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リセルのステータス

今日もありがとうございます。お楽しみ頂けると幸いです。

男たちだけで話をしている間に女性2人とリセルも色々と話していたようだ。わざわざ席を離していたので内容までは聞けていなかったが、時々リセルの叫び声と女性2人の笑い声が聞こえていたので遊ばれていたのだろうことが予想できる。

様子を見る限り顔は赤くなっていたが、一緒に笑っていたので大丈夫ではあるようだ。あんまり純真な少年の心をもてあそばないでほしいが、2人とも良識ある大人だしこちらの会話に混ぜることもできないから仕方ないか。

ある程度の情報交換も済ませたし、食休みも終わりにして帰ろうかと思ったがその時にはリセルが寝ていた。


「ごめんよ。思ったよりも話が盛り上がり過ぎてしまって」

「色々とお話しできて楽しかったのですが、急に眠ってしまわれました」


半分くらいは起きているような気もするけれど、寝ているのなら仕方ないだろう。もう一度運ぶことにしよう。


「帰り道も何か起こることは無いように手配してますから大丈夫ですよ。連れて行ってあげてください」

「ありがとうございます。お手数をおかけします」


ザールさんの護衛の方々とも許されるならスキル構成とか教えてもらいたいな。ゲームでは話の都合上、隠密や忍者みたいな装備はあっても主人公は目立つの仕事だから陰から護衛みたいなことは出来なかった。

護衛依頼を受けるかどうかは別として忍者みたいなことが出来るなら、苦いSPポーションを10本まで我慢して飲むくらいは出来る。魔法を忍術と偽って使うこともやぶさかではない。

ついでに言うと敵対意思が無いからか『索敵』してもひっかからない。明確な攻撃意思が無いと反応できないことが分かったが、『索敵』とは別の察知手段を探しておいた方が良さそうだ。


考え事をしつつ体勢としてはリセルをおんぶしている。まあ元から小さいのもあるけど全く重くないよね。

気が付くとメディさんはニヤニヤと、サティさんはニコニコと微笑んでいる。


「何かありました?」

「いや、この光景がほほえましいものだと思っただけさ」

「はい。非常に心くすぐられるものを感じます」


傍目から見てもせいぜい親戚の子どもを背負っているだけだと思うんだけどな。まあとやかく言うのは後がこわいのでやめておく。


「じゃあまた明日お願いします」

「はい。明日には解決してしまいましょう」


ザールさんが意気込みを込めて伝えてくれる。そこで何かに気が付いたデテゴが気まずそうに伝えてきた。


「言うの忘れてた。イレブン、お前昇格条件満たしたことにするから明日冒険者組合に顔出せな」

「デテゴ様、伝えてなかったんですか」

「いや~、すまん」


呆れた顔でいるサティさんと大きな体が少し小さくなったように見えるデテゴ。さっきまで冒険者組合にいたのにそこで気が付けば良かった話だかららしい。


「気にしないでくださいよ。資格そのものはそんなに気にしてませんから」

「すまんな。頼むわ」


忘れずに行くことを伝えて、別れの挨拶を済ませると久々の宿へと向かって歩いていく。リセルは寝ているからか体重を全部預けてくれている。その方が運びやすいから助かる。

既に日も落ちているので、住宅街の中は静かなものだ。宿に行く途中に食事処が固まったところを通ったけれど、騒ぐ声は聞こえるものの物騒な感じはしなかったので良かった。

途中で寝ぼけたリセルが後ろから抱きしめて名前を呼んできた。


「いれぶん~」

「夢の中に俺が出てるのかな。ご機嫌だなぁ」


あまり村の中からは出たことは無いらしいし、人間の友人など出来たことも無かったから楽しかったのだろう。しかも美人の女性2人からの接待ご飯だったしな。


「レベルが上がらないか…」


ユーフラシアに来る途中に話していた中で気になった話だ。何が原因かは分からないが、神獣の獣人であることが理由なのだろう。ステータスを見ることが出来れば何か分かるかもしれないが、説明文が出てくるわけでもない。

