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ごちそうさま

お楽しみ頂けると幸いです。

「は~。ごめんね、イレブン」

「落ち着いてくれたようで何よりだよ」


なんとか女将さんという今までで最強のボスはなんとか退散させることに成功した。魔石が大量に必要だったところに俺が持っていたから感極まったという説明を何とか信じてもらえた。

リセルも肯定しなかったら確実にあのこん棒の餌食になってたな。あれは防御を貫通してきそうな感じがしたよ。一撃で瀕死に追い込まれる予感がした。引退したのかもしれないけど気配がとんでもなかった。サティさんよりも確実に上だった。

絶対に女将さんには逆らわないようにしよう。冗談抜きで絶対だ。


落ち着け。それよりもリセルだ。


「とりあえず、どうする?今は特にお金に困ってないし、小魔石を換金するよりも換金効率の良いものはいくらでもある。全部持って行っても良いぞ」

「それなら『料理』を色々と習ってるけど、基礎はもう終わりそうなんだ。あとはいろいろな料理を回数作ったら良いって言われた」

「だからあんなにたくさん作ってたのか」

「そういうこと」


多少冷めていた物もあったが、元から冷たい料理や保存の利きそうなものやスープなど大量に料理が作られていたのでアイテムボックスに収納していた。


「いろいろ作れるようになったから後は自分で考えて作れって言われたよ。料理は基本的に閃きだってさ」

「母親が言いそうなセリフだな。その方がホッとする味になってそうだけど」

「そう…なのかな。うん、そうかもね」


「で、魔石はどうする?」

「魔石だね。『調合』も明日か明後日には始めたいし、少しだけ残しておきたいかな」

「じゃあ100個は残しとくか。じゃあ、小魔石の残りは579個だな。さっきはいくつ触ったんだ?」


もう一度アイテムボックスを開いて数を確認しながら収納していく。


「10個かな」

「それなら小魔石1つにつき経験値は100だな。条件がしっかりと整ったら俺のレベルなんてすぐに追い抜かれるかもしれないな」

「そうなの?」


すっかり期待あふれる顔で見てくる。泣いた後ってスッキリするって言うもんな。


「俺じゃなくて別の誰かからもらっても良いならすぐだと思うぞ。明日メディさんに協力してもらって少し実験してみよう。育成は条件をしっかり把握することが重要だぞ」

「条件?」

「そうだ。例えば中魔石も1つ試してみようぜ」


リセルの経験値取得に関して、今のところ分かった条件を整理するとこうだ。


・魔石は何でもOK

・魔石によって得られる経験値は固定されている(小魔石の経験値は100、中魔石だと400)

・リセルが直接触ることで魔石を失うが、同時に経験値を得ている

・経験値テーブルは恐らく俺と同じ(要するにレベルアップに必要な経験値は多い)


確かめておきたい条件はこんなところか。


・俺が手に入れた魔石が条件なのか、俺が渡すことが条件なのか

・誰が手に入れた魔石でも良いのか。極端な話、買ったものでも問題無いのか

・渡すのが他の人物でも良いなら誰でも良いのか。友人なら良いのか、見知らぬ人でも良いのか

・時間や場所は関係あるのか

・経験値取得は戦闘中に可能か

・レベルアップも戦闘中に可能か


「簡単に思いつくだけでもこんなところかな。戦闘中まで確かめなくても良いだろうけどさ。でも事情が分かっていて、なおかつ秘密にしてくれる人のところでやった方が良いから明日確かめてみよう」

「分かった。じゃあもう一回ステータス見せて」

「はいはい」


まあステータス上がったときとか見てるだけで楽しいよな。表示させてそのまま見せておく。

リセルの場合はステータス全体というよりもレベルが1じゃないことに喜びを感じているようだ。


「スキルレベルも上げて!」

「了解了解」


まあ少しは乗ってあげよう。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「それで、もう『調合』まで取得してきたのか」

