食材の宝庫ダンジョン
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色んな飲み物で試してみたし、大きくしなければすぐ固まったので工夫次第で作業は効率化することは出来た。
食感は今まで無かったみたいで喜んで試食していた。入れる量によっては深夜は危険であるというとメディさんは動きを止めていたが、サティさんは気にしていなかった。
訓練量を増やすと言っても出来る場所と時間は限られるらしいので、デテゴが早朝から一緒に付きあうらしい。可能な範囲で作業の続きをさせてもらって途中で切り上げたところまで作ったが、割と量は作れた。
あとはこの繰り返しで良いや。
しっかりとSPゼリー量産の目途が立ったので、メディさんに頼む仕事はリセルの指導になった。色々と他にも仕込んでくれるらしい。
リセルも割と興味があったらしく、他にも『裁縫』や『清掃』などどこかのお屋敷のメイドさんにでもなるかのようなスキルを取得したいと言っている。
冒険者もやるのだから戦闘スキルも身に付けるように言っているが、聞けるうちに聞いておきたいそうだ。獣人の村にいたときは興味を持てなかったそうだが、今は自分の手を使って色々と出来るのが楽しいらしい。
作り過ぎたSPポーションを思い出して、その気持ちが分かってしまったので好きにさせようと思う。
そうなると俺はやることがある。予定変更なのだ。
「中魔石が足りない!」
場所は変わって朝の混雑した冒険者組合での俺の訴えである。気が付いたら大量に作り過ぎていて、このままのペースだと手持ちが無くなることに気が付いた。調子に乗って作り過ぎた。いや、実際にやってみたら『調合』が楽しすぎたんだ。できれば他の生産もぜひ色々やってみたい!
「じゃあここ行ってこいよ」
まだ新人の今日の鍛錬が始まっていなかったデテゴが一枚の許可証を渡してきた。
「なに?ここ」
「無限に魔物が湧いてくる洞窟」
今の俺に必要なやつじゃないか!そんな便利なものがあるなんて最高か!?
「待ってください。デテゴさん!そこは組合の許可が必要な特別ダンジョンだと指定されたじゃないですか!」
「こいつなら大丈夫だって。俺より強い、なんなら剣舞の姫ともいい勝負するぞ」
「サティさんにはまだ勝てないかな~。あと2日ちょうだい」
止めようとした職員の女性は俺とデテゴの会話に絶句している。2日あれば必要なスキルを手に入れられると思うんだよね。
「何という口の利き方を…」
違った。デテゴの話し方が気に入らなかったらしい。最初からこんなだったけどな。職員だからといって冒険者の素性とかはあまり関与しないのかな。
「ほら、目立たないからお前が知られてないからだよ。魔石は全部お前のものにして良いから、素材はある程度ここに卸せよ」
「ザールさんに全部あげるって言っちゃってるよ?」
「お前がはやく昇格する方が世の中平和になる。そう言えば納得するだろう。あいつも金のことしか考えたりしねぇよ」
「ふ~ん」
俺が昇格することと世の中が平和になることが結びつかないが、少し威厳のある感じで言っていることからポンコツのデテゴではなく、皇子モードが少し発動しているみたいだ。それなら信用しておくか。
「じゃあ、ここに行ってきていいの?」
「ああ。俺が許可する。なんかあったら俺が責任取るから行ってこい」
最初に止めてきた女性もデテゴに睨まれたら引っ込んだ。もしかしてデテゴが気に食わないのかな。俺が口にすることじゃないからいいか。
「じゃあ行ってくるよ」
「ああ。大漁を期待してるよ」
☆ ★ ☆ ★ ☆
中魔石が足りない、と言った。ここに行くように指定されたが手に入るで間違いないんだろうか。冷静になると疑問点だ。魔国方面まで行っていたら取りに行くだけで数日かかりそうだから組合に行ったのに「取りに行け」と言われるとは思わなかった。
マップを思い出したがただの岩山があるだけだったような気がする。ちょっと変わった魔物が出現するエリアだった気がする。そう考えながらダンジョンの見えるところまでやって来た。ふつうなら徒歩1時間だろうか。俺は走って5分だったけど。
