表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/335

レベルアップ

今日もありがとうございます。

昨日も1000PVを超えてました。やった~。

それではお楽しみ頂けると幸いです。

「突きは足から地面からのエネルギーを吸い上げて体の捻りと共に相手にぶつける感じです。腕だけではなくて体全体を使うんです。そうです、そんな感じです」


「むやみに数を打つのではなくて一回ずつを丁寧にしてください。違います。無理にゆっくりするのではなくて、自分のできる自然なはやさでやってみてください」


「左右交互が難しければ、どちらか片方からで良いとは思います。でも最終的には左右どちらでも可能なようにしておいた方が良いと思いますよ。いや、何となくですけど…」


「集中して行えば最終的には体力勝負です。走り込みも良いでしょうけど、泳ぐのもたまには良いかと思いますよ」


「何してんだ、お前」

「デテゴ!遅いよ!」

「いや、兵士相手に何やってんだよ」


今日の指導相手だろう新人冒険者を連れたデテゴが戻ってきていた。案内してくれた年配の兵士さんは苦笑している。


「待ち時間があったから少し鍛錬してたんだよ。そしたら」

「あ~、分かった。お前は良かれと思ってやったんだな」

「まあ暇だったし、街の外で出来ることなんて限られるからさ。もう少しで休憩時間終わるらしいからもう少し待っててよ。これ今日のリストね。その間に見ててよ」


今日のリストを渡すとそれをデテゴが見るのを確認したら一度兵士さん達のところへと戻る。だから気が付かなかった。ついでに一緒にいた新人さんたちも横からのぞき込んでいたことに。


「お前らが見たら自信無くすぞ」

「……もう無くしました」

「この量を何?」

「あの子がソロで『食材の宝庫』に行ったんですよね?」

「そうだ。規格外だから気にするな。評価に繋がることをしてこなかったから実力と評価が一致してないだけだ。あと、イレブン!」


何か会話をしていたようだが、デテゴが大きな声で呼んでいる。


「休憩時間は休憩する時間だ!疲れた状態で終わったら兵士が働けないぞ!」


確かに、全く持ってその通りだ。体や腕の部分の鎧は外しているとはいえ、脚部が付けたままだ。かなり疲れやすいみたいで息も絶え絶えだ。


「この辺りにしておきましょうか。ただ踏み込みは攻撃の基本なので武器を扱うときも意識するとかなり違うんでやってみてください」


小声で、感謝の言葉を頂いてしまった。いいことを出来たかな?俺が離れた後に、今まで笑って見ていた兵士長さんが厳しい口調で「鍛錬のやり直しだ!」と言っていたので大変なことになるみたいだ。

俺のせいかな。ごめんなさい。合掌して頭を下げることで謝罪を示しておく。


デテゴに合流すると、兵士さんに借りたペンで納品すべきものに印と数を指定してくれていた。


「この数を出せば良いの?」

「あぁ。十分だ。数は合計で10くらいになるようにすれば良い。あとは何か依頼書に書いてあるものや納品するときに聞かれたものを出せば良いぞ」


そうするとめちゃくちゃ肉が余るな。肉はさすがに食用以外に使い道が無いぞ。贅沢に肥料にでもするのか?いや、それは無いな。う~ん、メディさんに渡すくらいしかないか。


「あと、お前『威圧』覚えたか?」

「えっ?」

「兵士の鍛錬中に少し発動してたぞ。兵士たちがあんなに消耗してるのは実力差があって、お前の威圧に圧されたからさ。体が強張ってしまったんだろうな。兵士長が怒るのも無理は無い」

「マジで?」


本当に無意識だったな。教えるって言ったら厳しくしかされたことなかったから、少しキリッとして言おうとしてただけなんだけどな。あわよくば手合わせしてもらおうかと思ったけど、あんまり強くなさそうだったから俺の思う基礎中の基礎しか教えてないし。


「いまさらお前に噓なんて言わねぇよ。」

「そういうからには本当なんだね。悪いことしたかな」

「人生何でも経験だよ。お前らもはやく戻るぞ~」

「なんであの人たちも暗くなってるの?デテゴも教えるの厳しいんじゃないの?」

「あれもお前の被害者だよ」

「なんで!?」


俺は誰かに絡むと落ち込ませるかのような呪いにかかっているのか?


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


話を聞くとデテゴが今日担当していた3人は新人というよりはその前段階、木級冒険者だった。鉄級の前にその実力にも満たさない子どもに割り振られるランクだそうだ。

街中の雑用をこなしてもらうことが多いが、マジメに依頼を成功で積み重ねていること、年齢を考えると戦闘訓練を積みたいということでデテゴに鍛えてもらっているそうだ。

組合に申し込めば格安で鍛えてもらうことができるらしいが、そんなことをする引退冒険者なんて滅多にいない。サティさんだって討伐系を受けない代わりに半永久的な護衛依頼を受けることにしたくらいだし。


