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戻ってきて最初に出会う人は

ちゃんと今日は予約できました。お楽しみ頂けると幸いです。

メラノさんの助言が採用なのは決定したが、消耗もしていないのに休憩するのはもったいないのでしばらく進んでから行うことにした。

移動中は俺とメラノさんとの雑談がほとんどだった。話の流れでデテゴ、ザールさん、メディさんの紹介もした。冒険者組合に登録していることや知っている店自体は少ないがこんな料理を食べたとか、でもメディさんの料理は店で食べる物に勝っているとか。

メラノさんは服や装飾について聞きたがった。装備品という意味ではなく、完全に着飾りたいという意味である。しかし、俺はそんな視点でユーフラシアを歩かなかったので知らない。遡ってゲームでも見た目重視に装備を整えたりカスタムすることも無かったので全く話にならなかった。


「ま、男の子ってそんなもんよねぇ」

「面目ないです」

「ううん。怒ってはないけど、多少は気にした方が良いと思うのよ。あなたとパーティを組む中に女の子が入ったら気にしてあげる必要もあるのよ?」

「パーティは今のところ組むつもりが無いのでその心配は無いかと。それに組むとしてもまず男に加入してもらいますよ。それに僕について来るような女の方もいないと思いますし…、メラノさん?」


話しているうちに段々とメラノさんの目が鋭くなっていく。なんというか呆れられてる?


「はぁ…、これは全く気が付いてないのね」

「何にでしょう?」

「うん。分かったのよ」


どうしようかなぁ、言ってしばらく話が止まった。相手をしてくれなくなったというか。まあそれならそれでしっかりと『呼吸』を行って消費を和らげるだけなので構わないのだが。


暇つぶしの雑談だが最初はミケンダも参加していた。俺を背負って移動という自分の体重以上に重いものを背負って長時間走るということにどんどん余裕を無くしていった。

結果移動後30分もしないうちに話さなくなった。その後も速度を落とすことなく走ってくれたので彼はすごくがんばってくれた。


大体ユーフラシアまで残り半分といったところで休憩を取ることにした。


「イレブン君、よく魔法持つね」

「そうっ、すよ。オイラの、方が、休憩を、欲しがる、ことに、なるなんて」

「無理に話さなくて大丈夫だよ。そう思わなかったんだね」


話すのがしんどそうなので、そっとしておいてあげる。ミケンダには念のためポーションと軽く摘まめそうなものを置いて休憩してもらう。メラノさんと俺で尋問だ。


「メラノさんは大丈夫ですか?」

「大丈夫よぉ。走るだけならまだまだ行けるのよ。いつもなら飛んだり跳ねたりもするもの。あの隊長よ?」

「説得力がスゴイ。でも荷物を抱えてってのは無かったんですか?」

「それは隊長とかマッツとか力のある人たちだけね。ミケンダはやっていたはずなんだけどね?」

「ぼくが重いんですかね?」

「そうは思わないけれど…。なぜかしらね。もしかしたら隊長案件かもしれないわね」


それはすごく怖い響きの言葉だ。俺には祈ることしかできないや。ミケンダよ、どうか死なないでくれ。


さて、少しだけ休憩して水分の補給も済ませたので一度地上にいかだを下ろして、尋問を行うことにする。

話を聞くためなので、ゆっくりといかだを下降させる。少し優しくしたつもりだ。下ろしたところで水分補給をさせる。器を配って水をぶっかける。あとはうまくやってくれ。

話を聞くようにしてから説明を開始する。


「さて確認しておくが、お前らが自供するのは俺に対する襲撃だ。返り討ちにあって全員捕まって憲兵に引き渡されることになる。細かいことまでは確認されないだろうけれど、襲おうとしたら一瞬で負けたということにしておけ」

