表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/335

失敗は次に活かそう

誤字報告いただきました。ありがとうございます!

今回もお楽しみ頂けると幸いです。

獣人たちの村は正式名称は無いそうだ。人間のいるところへ行ける人員は限られているし同族がいるところへ行くことはかなり困難な状況では、名前を付ける必要性が無かったらしい。

それでも名前くらい付けるものではないかと思ったが、かといって名づけのセンスは皆無なので突っ込むと藪蛇だと感じでやめておいた。


途中スキルの話はしたけれど、今回獣人の村へと戻ってきたのは蟻の巣を見つけてくれていたらそれを潰すためだ。ディスガイズアントよりも強い蟻となるとレベルが40台半ばくらいは必要となるため、即逃亡案件である。

まあラスボスが過去の軍用技術を使用して生み出す機械蟻だからいるわけないんだけど。他の種類がいたとしても強さはあまり大差ないので全く問題ない。

逆に言えば、経験値取得の絶好の機会である。危険であれば手を出さないように伝えたが、倒してしまっているならそれでもいい。怪我をしないようにだけ気を付けてくれてたら良いな。


そんな感じで久々に獣人の村へと再来訪である。近づいた段階で巡視隊が回ってきたが、ミケンダとメラノさんと一緒にいるため問題無く通行できた。2人がいるため案内も無しだ。

顔見知りが手を振ってくれていたので、振り返しておく。見えなくなったら自分の手を見る。おぉ…なんだか嬉しいぞ。なんだろう、この気持ち。実際に友達だとこんな感じか。大学では男友達しかいなかったから手なんて振らなかったもんな。いや、今の相手も男だったけど。


「何をニヤニヤしてるっすか」

「ミケンダ。もう少し人の気持ちを感じられるようになった方が良いと思うのよ」

「また空気読まない感じだったっすか?ごめんっす~」

「いや、気にしなくて良いよ。自分でも気持ち悪いかなって思ってたからさ」


ふざけたやり取りではあるが、これで一つ分かったのは特に警戒態勢が取られていないということだ。見つけていないか、見つけても対処可能だったか、残しておいてくれたか。村に問題が無いようで良かった。

村の入り口をくぐっても同じだったので早速村の倉庫兼商店まで行き、確保してきた食材や必要そうなものをどんどん放出していく。最初は、マジックバッグだと思ったらしくうらやましそうに見ていた人たちもどんどん出てくる質量や体積を無視した量が出てくるのを見て顔色を変えていた。

俺が前いた時にアイテムボックスを使うところを見てなかったのかな。緘口令をを布いてた?見せちゃったけど大丈夫?今更だからもういい?ご、ごめん…。


とりあえず頼まれていたことが終わったら、頼んでいたことの進捗を確認しに行こう。


「どこで聞けば良いんだろう?」

「こういうときは大体リセル様のところに行けば大丈夫っす」

「あの子のところに?」

「そうなのよ~、だってそん「内緒っすよ!」そ、そうだったね~。行くのよ~」


おい、何を言いかけた。おれが知る限り、『そん』で始まる言葉は多くないぞ。この状況にピッタリな言葉と言えば…。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「ぼくが村長のリセルだ!」

