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初めての野営は孤独との戦いというよりも…

極限を味わうことで性格って変わりますよね

レベルアップによる各ステータスの増加は最低値だ。1レベルアップすると、HPは10、MPは5、各ステータスは1ずつ上昇する。

あとはスキルを上げていくことでおまけの補正値で上げていくしかない。まだスキル数が少ないため補正値は微々たるものだ。今回取得した中で大きくSPを割いたのは魔法関係の3つだ。生活魔法と魔力センスと魔力放出を選んだ。どんな方向に育てるにしても必須だ。

ただし、MPも魔力も数が少ないと威力も数も頼りない。やはり最初期に頼れるのは消費無しに使える筋力から育てていく方が良いだろう。魔法に関しては使いたいという気持ちと水と清潔のためだ。


SPが足りなくて中途半端になったが、上げきれなかった2つはレベルが上がればすぐにでも上げきってしまう予定でいる。レベルが2つ上がればMAXの10まで上げられる。この辺りの敵が出てくればすぐに上がるだろう。

それと感覚強化を選んで視覚強化と聴覚強化を上げた。ゲームだとまだ先にならないと上げたりしなかったが、危険察知のためには必要だ。ポイントが許せば触覚強化や嗅覚強化など安全確保のためにも取得しようと思う。


さて、前回から変更のあったところを確認する。スキルを振り直すとこうなった。


>>>>>

レベル:4

経験値:12/25

保有SP:0P


HP :40/40

MP :110/110

筋力 :54

頑丈 :24

素早さ:134

器用さ:54

魔力 :34

運  :4


攻撃力:59

魔攻力:34

守備力:29

魔防力:31


取得スキル一覧

基礎

感覚:視覚強化(☆)聴覚強化(☆)

技術:走行(☆)

戦闘:強打(☆)疾風(☆)精度(☆)受け流し(☆)体術(☆)

魔法:生活魔法(☆)魔力センス(7)魔力放出(6)

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魔法と感覚強化はステータスに表示はされていないが、これはそれぞれの関係スキルを有効化するだけなので表示されない仕様となる。SPを消費して新しく取得するスキルの選択肢を増やすことができるだけのものだ。他にも同じ仕様のスキル系統があり、それ自体には何の補正も効かない。一応現実世界として安全に生きていくために序盤に取得するスキル順を変更している。

役に立つスキルが出てくるのはこれからだが、今後に繋がるスキルだから早めに取っておいて損はないと判断している。ちなみにスキルレベルを上げきっておかないと上級スキルや希少スキルが発生しないものが多い。中途半端に手を出すよりもしっかりと上げきる方が良いシステムだ。


「さて、試しておくべきは生活魔法各種だな」


生活魔法はレベル10なので10種類使えるようになっている。各属性魔法のレベル1で使えるものとほぼ同じだけど威力は更に低い。攻撃に使おうにも直接殴らないと威力がほぼ無いからゲームでは使いどころが難しかった。

現実であれば使いどころはたくさんある。水なんて手から発生するならそのまま飲めば良いのだ。まず『水発生』で手に水を作り、すぐに『清潔』を使って飲んでみる。ゴクゴク。


「ぷはっ!うまい!」


ただの水のはずだったが非常に美味しい水だった。冷やせばもっと染み渡るだろうと思ったが、さすがに魔法の同時発動はまだ出来ない。イチイチ切り替えないといけないのが面倒だができないものは仕方ない。

あとはコップがあれば作った水を確保し、冷やすことも出来る。だが、さすがに村の中を勝手にあさる気にはさすがになれなかった。放棄されてからどれだけの期間が経過しているのか分からないし、泥棒のような気になってしまう。

そうなると自分の道具類を揃えていくしかない。それはそれで楽しそうだ。ならば、目的地は本来なら3番目に訪れる町に向かうことで身支度をしようと決める。


「目的地は、冒険者の集う街だ!最初の村が滅ぼされているのかとか、情報を確かめれば本編のどのあたりなのか分かるぞ!」


意気揚々と出発したイレブンだったが、大きな計算違いにはまだ気づいていない。水はあっても食料が無い。ゲームのフィールド感覚で移動を開始したが、現実となるとそう近くに町があるわけがない。しかも町を繋ぐ街道すら存在していない中記憶を頼りになんとなくで歩き出している。

水があるのですぐには死なないが、食料が無ければ長期間の旅など出来はしない。問題に気づき、頭を悩ますことになるのは数時間後だった。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「空腹で寝れん」


