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侯爵の悪あがきは即バレ

ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン


治癒魔法を手に宿しながら往復ビンタをしている音が広場に響く。与えるダメージと治癒量でいえば後者の方が大きいはずなので続けていればいずれ起きるはずだ。


≪ねぇ、まだなの~?≫


催促を受けて一旦手を止める。


「俺のせいでは…」


≪じゃあ誰のせいだってのよ~≫


「………」


反論したかったが、殴り飛ばしたのは俺なので主張しても絶対的に説得力がない。仕方がないともう一度始めようとしたところで青龍に止められる。


≪あ、起きるわね≫


「やっとか」


手を放して地面に下ろす。ほどなくしてラグギゴ侯爵が目を覚まし、こちらを見ると何かを叫びそうになるがその前に顔の横をかすめるように正拳突きをすると、ゆっくりと口を閉じた。


そのあとは無言できょろきょろと周囲を見渡し、青龍が目に入ると腰を抜かしてしまった。


「な、なんだ、この化け物は…。おい、貴様!魔物だぞ!冒険者の端くれなら殺さんか!」


「やだね。魔物じゃないし」


そもそもまだ太刀打ちできない相手にケンカを売るとかやってられん。


「魔物でなければ何だというのだ!」


「神獣の青龍さんだよ。お前に話があるみたいだからありがたく聞きなよ」


「はっ…!?」


俺が紹介するのと同時に青龍の体から多少の圧迫感が放出される。威圧している感じだね。侯爵は顎が外れるとはこのことかと言わんばかりに口と目を見開き、言葉が出ないようだ。

ひとつ良かったのはさすがに戦闘能力が無い侯爵でも青龍の存在には圧倒されていることだ。余計に騒ぎ立てる心配が無いのは良いことだ。


≪愚物よ、今から貴様に罪を言い渡す≫


オネエ感が消えた!常にそれでいてくれないものかな!


俺の考えていることは置いて話が進む。


≪貴様は我の領域である海を荒らした。無知であろうとただでは済まさぬ≫


「違うのでございます!私は荒らすなど考えておりません!」


土下座に近い形で座り込み、必至といった体で訴えかける。


≪ほう、申し開きがあると申すか≫


「そうでございます!私がやっていたことは逆でございます!この海を平民どもの乱獲から守ろうとしていたのでございます!」


そう来たか~。


「命を育むのは時間がかかるもの!それを好き勝手に獲っては海が荒れるのと同じことでございます。ですから手荒とは思いましたが行動に至ったのでございます。決して青龍様の機嫌を損ねようとしたものではございません!」


≪ふむ。海の安寧を保とうとしていたのか≫


「その通りでございます!」


侯爵は言いたいことは言いきったらしい。再び頭を地面に叩きつける勢いで伏せる。


≪イレブンよ≫


「はいはい」


いきなりこっちに振られた。あれ?自己紹介したっけ?リセルが伝えてくれてたのかな?


≪こいつの言っていることは本当か?≫


「違うと思いますよ」


あっさり言うと侯爵が睨みつけるように叫ぶ。


「平民が!黙れ!」


≪耳障りだ。黙るがいい≫


「はっ。ははぁ」


しかし、簡単に頭下げるなぁ。軽い頭だ。


≪理由はあるのか≫


「物的証拠は無いですけどね。話を聞いてどっちが本当か判断してください」


≪良かろう≫


「まず1つ目。俺には感情が見えるスキルがありますけど侯爵が話し出してからの感情ってのは欺瞞の色だった。本当のことを言っている時って感じではなかった。これはスキル上の話だから信じてもらうしかない」


≪続けるが良い≫


「ああ。2つ目はさっきの侯爵の言動だ。こいつは事あるごとに平民と口にすることがある。実際に街で話を聞いたけど平民に対してのあたりが強い統治を行っていた。さっき言っていた理由が本当だとしても重点を置くべきはそこじゃない。単純に嫌がらせをしたかっただけじゃないかな」


侯爵がかすかに震えている。


「ちなみに今のこいつの感情は動揺と後悔が強い。あとは恐怖かな。自分のこれからを冷静に考えられているだけすごいんじゃないかな。あと俺からも聞きたいことがあるんだけど」


≪聞こう≫















「神獣って考えていることが読めるんだから問答する必要無いよね?」


「え…?」


お、侯爵から感情が全部消えたぞ。呆然と言った方が正しいかな。後ろから見ていてもどんな表情しているのか分かっちゃうのが笑えてしまう。


≪ふむ。問いには答えよう。その通りだ。記憶を読むわけではない考えていることが聞こえるといったところだな≫


青龍が器用ににやりと笑っている。


≪問答は終わりだ≫


「おっ……」


≪待つつもりも聞くつもりももう無い。愚物は我を謀ろうとした。それが事実であったことは明白、そのような者の発言を信じることなど出来ぬ≫


終わりだな。悪いことってのは一気にバレるもんだね。


≪権力とは厄介なものだな。実際に力を持っているわけでは無いのに思い違いをさせる。もっと高潔な者だけが握る力であれば良いのだがな≫


「権力もっている人の全員が腐ってるわけではないと思いたいけどね」


≪さて、我も行くのでついて来るか?いや、我もどこにあるか分からんのでな。案内を頼みたい≫


「どこに?知ってるところなら良いけど」


≪国一番の権力者のいるところだ≫


「王都かな。えっ、青龍が姿を見せていいの?」


≪この愚物を何とかせねばならんのだろう?少しくらい構わん≫


朱雀でもそこまでしてくれなかったのにいいのかな?いや、むしろ問題しかない気がするんだけど。


≪ここらは我の休憩場所だ。下手に荒される方が不愉快というもの最初からこの愚物に生きる道など無かったのだ≫


漁獲量がどうとか関係なく下手に嵐魔法なんて使うからダメだったってことね。実行犯のあいつとかも抑えといてよかったな。


≪人間の尺度での罪など我には細かすぎてよく分からん。だが、関わったものが我が言ったところで皆反省するとも思わん。そっちの尺度で良きにはからえ≫


「了解ですよ」


そうなると国王とかの調整が必要になるのかな。ザールさんに丸投げで済むかな。多少の交渉役なりはやらないといけないかもしれない。え~。


「面倒そうとか考えちゃだめだよ」


「……わかった?」


「今のは私でも分かった」


いや、どう考えても面倒でしょ。でも要請されたら仕方ないよな。


「今から行くの?」


≪案内は頼みたいが、その愚物を背に乗せるのは断固拒否する≫


「じゃあ別便で運ばないとダメか。運ぶのは俺がやるから横なり後ろなりで突いて来てもらうってことでも良い?」


≪何でも構わぬ≫


言質は取った。あとは手間を可能な限り少なくするためには関係者を全部一気に運ばないとダメだよな。


「とりあえず3日は時間をもらえるかな。その間に準備を整えるよ」


≪寝て待つ。任せるのでな≫


要点だけを押さえてあとは丸投げか。不快には思わないから別にいいか。


「とりあえずダコハマリに戻ろうか」


「3日で何をするの?」


「王都で関係者が不足って言われても困るだろ。だから全部捕縛して連れて行くんだよ。誰がどこまで関係しているかなんて調べないといけないけどその判断とか捕縛にそれくらいかかるでしょ。ほとんどは捕まえてあるといってもまだいるかもしれないしさ」


「少しいそがしくなるね」


「なんとかなるだろ」


書類仕事をするよりは俺の性に合ってる。

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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