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あまりに速いものは見てるだけで疲れるんだよ!(byメディさん)

今日もありがとうございます。お楽しみ頂けると幸いです。

少しゲーム発売当時の話をしよう。発売当初は特に問題は無かったが、1週間もするとある要望が運営に上がった。


1つは、成果物が出来たときのエフェクトが長い。


もう1つは、生産をまとめて行うことができないか。


ガチ勢が時間短縮のワガママを言い出したのだ。エフェクトだって最初は綺麗だが、毎回同じものを見させられると段々と面倒になってくる。結論から言えば両方とも実装された。制約は付いたが。

エフェクトのオンオフはプレイヤーが決められるようになった。単純にこれだけで数秒だが短縮された。SPポーションを何百個と作ることを考えると差は大きい。


まとめて生産は必要な設備を整えて、一度作った物であれば可能ということになった。ただし、一度に作れるのは99個まで。品質も本人が作った中で最高の品質のものだ。中品質までしか作ったことが無ければ中級までとなる。

結局のところ最高品質のものを大量生産するためには、状況を整えて何度もくり返しやるしかなかった。それもかなり難度は高めだ。


しかし、それを乗り越えていくのがガチ勢だ。道が開けたらそこを目指すが、それだけに留まらない。設備が無くても大量生産を、一発で最高品質を作り出すことに技術を見出したやつもいた。

『俺』がその一人だ。出来なければ序盤からのスタートダッシュが出来ない。道があるなら突き進む、今は道に見えないだけってことで切り開いた。うん、少しは苦労したね。


あとは材料さえあれば何とでもなる。メディさんには味付けの量や手順を初日に教えてもらい、それから四日間くらいは専念してSPポーションを作成しよう。

残り1~2日は身に付けたスキルに慣れる時間にすれば良いだろう。


リセルの様子は大体同じ部屋にいることになるし、その都度確認していく。ステータスは離れていても見られるから何かあればたぶんわかるしな。

『料理』と『調合』を中心に学んでいくみたいだ。戦闘は今までと違うことをしようとしたが、まずは安全策のために今あるものを使いこなすところからやっていくことにした。

たぶん、1週間後のリセルに勝つには俺も相当本気を出さないと無理だと思う。それくらいの可能性がリセルにはある。さすがだ。


メディさんには液体以外の状態で効果そのものの研究をしてもらいつつ、リセルの師匠としての働きを期待しよう。

ザールさんは調達と調査と管理をお願いしてって言わなくてもしてくれるか。昨日の話だと自分の道具屋の基礎工事は既に終わって2週間後には店が始まるらしいし。いそがしくさせた原因の俺が言うのもなんだけどがんばってほしい。

デテゴは普通に冒険者組合へ行くし、サティさんも何かの勉強になるかもって一緒に張りついてくれる。手の届かないところの色々を引き受けてくれている。


本当にありがたい。余裕が出来たら、めちゃくちゃ強化した装飾品をそれぞれに贈ろう。一通り中途半端なレベルのものは作ったことないけど、装飾品の中でも最高の性能の物は作ったことがある。

希望のものと俺推薦のものと1つずつ作ろうかな。俺も自分で作れるようにしたいし。本当は『細工』の専門家に頼むのが一番なんだけど、どこにいるか分からないし自分でやるしかないな。


「ってことでこんな感じです」


SPポーションがずらっと…何本だ。え~っと、50本くらいはあるのかな。1本で1リットルくらいはあるからこれで数日分にはなるか。

びっくりした状態で見ているのはいつもの面々だ。デテゴだけがいない。ザールさんも材料の調達の前に少し見学してからと見てくれていた。いつもの感じから考えると驚いた顔をするのは珍しいかもね。

SPポーション作成に関しては誰にも負けない。と言っても品質に関しては行って以上のレベルがあれば作れる。取得スキルポイントを高くしたければ魔石の質を上げるしかない。

見た目とか飲み心地は変わるかもしれないけど最高品質でもマズイものはマズイ。今回はメディさんに見せてもらった作り方を高速に行った結果だ。


味も確認しておこう……ま、問題無いかな。でもメディさんのに比べると甘くないし、エグ味をわずかに感じるな。少し気になるくらいだけど、このくらいはガマンできる範囲だ。少し調整して作ることにしよう。