「それはごまかさずとも事実だと聞いているのだけれど」


気にしないでください。そして話の腰を折るようなことは言わないでください。


「一番重要なことは獣人たちのことをバラしたら、どこにいようと追い詰める、ということだ。お前たちの口から話すことは許されないと思え」


一応意識のある全員が首を縦に振っている。気絶しているのは高所に耐えられなかったやつらだ。その中にボスとナンバー2が含まれているのが笑える。


「じゃあ覚えている限りの罪を全て吐くように」


無責任に放った一言を後悔した。休憩時間が無駄に長くなるほどたくさん出てきて逆に疲れた。全て紙に書き起こしておいたので、渡すだけでそこそこ捜査の役に立つのではないだろうか。

まあ色々とやらかしている。人さらい行為だけでなく、盗賊、強盗、あまり言いたくないことまでやっていた。法律知らないけど俺なら極刑だな。これ助かる道あるのか?必要ないから良いのだけれど。


長すぎた休憩はミケンダには良かったようで調子を戻していた。メラノさんも走るだけなら体力的には問題無かったので休憩を切り上げて再出発することにした。

とりあえずどこに向けてとは言わないが、俺は特大の『水球』を発生させて全員を覚醒させる。『雷針』を打ち込んで体を麻痺させて動けなくしてから、全員がいかだの縁から上半身をはみ出した状態に縛り直した。

そこで『氷壁』を作って割り、ぶつけたり肌に氷が触れることで身をよじっている。もう少し繊細な使い方が可能だったら、全員の背中に『氷球』をはりつかせておくのだが。触りたくなかったのでぞんざいなやり方でガマンする。最後にさっきよりも高い位置にいかだを持ち上げていく。

持ち上げるだけなら高度がどれくらいとかは気にしなくて良いようだったので、俺が見えるまあまあの位置まで上げておく。声を出されたところで聞こえないので、よく見ておくことにしよう。


せっかく休憩したのにメラノさんが疲れて話さなくなってしまった。ミケンダもまたしばらくすると話が出来ないと分かっているので最初から遠慮していた。

誰も話さなくなった状態で残りの道のりを進んだ。こればっかりは仕方なかった。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


「そんなにいなかったわけでは無いのに懐かしいな」


ユーフラシアに帰ってきた。さすがに近くなってきたので見えないくらい離れたところでいかだを下ろした。不特定の人に見られることについてまで考えていなかったので最後の移動についてどうするかを考えていたが思いつかなかったので、もう憲兵を呼んでくることにした。

いかだは早々にアイテムボックスへと収納し、腕は拘束したまま足は歩けるようになどを二人にお願いして憲兵を呼びに走った。たまたまデテゴと知り合いの人だったので説明をして外へ中へと協力をお願いして特に障害もなく話が進んで良かった。

聞き取りの書類を渡し、簡単に説明もして解放されたころには夕方だった。


「疲れたね」

「「お疲れ様です」っす」

「……何それ」

「私たちがあまり余計なことを言うと話にずれが出るかと思ったので、説明は全てイレブン君に聞いてくださいって全てお任せさせてもらってたのよ。私たちよそ者ですし」

「っす」


確かに話し疲れたみたいな感じが無い。納得できる説明だが、何か悔しい。まあ自分のこの連行作業も獣人たちから俺が任されたことだから仕方ないと飲み込もう。


「じゃあ案内するよ。たぶん連絡してなくても俺が帰ってきてるのは把握してるだろうから」

「楽しみなのよ。メディさんのご飯♪」

「オイラもっす」


門の中に入ったところに立っていた。


「イレブンお帰り」

「ここまで来たら怖いですって」

「商人は情報が命ですからね。私のところに集まってくるようになってるんですよ」


獣人二人を見ると心なしか緊張感を感じているようだ。なんていうか警戒している感じ。


「旅の途中でも集めているんですから、ずっと住むつもりでいるならもっと手の行き届いた構築が可能です」

「ザールさんを敵に回すことは絶対にしませんから」

「僕も君を敵に回すのは嫌ですよ」

「ということで、協力して仲を深めたいと思うんです。彼らとも話をしてもらいたいです」

「伺いましょう」


相変わらず向かう先ははメディさんのところだ。

お読みいただきありがとうございました。

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