指定されたのはユーフラシアの街から少し離れたところにある洞窟だった。入り口は冒険者組合の名前で管理されていて、デテゴの名前の入った許可証を見せると驚いた顔を見せたが中に入れてくれた。
注意点をいくつか言われたが、中では魔法は禁止だそうだ。街の近場で中魔石が手に入るダンジョンの環境を変えないためのとのことだ。どれだけ魔法を放ってもダンジョンア壊れることなんて想像できないが、そう言われるのなら守ることにしよう。デテゴに迷惑がかかる。
「ここが『食材の宝庫ダンジョン』……!」
洞窟に入ってしばらく進むと外に出てきたかのような平原が広がっていた。ところどころ森もある。このダンジョン内を闊歩しているには、歩く花、を追いかける鹿、を狙う狼、のおこぼれを狙うつもりの空を周回している巨鳥。全部食材をドロップする魔物たちらしい。王国が割と食べ物に困らないのはここが原因か。それに都合の良いことにギリギリ中魔石を落とすような奴らだ。
王国にこんな都合の良いところがあるなんて!魔国との境目に出現する魔物たちか。蟻と同じで探すのに時間を使う必要がなさそうだ。
「良い!良いぞ!!よし、狩りまくってやろうじゃあないか!」
飛び出していって、花を手刀で割き、鹿の体に蹴りを入れる。狼はそのまま飛び掛かってきたから仕留めたが、巨鳥には逃げられてしまった。鳥肉が逃げた~。
動物型はただでさえ勘が良い。蟻は巣を守るというのがあったから逃げなかったが、こいつらは食料を求めてうろついているんだ。下手にかかるだけでは時間の無駄だ。
使ったことは無かったが、こういう時に使えるのかとスキル取得を狙う。少し足りなかったのでSPポーションとSPゼリーで不足を補い、目的のスキルを取得する。
取得したのはまず『威圧』、そこから発生する『挑発』だ。もちろん欲しかったのは『挑発』だ。某RPGのように『口笛』で呼び寄せることが出来れば良かったけど、そんなに都合良くはない。
魔物の注意をひいて寄ってきたら倒す。自分の方に来るのだからこれを使って回れば十分だ。
実際に『挑発』を使ってみると面白いように寄ってくる。ある程度の範囲内にしか効果が無いようなので、ドロップアイテムを拾う余裕は十分にある。
「ドロップしていくのが食材関係が多いな。せっかくだから魔力草とか落としてくれないかな。少しでもある方が良い。っていうか、中魔石の次に不足するのが魔力草、その次がハチミツです」
獣人の村にも一回行く方が良いかもしれないな。そっちも一日仕事になるんだよな。移動に関して走る以外の手段を見つけるべきか。
ものすごく早い帰郷だけどリセルも一緒に戻るかな。聞いてみないと分からないか。
そういえば冒険者を一緒にやるんだったらある程度連携を考えた方が良いよな。あいつはバリバリに後衛だから俺が前衛だな。好き勝手に動いたら危ないよな。
「どうすれば練習になるかな」
こっちに近づいて来てもらいたいけど、近くまで来たら俺ではなく別のものに注意をひかせたいよな。何だろう。食事かな。
「では、突然の料理タ~イム!」
手に入れた肉の塊を適当な大きさに切り、フライパンで焼き、メディさんが調合してくれた何にかけても美味しくなるスパイスを振りかける。
「あ、ダメだ。これまずは俺が食べたくなるやつだ」
フライパンを火から外して一口サイズにして口に放り込む。口の中で繰り広げられるのは肉の油とそれを引き締める塩とスパイスのハーモニー。
料理関係スキルが何もない俺がテキトーにやってこれか!肉のレベルというより、スパイスがやばい!メディさんの食事が食べられなくて不機嫌になるザールさんの気持ちが少し理解できた。
ちょっと自分で工夫しよう。米はないけどパンならいくらでもある。大きめのコッペパンを取り出す。
「パンを出しまして~、まずは切れ目を入れます~。切れ目に少しバターを塗りまして~、レタスを挟んで最後に肉をドン!」
で、かぶりつく!!もぐもぐもぐ。
だ~、ダメだ!くっそ、うめぇ!!!!
あっという間に一つ食べ終わる。これは一つだけでは終われん。とりあえず満足するまで食べよう。目的変わってるけど中魔石の目途も出来たし良いでしょ。
焼肉ドッグは食べたことないですが、ホットドッグならセブンイレブンのが一番好きです。
お読みいただきありがとうございました。