「見ていて注意点はありますか?」

「あ~、ちょっと火が強すぎたかな。味がいつもより悪いならそこだと思うよ」

「イレブンすごい!イレブンすごい!」

「思ったよりも材料の調達は急いだ方が良いかもしれないですね」

「メディさんよりも上の実力の持ち主なのですか?わたくしの中の常識が破壊されそうです…」


リセルはちょっと落ち着こうか。


「じゃあどんどんやっていくんで、メディさんは気づいたことがあればどんどん言ってもらって良いですか。お願いしますね」


たくさん作っていかないと俺だけじゃなくてリセルも必要になったしな。これでなぜリセルのステータスが閲覧可能になるのかも分かれば良いけど、そうなるとその人の分までSPポーションが必要になるしな。

しばらくは2人でいいや。中魔石も必要だしな。特別強い魔物が現れる噂があれば、実際に行ってみる必要もあるな。それはデテゴに聞くか。珍しく役に立ってくれそうだな。

皇子モードになってもらわないと、時間が経つと信じられなくなるんだよな。


「注意点なんて早すぎてイマイチ分からないんだよな。出来上がったものを少し飲んでみて判断するか」

「ぼくは整理でもやっておくね~」

「では僕は色々とやって来ますよ。ついでに中魔石クラスの魔物が出るところでも調べましょうかね」

「でしたら、デテゴ様を使ってください。少し仲間外れになることを気にしてらしたので」

「はは。あいつらしいですね。では」


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「ふぅ。こんなところにしておくか」


実際に自分の手を使って作業すると少し感覚が違っていたので何度か繰り返すと更に早く作業することが出来た。何とかリセルが無理なく飲めるレベルでの備蓄が出来たな。

失敗とまでは言わないけど俺は最初の方に作った物から飲んでいこう。


「ん?」


リセル含めた3人が見当たらなかったので生産室を出て探してみると、メディさんは食卓で、リセルはソファでぐったりとしていた。


「大丈夫ですか?何かあったんですか?」

「終わったんですか?」


サティさんが2階から降りてきた。まだ彼女は元気の様だった。ただ、すごくかわいそうな目で見てくる。俺ですか?


「2人はイレブン様の尋常でない面を見て勝手に疲れてしまっただけですわ」

「え?どの部分ですか?」

「……なんでもございませんわ。金級冒険者以上になるものはどこか変だとよく言われますが、自分のことは気づかないとはよく言うものですわね。わたくしも自分を少し振り返ってみようかと思います」


サティさんがなんか自己反省をする決意を教えてくれた。SPポーション作っただけで周囲が疲れているって何だろう。

作りながらも水分補給でしっかり飲んでいたから少しは増えているかなと確認してみると一先ずの目標としていた2000Pが溜まっていたので、一気に使ってしまう。残りも戦闘強化に使っておく。

思った以上にメディさんのレシピ習得がうまくいったのでもっと作れそうだ。


「しかし、お腹はすいておられませんか?」

「お腹ですか?言われたら空いているような……。今何時ですか?」

「もうすぐお二人が夕食に帰って来られるかと思いますわ」

「もう!?いつの間に昼食が過ぎていた!?」


確かにメディさんの生産室は日光が入らないようになっているから時間経過に気が付かなかったけど、何時間作成していたんだ?

全部回収してきたけどアイテムボックスに結構な量が入っている。当初2日で作る予定だった量が出来ているな。このペースだと材料が足りなくなりそうだ。特に中魔石だ。


「わたくし達は何度もお伝えしましたけれど、止まっていただけませんでした。仕方ないので昼食も頂きました。お二人は疲れて少し休憩中ですわ」

「それは本当に申し訳ないです…」

「夕食はわたくしの方で準備したので、ザール様への説明はイレブン様も一緒にしてくださいますか?」

「それはもちろんです」


ザールさんの一日の最後はメディさんの手料理を食べることで締めくくることになっている。溺愛がひどいが、それを今回妨害した犯人である俺が言ってしまうと何をされるか分からない。

何か代わりの異世界に現代社会のネタを持ち込めないか考えてみよう。


お読みいただきありがとうございました。

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