「やっぱりかよ…」


なぜ今まで隠していたのかとか、子どもが村長で大丈夫なのかとか、ツッコミどころが激しい。


「おどろきすぎてことばも無いのかな?」

「いや、何というか獣人の不思議について考えてただけだよ。村長さんなんだね」

「そうだよ~。この前は迷惑をかけてしまったから、しばらくはまじめに村長をしているんだ~」


語尾を伸ばすなよ。前回で色々と世話にもなったし、心許して接してしまってたので今から丁寧に接するとなると違和感が激しいな。


「話すのは普通にしようよ。みんながもち上げてくるから少しきゅうくつなんだよ。イレブンがいいならふつうに話そうよ」


目をウルウルさせながら話しかけてくる。それは卑怯ってなもんだよ。見た目10歳くらいの子どもにそう言われると聞かなくてはいけない気分になってくる。

リーダーあたりは怒りそうだけど、あの狼獣人の兄さん(おじさん?)はもう少ししたらデレてくれそうだから大丈夫だろう。まあ断る理由も無いから良いかな。


「わかった。怒る人がいたらかばってくれな」

「オッケー!」


親指をグッと突き出してくれる。信用するからな。


「さて、本題に入ろうか。聞きたいことについて話すけど良いかな?」

「ああ。お願いしたい。蟻は見つかった?」

「いたよ。全部で3か所。別でアーミーアントがいたけど、それはこちらで対処可能だったからこっちで既に対処済みだよ。途中で援軍も来たけどそれも対応できた。久々にレベルアップした人たちがいたよ。恐ろしい数だったみたいだね」

「ちゃんと巣は潰しきれたのか?」

「それは問題無い」


おっとリーダーの登場だ。今日は非番だったのか鎧を着けてない。服装そのものは他の獣人たちが着ているものと変わらないのに袖から出ている腕の太さや獣人の中でも動物寄りのための体毛とか、目つきの鋭さのせいで完全に威圧感が出ているな。


「MPは少なくても獣人には獣人の戦い方がある。それぞれの巣の元凶は討伐済みだ」

「それは良かった。俺も力業で潰してたから心配だったんだ。ありがとう。ということはあとの3つがディスガイズアントだった?」

「そうさ。安全のためにもイレブンが帰ってきてから向かうつもりだった」

「わかった。いつ行く?ごめんだけど俺2日後か3日後にはもう一度戻らないといけないからそれまでに見つけてくれてたところだけは始末してしまいたいんだけど」


なんなら一か所くらいは今からでも行けるぞ。むしろ行きたい。そう考えてリセルを見ているとリーダーが引きつった顔をしてこっちを見ている。


「お前、顔に出ているが正気か?」

「あはは、出てたか。じゃあ手っ取り早い。今から行くけど良いかな」

「疲れてないなら構わないけど、大丈夫なの?」

「全く問題ないよ。場所を教えてよ」


何というか信じられないものを見たという顔をされた。笑っているのはリセルだけだ。たぶんズレている俺について来れているみたいだ。こいつはこいつで大物なのかもしれない。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


さて、こんなもんかな。前回から変更して、より効果のありそうな方法に変更して攻めてみるよ~。


「土魔法『土砂発生』」


ディスガイズアントが置いていったドロップアイテムを回収、休憩も取った後で巣を潰しにかかる。前回に比べると勝てないと判断するまでが早かった。前回の半分くらいしか地上で倒していない気がする。

巣自体が小さいのかもしれないが、巣の中は見えないので容赦せずにいく。


念のためだけど巣を潰すなんてゲーム時代にはない行動だから試行錯誤が必要な行動だから仕方ない。前回の水だと重力に引っ張られるし、その後の氷に切り替えがあった分痒いところに手が届かない感じがあった。土ならその後の攻撃もそのままいける。

何事も実験だ。地上での戦闘は問題無く進むようになったから改善していきたい。同じことなんてあんまり起こらないだろうけど。


十数分後には巣を全て埋め尽くすことが出来たようだ。入り口まで塞がった。じゃあここからが最後の仕上げだ。


「土魔法『土槍回転』」


巣に可能限り詰め込んだ土の表面から等間隔で『アースランス』を生やす。イメージはハリネズミだ。やってることはもっと激しいけれど。ただし、ここからもっとだ。

生やした『アースランス』を回転させることで初撃で刺さった比較的まだ運が良いやつを確実に倒す。


続けて注ぎ込んだ土砂を一つの塊と見なして、『アースランス』を表面を這わせるように移動させる。回転したまま動かすので触れたらダメージを与え続けることになる。

しばらく回すと地面の下でボコボコと動いているのを感じる。軽く地震のようだ。地表付近のまだ『索敵』が届く範囲には必要ないから地表にいきなり槍が現れるなんてことはないが、地面が気持ち悪い感じに揺れてしまっている。

これも失敗だろうか。これもしばらく続けていると、前回よりも短い時間で殲滅は終了した。


「この方法はダメだ。前回の方がマシだったなぁ」

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
https://ncode.syosetu.com/n8434ia/
婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
https://ncode.syosetu.com/n1262ht/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