夜になるまで走ったが、人のいそうなところに繋がる手がかりは何も見つからなかった。夜になったところで、仕方なくぽつんと立っていた木の根元で眠ることにした。月が3つもあるおかげでそこまで暗さは感じないし視力強化のおかげで周囲は見える。

何か生き物が周囲で息を潜めているような音も聞こえることは無い。聴力強化も取得して正解だった。ただ、魔物にも出会ったが食料になりそうなものは見つからなかった。

レベルが上がったことで得たスキルポイントはまだ魔力関連に振ったが、嗅覚強化にでも使って食べられそうなものを探しても良かったかもしれない。

そういう意味では魔物が襲ってくることを願ってしまう。食料とスキルポイントの問題が解決できる。目と耳に集中するが、精神的にも一日しっかりと活動し、3~4時間は走って移動したため疲れが出てしまう。何度か船をこいで目を覚ますことを繰り返したが結局は落ちてしまった。


ただ、願っていたのが裏目に出たのか途中で気を失って眠ってしまい、幸か不幸か朝を迎えてしまった。


「水出そ」


手から水が湧いてくることにまだ疑問を感じながら、口を濯いでペッと吐き出した後で水分を補給する。口元をぬぐう前に再度手から水を出して顔を洗い、着ている服で拭く。


「顔を洗うの便利だわ」


そう言って太陽の方向を確認しようと顔を上げると、目線がある点で固定された。果実だ。身を寄せた木に果実が生っている。


「野生生物が狙わない実はそれなりの理由があるって話だが…、それで腹を壊しても後悔しない。腹に何か入れたい」


警戒も無く木に登り実を手に入れる。木を登るのは初めてだったが、思ったよりも身体能力の高い体は身のところまで容易に運んでくれた。

枝はイレブンの体重を十分に支えてくれそうだったので、そのまま腰かけて実をもぐ。見た目はリンゴだ。何となく香りもリンゴに近い気がする。


「出来れば腹を壊しませんように!」


祈りながらかじるとシャクッと音がした、たっぷりと溢れる果実の蜜とも言うべきエキスが口いっぱいに広がってくれた。


「俺、もう少し果実を食べるようにするよ。こんなにうまい果物食べたことない」


食べれれば良いとか考えてた昨日の自分をぶん殴りたい。食事って大事だということを身を持って知った気がする。今までの自分は生きてなかった。死んでなかっただけだ。

そういえば木に登って景色を眺めることもしたことが無かった。今いるのは地上5メートルくらいだろうか。目線が高くなると景色が違うし、風の感じやにおいも何か違う気がする。


「五感を刺激するって結構楽しいかもしれないな」


街に行ってすることが改めて決まった気がした。よく見ると木にはあと3個果実が付いていた。木に手を合わせてありったけの感謝の念を送って再度収穫させてもらった。1つ目の果実を食べた後に出てきた種はアイテムボックスの中に入れて、いつか必ず土に埋めて育てようと心に誓った。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


さて、改めて考えてみると選んだスキルは確かに夜を明かすのに確かに役に立った。何か物音がすればすぐに気づくことが出来たし、安眠を犠牲にはしたが死ぬかもしれないことを考えれば乗り越えることは出来た。ただ、平和な世の中で生きてきた学生にたった一日とはいえ命をかけた極限状態は辛かった。


「まだまだ全然足りないな。あいつに言われたみたいに楽しむ前にまず命の確保が出来るだけの状況を整えなくては。そのためにもまずは人の住む街を探すことからだ」


再度走り始めるとようやく道らしきものを発見した。何度も移動に使われたためか踏み固められており、人や乗せて通る動物や馬車が存在することを教えてくれる。ほっと安心すると、方角を確認して街があるはずの方向を目指してもう一度走っていく。


そうして小一時間も経過するころ、前方を進む物体を発見した。あれは移動をするときに使われる馬車の荷台部分だ。引っ張っているのが馬かどうかは前方が見えないため分からないが。


少しスピードを上げて追いつこうとすると馬車が止まった。近づいていくと荷台部分に強者がいることが分かる。御者にいる人も戦えるだろうけれどそんなに強くはない。今のイレブンよりも強いだろうけれど。


何を理由にそう判断したのかはイレブン自身にも分からなかったが、とにかく声をかけることからだ。そう思って馬車から大きく弧を描くように前へと向かい、手の平を見せて何もしない意思表示を見せた上で話しかけた。


「えっと、道に迷って困っています。助けてください」


話しかけてから気づいた。言葉通じるのかな?

お読みいただきありがとうございました。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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