「デテゴが色んな意味で都合良い男ってことだ」

「いきなり人聞きの悪い言い方でなんだ」

「べつに」


俺も都合よく依頼のチェックしてもらったしな。納品の量を納めると朝に絡んできた女性も黙らせることは出来た。目はまだ何か言いたそうだったけど。

納品係の人がこっそりと組合長からも怒られてるからもう絡まれることはないはずと教えてくれた。あとは今後必要になりそうなものをいくつか教えてくれた。次にダンジョンに行くのがいつかは分からないが、アイテムボックス内にはあるので散歩ついでに納品だけしに来ても良い。


いつものようにメディさんの店にお邪魔していつものように夕食をごちそうになる。肉もリクエストしてもらったものをいくつかおすそ分けしてきた。

宿に帰ったら晩ご飯を食べないことを理由に宿賃を下げられた。お金だけをもらうわけにはいかないとのことだ。食べなかった料金も概算だが宿代に付け替えてくれた。

手数料として肉を渡したら、全部ではないにしてもそれも宿代に還元されてしまった。十分に優しくしてもらっているが、やはりこの女将さんは人が良すぎる。感謝した。

まあでもお世話になっているのならこれくらいは当たり前かな。食べきれないほど肉があるんだし。そうなってくるとお金を持つ意味が無くなってくるな。物々交換で生きていけそうだ。


部屋に戻ったらリセルもいくらかスキルポイントが増えるようにがんばって飲み食いしていたのでとりあえず今あるスキルを上げることにした。

必要ポイントを確認しながらしっかり割り振っておいた。


「『反射』と『精霊魔法』以外はこれで最高だな。ちょうどスキルポイントもゼロだ」

「じゃあ次は『調合』でお願いね」

「取得しているやつは使わなさそうでも上げておいた方が良いぞ?」


リセルはスキルレベルを限界まで上げきらなくても1でもあれば派生スキルは発生する。1では無しのころと比べてほんの少ししか効果が無いから出来る限り上げる方が良いんだが。


「まだ戦闘はしないだろうから別に良いよ」

「そういうなら良いけど。ああ、そうだ。小魔石がめちゃくちゃ余ったんだよ。リセルもほしいか?」

「『調合』をするようになったら必要になるんだよね?じゃあもらっておこうかな。でもここで出されてもたくさんは持って行けないよ?」

「確かに」


どうやってリセルが持って行くのか。さっきメディさんの店に置いてくれば良かったかな。それとも高いらしいけど専用のマジックバッグでも買おうかな。でも強くも無いのに持っていたら危険だよな。


「でもそんなにたくさんなら見てみたいかな」


考え込んでいただけなのに気を使ってくれたみたいだ。見かけは子どもなのにいいやつだな。


「了解」


そう言ってベッドの上に手をかざして小魔石を出していく。こうすればあんまり音を立てずに出していくことができる。下手に机の上に出したらジャラジャラ音がうるさいからね。

ステータスを開いて小魔石が排出されて数字が減っていくのを見ていると、震えた声でリセルが呼ぶ。


「イ、イレブン……」

「何?」

「魔石が、消えるんだけど…」


俺が出した小魔石にリセルが触れると魔石が消えていく。なんで?


「今までこんなことあった?」

「無かったよ」


答えるのと同時に首を横にぶんぶんと振る。言葉にはしなくても表情は不安でいっぱいだ。


「魔石に触れたことは?」

「1回だけ狩りをしたときにあるよ。実際に触ってごらんって言われて。でも魔石は色々使えるから返したけど。魔物を倒したのにレベルが上がらなかったからそれからは狩りはしてないし、触ってもない」

「そうか。これだけだと何が起こってるか分からないな。体の調子に変化はあるか?」

「何となくなんだけど、なんか疲れた感じがするよ。でも力が強くなった気はする」


その感覚は覚えがあるぞ?そう思ってステータス画面を切り替える。


「なるほど。とりあえずキーは魔石か。リセルやっぱりお前も戦えるようになった方が良いかもしれないぞ」


そう言って画面を見せる。


「こ、これは…!」

「あぁ。どんな条件の魔石かは分からないけど、お前は魔石を吸収することで経験値を得るみたいだな」

「う…、ぐ…。うっ、うわぁぁぁぁぁん!!」


何をどうしてもレベルは上がらなかった。聞いただけだけど悩みでもあったらしい。スキルが上がればステータスも少し上がるからそれで戦闘も出来る。俺だってそのおかげでアホみたいなステータスになっている。

村長って大層な肩書もあるけど、逆にそのせいで余計なプレッシャーになっていたみたいだ。レベルが上がったことで解放されたように泣き出した。


「はいはい。落ち着けよ~」

「ふっぐ~~~~!」


胸元に飛び込んできて顔を服にこすりつけてくる。鼻水ついてそうだな。『清潔』あるから良いけど。仕方が無いので背中を撫でて落ち着くように願う。

俺の懸念点は2つだ。1つはどんだけ魔物を倒さないといけないんだろうという点。もう1つは。


「ちょっとイレブン!!!あんた!リセルちゃんになんかしたんじゃないだろうね!!」


そんなに大きくなかったはずのリセルの泣き声を聞きつけて飛び込んできた女将さんへの説明である。頼むからそのこん棒はおろしてくれませんか?

お読みいただきありがとうございました。18時も既に予約してありますので、良ければよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
https://ncode.syosetu.com/n8434ia/
婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
https://ncode.syosetu.com/n1262ht/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