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平穏に過ごすためには

少しずつPVが増えて嬉しいです!評価とかブクマとかも良ければお願いします。やる気に変換してがんばれています!それではお楽しみ頂けると幸いです。

「あまり手荒なことはしたくないんでな。もう一度」

「聞かれても同じだよ。自分が大事にしてるものを、寄越せって言われて差し出す人たちですか?」

「この状況でよく吠えられるな。じゃあ商談と行こう」


いや、それもどう考えても成立しないだろうよ。俺が誰かに譲る意思を見せてないんだから。


「金貨5枚でどうだ?」

「ええ!?金貨!」

「リセル、落ち着いて」


お金について学んだばかりのリセルには実際に見せられた金貨は刺激が強かったようだ。ザールさんのところで俺の金銭感覚とすり合わせたけど、銅貨1枚がたぶん100円くらいの価値がある。

扱う金属が変わるたびに価値は100倍になるそうで銀貨が1万円、金貨は100万円だ。その上に白金貨があるが、1枚で1億円だそうだから見ることは無いだろう。


「金貨だってすごいね!」

「うん、まあそうかな」

「交換してあげるの?」

「冗談!リセル、今後のために言っておく。このかばんはいくらお金を積まれても売らない。マジックバッグはそれだけ価値が高いんだ。覚えておいてくれ」

「分かった」


まあ本当はカバン自体はいくらでも交換して構わないんだけど。あとから文句言われてもイヤだし、こんなお金の稼ぎ方も気に入らないし。


「聞いてたでしょ。交渉は不成立だよ」

「じゃあやはり力づくか。悪いな、俺も命令でね」

「ふ~ん、別の町から来た人たち?それとも貴族かな?」


今のこの街にいる有力者はザールさんを知っているだろうから、それを知らない人だとすると別の町から来た人としか思えないんだが。


「あんまり立ち入ったことは聞くもんじゃねぇよ。最後だ、おとなしく寄越せ」

「無理です」

「残念だ。やれ…!?」


先程購入したばかりの武器をカバンから一斉に出して、『念動魔法』で囲んでいた男たちの喉元に突き付ける。


「俺が武器をたくさん購入していることは知っていたんでしょ?こういう可能性も考えられるよね?」

「武器っていきなり現れもしないし、浮いたりもしないと思うよ?」

「『念動魔法』ってどんな使い道あるか考えてたんだけど、この使い方が一番だよな。おまけに強めに使うと振動するから切れ味も上がるんだぜ?ちょっとこれは夢が広がると思わない?」


武器の練習以外にもやってみたいと思っていたことだ。早速試して見れたことに胸が熱い!だけどリセルとは共有できなかったようだ。すごく冷めた目をされている。


「いや、ぼくには分からないよ…」

「ちっ!ロマンの分からんやつめ!」


デテゴあたりなら分かってくれるだろうか。


「それでこの人たちはどうするの?」

「あ~。どうしよう。恐喝の上に強盗未遂、これで引き取ってくれるのかな」

「ザールさん…はいそがしいよね?」

「ふつうに憲兵に突き出して信じてもらえるのかな。デテゴも日によっては帰ってくるのが遅い場合もあるし」


話している間に逃げようとしたやつが1人出たけど、そのままにしておく。逃げられないから。でもリセルが気が付いた。ちゃんと周りが見えているのは良いね。


「あっ!逃げた!」

「捕まってたまるかよ!」


他の男たちも逃げようとした瞬間。


ガンッ!


一番最初に逃げ出した男が何も無いところで何かに当たって鼻血を出してあおむけに倒れる。それを見てまたも固まる男たち。


「結界設置してあるよ。ついでに罰ね」


喉元に突き付けるのはイメージとして剣や槍といった刃物のイメージだ。倒れた人間に有効なのは、鈍器でしょう。殴打する部分を金属で覆った省資源の木槌を取り出して投げる。しばらくはそのまま回転する。

途中から不自然に回転が速くなって、自然と飛んでいく方向が変わる。結界に衝突して倒れている男に向かって。


鼻血は出しているものの意識はあった男も周囲のざわめきと視線を追うことで気が付く。


「自ら逃げたらどうなるかの実験台になってくれるなんで良い人だね。当然だけど、頭くらい簡単に吹っ飛ぶからね」


そう言われて逃げない者はいないだろうことは分かっている。わざとやっているのだから。結界まで再度下がり、それ以上下がれないことが分かると何とか止めようと声を上げようとするが声も聞こえない。風魔法で遮断した。


「そっち側からの声は聞こえないようにしたんだ。俺の声は届くけどね。音って空気の振動だから風を操るとこんなことも出来るんだよ。便利でしょ?じゃあね」


そして男の頭部には衝撃が加わり、何かが壊れる音が響いた。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「こいつらがカバンを奪おうとしてきたゴロツキか」

「はい。引き取ってもらえます?」

「まあ、他ならぬイレブン殿だからな」


素直に憲兵の詰め所まで連行した。逃げたらどうなるか分かっている男たちは自前のロープでお互いに結んでいき、最後の一人だけ俺が同じように捕縛した。

このときはまだ人通りの少ないところだったから武器をその辺に浮かべていた。待つ間に暇だったから色々と動かす練習もしてみた。縦回転、横回転、前後に上下左右と人数が少なかったから楽だったけど、複雑な動きは慣れが必要というのが結論だ