そうなると調べるためのスキルの大本命『鑑定』を取得するしかない。それで分かるものだろうか。やってみないと分からないが、試すだけ試してみよう。

何気なくステータスを開いてみると、新しいタブが増えていた。


「んん?」


気になってそこを指でタッチする。片手で支えることになったがバランスさえ保てば大丈夫だ。少し崩れたバランスに抗議するかのような不機嫌なうめき声が聞こえたが、ちょっとぐらいは我慢してほしい。

現れたのは、リセルのステータス画面だった。仲間になったキャラクターがいると画面が増えるけど、それはここに適応されるんだね。


>>>>>>

名前:リセル 種族:(神獣)獣人 年齢:20

レベル:1

経験値:0/5

保有SP:100P

HP :25/25

MP :30/30

筋力 :10

頑丈 :15

素早さ:12

器用さ:11

魔力 :18

運  :9


攻撃力:10

魔攻力:18

守備力:63

魔防力:61


取得スキル一覧

○基礎

感覚:聴覚強化(5)嗅覚強化(5)

○上位

森の声(3)精霊魔法(1)

○固有

吸収(☆)反射(1)


装備

主武器:

 頭 :手編みの帽子

体防具:

上半身:森獣人のシャツ

 腕 :

下半身:森獣人のショートパンツ

 足 :魔鉄の安全靴

装飾品:合成糸のマント

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立ち姿もかなりかわいい感じになっている。これは誰からも人気の出そうな感じだな。しかし、疑問点も色々と出て来るな。固有スキルは特殊なNPCが持っていたからまあ分かる。

ただ『反射』も『吸収』も初めて見た。これは何だろう。『精霊魔法』も珍しい。俺も取得できるけど道のりが遠いやつだ。


一番驚いたのはこの世界の人たちはSPポーションを飲んでも意味が無いと聞いたけど、保有SPという項目があるぞ。もしかしたら『ステータス閲覧』を持つ俺とパーティを組むとそこも操作できるようになるのか?

リセルのタブにも取得可能スキルの一覧があったので見てみると、色々とスキルが並んでいた。全て取得可能な俺と比べると少なかったが。


「あ~。これはすごいな」


見た事のあるスキルもあれば、おそらく獣人特有と思われるスキルもある。見るだけでちょっと楽しい。

NPCはイベント上、仲間になったとしてもスキル構成までは触れなかった。あくまで短期のゲスト扱いだったのもあるようだ。戦闘面でいうとゲーム時にはフレンドリーファイアが無いからNPCも攻撃は出来るものの、主人公が一番戦闘で活躍するようにされているため、NPCの役割は補助系が多かった。


リセルも構成によってはそういった方面での活躍も出来るが、普通に武術や知識も取得できるし、生産を行うためのスキルも身に付きそうだ。

俺と同じようにSPポーションを飲ませて保有SPが増えるかどうかで可能性は更に広がる。明日朝一番で飲ませてみよう。分担をしっかり分けた上で2人で協力しながら冒険できるのか。想像するだけで楽しくなってくるな~。


自然と早足になって思ったよりも早く宿に着いた。受付にいたのは初めての人だったが、連れて行くことになった仲間だと言って頼み込んだら、結果的にはなんとか同部屋に泊めさせてもらうことになった。

宿泊のお金は俺がいなかった間の料金で相殺してもらったが、もう少し早く言うように女将さんには怒られた。店員さんが判断つかないからと呼んできたのだ。登場した女将さんには開口一番に怒られたけれど。

俺の背中で眠っているリセルの顔を回り込んで見たとたんに、怒りはすぐに治まり笑顔へと変わった。


「まあ次は無いと思うけど、寝てる子がいるなら仕方ないね。前みたいに朝ごはんには遅れるんじゃないよ」

「分かりました。すいません。ありがとうございます!」


なんとか助かった。リセルの寝顔は怒りを鎮めてくれるらしい。良かった。部屋に運んでベッドに寝かせる。2つあって良かった。寝やすいようにマントと靴は外しておいた。

俺は新しく見られるようになったリセルのステータス画面をもう少しだけ見るつもりだ。気にしていた神獣の種類についてのヒントが無いか、レベルアップのヒントが無いかを探す。

お読みいただきありがとうございました。

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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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