草が育てられていた。さっきのフレンドビーたちが飛び回って世話をしてくれている。

そして畑の隣には同じように開墾されたのであろう畑が出来上がっている。畝ごとに野菜を育てているようだが、すでにもうすぐ収穫できそうっておかしくない?まだ万花たちを置いていって数日だよね?


「獣人の方々の中には肉ではなく野菜を好む方々がおられましたので、種を頂戴し栽培いたしました。生育状況に関しては私の方で手を加えさせていただきました。最初でしたので大きく手がけましたが、次はまた別の切り口で育てて参ります」


淡々と報告してくれるのは良いけど、既にとんでもないことしてくれてるよ?まだこれ以上に何かするつもりか。


「いかがでしょうか」


評価ね。さっきと同じ圧力を感じるよ。


「うん。すごいと思う。この調子でがんばって」

「ありがとうございます。励みにさせていただきます。ちなみにショウガとレッドチソンは育てております。他にも必要であればお申し付けください」

「わかった」

「マジで農業革命っすよ。イレブンに手伝ってもらった魔力草も早く育ったけど、毎果さんのはそれ以上っす」

「そうだな。一大農業地になりそうだね」


一応聞いておく。ここの土が良かったこともあるのかな。毎果のおかげ?毎果がいればどこでもこうできるのかな?できるの?それなら良かった。こっちの話だからまた必要になったときにお願いするよ。

ザールさんに色々と種とか苗でももらってこようかな。植物も地面から離れてたり、収穫すればアイテムボックスに入るしな。


「主殿、薙刀が帰還いたしました」


思った以上に有能なフレンドビーたちに驚かされているところに、薙刀たちが帰ってきたらしい。万花が手で示している方を見ると薙刀が先頭でにっこにこしながらこちらに飛んできている。


「主~、おひさしぶふぇっ!!」

「えええぇぇぇぇぇ!?」

「薙刀…その口の聞き方は何ですかぁ~?」


毎果の右ストレートが薙刀の顔面に突き刺さった~~~!!錐揉み状に回転しながら地面に激突、そのまま滑っていった~!

結局のところ、戦闘が可能なのは薙刀だけで少しだけレベルも上がっている。万花、毎果はサポート専門だな。毎果が薙刀に一撃を加えられたのは『矯正指導』のスキルみたいだ。効果は名前の通り、指導が必要な者に対して矯正するまで一時的に上位の存在となる、らしい。こんなスキル知らんわ!!


しばらく、他の人たちと一方向を見ずに待機する。そろそろ昼ご飯を食べたいけど、そうもいかない。


「ひっく、ご帰還のお出迎えが、ひっく、出来ずに申し訳ありません」

「構わないよ。外に行ってたんだからな。気にするな~。だから毎果も少し大目に見てやってくれな」

「かしこまりました。では、見えないところで指導いたします」

「違う!かなり曲解してるから!」


薙刀が本気で怯えて俺の後ろに隠れたから。あっ、戦闘探索部隊も一緒に後ろに隠れてる!戦闘専門よりも強いってなんなんだ…。

お読みいただきありがとうございました。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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