場所が分からなかったので、男たちに道案内させた。まあ犯罪者が自ら先導して自首するという不思議な光景が見れた。芝居なら笑える話だけど、現実だとものすごく不思議に見られた。

対応してくれたのは、貫禄溢れるおじさんだ。かなり良い年の取り方をしたオジサンだ。結構強いと思う。デテゴの方が強いとは思うけど。


「で、殿ってなんですか?」

「ザールやデテゴと知り合いなんだろう?侮っていい少年じゃないってことくらいはこの街に昔からいる人間はわかってるさ。最初はただ面倒を見ているだけかと思っていたけどな」


ふむふむ。ということは2人の名前に守られている部分も大きい訳か。いつまでもそれは悪いなぁ。


「とはいえ、これだけ目立つことをやったんだから良い悪いに関わらず名が広まるんじゃないか?」

「良い方で広まるように努力します」

「そうしてくれ。あと聞いておきたいのは一人だけ頭に大きな衝撃を喰らったような跡がついている者がいたが?」

「あれは、木槌の柄で思い切り叩いたら柄が破裂する威力だったのでああなりました」

「キミを捕まえようと思ったら全滅覚悟でかかる必要がありそうだな」


さすがにあの回転で重い部分の攻撃を加えると死ぬ。過剰防衛だから木の部分で攻撃したんだけど、まさかここまで跡が残るとは。びっくりしたね。リセルの罰ゲームポーションが3つ、また役目を果たしたよ。作成者の目の前で使ったから今後また何かやってくれるだろう。


そこに兵士さんが一人近寄ってきて、ビシッと敬礼をしながら報告を行った。


「隊長!取り調べの準備、整いました!」

「ご苦労。事情を知っていそうな者は私が行おう」

「はっ!」


再度敬礼をして去って行った。ここの敬礼は右手を拳にして、胸に当てるのか。鎧に当たって音がするくらいに叩いてたよ。かっこよかったけどさ。


「というわけで急ぎの仕事が入った。分かったことがあればまたキミの耳に入るように情報を伝えよう」

「ありがとうございます。隊長さんだったんですね。わざわざありがとうございます」

「気にするな!悪童二人が気に入った少年が見たかっただけだ!」


笑いながら去って行った。悪童…、聞いてみたいような、どちらかというと酒を飲めるようになってから聞いた方が面白そうかな。少しガマンしておこう。


「じゃあ今度こそ帰るか」

「お~」

「楽しめたか?」

「そうだね!楽しかったよ!」


なら良かった。

一応報告しておこうとメディさんの店に行ったら、休憩中のザールさんはこの捕り物について既に知っていて対策を考えてくれていた。


「イレブン君の顔を周知するしかないですね」

「あんまり有名にはなりたくないんですけど…」

「そうばかりも言っていられません。今回は単に名を上げたいチンピラが取り上げようとしただけでしたが、今後貴族の耳にでも入れば面倒なことになります」

「そうですわね。良からぬ使い方などいくらでも出来ます。一財産隠しておいたり、禁じられているものの隠し場所だったり、武器を隠しておくことも出来ますし」


聞いていたサティさんも輪の中に入ってアドバイスをしてくれた。


「それこそ無名の子どもなら殺して奪おうと考える輩が出てきてもおかしくありません」

「えぇ…」

「更にそれがマジックバッグではなく、『アイテムボックス』だということがバレれば更に囲い込みが発生するでしょう」

「例えばどんな~?」


自分のことではないからとリセルは半分笑いながら聞いてくる。デコピンでもしてやろうか。


「そうですね。一番簡単なのは年頃の娘と婚約させてしまうことでしょうか」

「え」

「貴族ですからね。結婚を武器に使うことは当たり前のことですわね」

「あたしはそういうのはイヤだねぇ」

「そうだよ!だめだよ!」


メディさんがイヤがったが、リセルもイヤらしい。俺もそういうのはイヤだな。


「でも、わたくしのように婚約してから愛が芽生えるということもありますよ?」

「それは確かにそうですね」

「おっと、ということはイレブン君は容認派ですか?」

「そうなの!?」

「そういうことになってみないと分かりませんよ。女性とお付き合いしたことも無いですし。想像できません。リセル近い。離れろ」


リセルの頭を掴んで少し遠ざける。


「この話はここまでにして戻しましょう。だから、貴族が手出しできないくらいになれば良いわけです。金級冒険者になれば下手に手を出されませんよ」

「それはわたくしを見てもらえれば納得いただけるかと思いますけど」

「サティさんも元貴族ですし。まあ手出ししたら損すると思わせれば良いんですね?」

「簡単に言えば」


だったらとんでもなく暴れてやろうか。自分が犯罪者になるのはダメか。じゃあ手っ取り早く上を目指すか。それと同時並行で色々と力を証明すれば良いか。


「武闘大会ってあります?」

「ありますよ。王都の闘技場で。まだ少し先ですが」

「じゃあそれ出ます。ソロとパーティの両方で。ついでにその時に昇格試験も受けられるように昇格ポイント貯めましょうかね」


これからいそがしくなりそうだな!

お読みいただきありがとうございました。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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