「はい。まだ何もできないでしょうからご指導お願いします」

「イレブンみたいに何でも最初から出来るよりは教え甲斐があるよ」


こめかみを揉みながら言われてしまった。さすがにリセルも料理は村でも多少はやっていたから良いけど。


「『調合』は今までやったことないです!見たこともないです!」

「分かった分かった。基本的な説明から考え方とか教えてやるよ。レシピやら何やらは料理よりも覚えることが多いぞ」

「がんばります!」


うんうん。頼むぞ~。リセルが『調合』が出来るようになったら、俺は材料調達やらいろいろと体が浮くからやれることが増えるぞ。ぜひがんばってくれ。とはいえ、まだ俺がSPポーションを作る必要がある。さて、やるか。


「俺からもよろしくお願いします。それで、俺も今日はSPポーション作成させてもらいたいんですけど」

「好きにしな。ゼリーにするのはリセルにやらせればいいんだろ?」

「それでお願いします」

「とりあえずは料理の練習!ぼくもがんばるよ~!」


午前はそれぞれの活動に取り組んだ。リセルもゼリーに関しては教わることが無かったのできちんと作業に徹している。

俺の方が作る量は多いが、出来た分はとりあえずアイテムボックスに収納しておく。アイテムボックス超便利!


そして昼食だ。いつもなら簡単に済ませるが、今日はメディさんが作ってくれるのもあって少ししっかり目に頂く。

俺とリセルは思う存分作業に打ち込んだから満足したが、メディさんは既に疲れ果てていた。店の方にお客さんが来たらその対応もしているからね。滅多に来ないけど。

ちなみに今日は俺がいるからサティさんはデテゴと休みを合わせてお出かけだ。


「しかし、魔石でレベルアップねぇ」

「そうなんですよ。こういうのを聞くのはザールさんの方が良いかもしれないですけど、何か聞いたことあります?」

「な~んにもないね」

「「即答…」」

「知らないもんは知らないよ」


確かに。そんなキャラがいたら育成が面倒で仕方ない。何かしたの使い道はあるのだ。そういうものだと割り切れば良いが、そうでなければ育成するかどうかの天秤に乗せる。

メディさん協力してもらって分かったことは、こうだ。


・俺が手に入れた魔石ならメディさんが渡しても経験値になる。

・店にあった魔石はそのままでは俺が渡してもダメだったけど、俺が買い取ってからだったらどっちが渡してもOKだった。


俺が介在する必要があることが分かった。ただ、俺がお構いなしに魔石を買い取っていくと大量になるので、それは最後の手段にしようと思う。ということは小魔石にも使い道が出来たわけだ。

遠慮なくダンジョンで活動することが出来る。食材の宝庫以外にこの辺りにダンジョンは無いそうだから、しばらくはあそこだ。状況が整うまではいいか。


「スキルポイントってやつは便利だな」

「結局練習は必要ですけどね」

「それでもさ。1時間あればリセルの上達も見れば分かるレベルで上手になってる。あたしもあやかってみたいもんだよ」


リセルが俺のステータスに表示された理由が分からない以上、スキルポイントの操作は出来ない。何したかってなっても抱っこして運んだくらいしか思い当たることはない。

メディさんには出来ない。許可が出たとしても無理だ。まあ本気でやってほしいとは思ってないみたいだから大丈夫だと思いたいけど。


「さて、昼からもお前らは同じ作業するんだろう?」

「使い切るつもりでやりますよ」


少し厳しいけどやろうと思えばできる。最初に無くなるのはやはり魔力草だ。明日は獣人の村に行ってみないとな。


「待って待って。ぼくもSPポーション作ってみたいから少し残しておいてほしい」

「そうか?そうだな。少し残すか」


『調薬』ができるようになってからの方が良いけど、それらで練習を終えた上で最終目標があった方がやる気になるか。

魔力草も使い切らずに他のポーションの練習に残した方が良さそうかな。時間があれば少しだけでも自分で採取に行ってもいいかな。少しくらいはあるだろうし。


「まあ好きなように使おう。足りなければ取りに行くよ」

「ありがとう!」

「はいはい。ごちそうさん」


そうか。昼ご飯食べ終わってたしそろそろ午後の活動を始めますか。


「そうですね」

「そうだね」


何かを言うことも無く、それぞれが手を合わせた。


「「ごちそうさまでした」」

「意味が違うよ…」


ん?どう違うんだ?分からなかったので、聞いても教えてもらえなかった。今回ばかりはリセルと首をひねった。

お読みいただきありがとうございました。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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