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掃除のご褒美は自由開発権

ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。


そういえば300話超えていました。いつの間にやら!重複しますがいつも読んでいただきありがとうございます!

久々に俺とリセルの共同作業をしているところにザールさんがやってきた。ちょうど良いからと休憩時間を取ることにした。昼ご飯も食べずに準備していたのでちょっと摘まみながらもてなしをさせてもらいながら話を聞くことになる。


「今回の協力の謝礼ということでグレイブ村の滞在及び自由開発の許可が出ましたよ」

「やっとか~」

「待ちくたびれたよ~」

「そう言わないでください。そこの領主が許可出さないと自由開発って中々許可出ないんですよ?」

「お礼をお伝えください」


待ちに待ったザールさんからの報告にその場にいた俺とリセルは歓迎半分呆れ半分の声をあげた。


王都の一斉掃除から短くない時間が経過していた。手を貸した外部団体の責任者として動けないからと毎日家にこもって色々と開発に勤しんでいたが、さすがにいつ話の結論やら許可が出るのかと文句を言いたいところだった。こっそりと色んな所に出かけているので飽きたってことは無いけど居所を限定されるのが面倒だった。


何よりも貴族派を思い切り叩いたことで自宅に押し掛けてくるような面倒の大半が無くなったことで生活は至極快適になったのだが、無下にできない一般の方々ややっかみなんかは完全になくなるわけでは無い。


しかも貴族派の連中は平民への当たりが強いためそれがマシになった原因だと推測され(いや間違ってないんだけど)、感謝の声をかけられることが多かった。そういう声かけって無視できないから変に目立つんだよ。


自己満足のために手を貸しただけだからお礼を言われると心苦しいんだけど、そういう気持ちのところまで話せないし汲んでくれないからね。気まずかった。


しかし、ようやく解放される!


「そうは言っても既に移住は完了しているようなものでしょう?」

「そうですね」


この場にいるのは俺とリセルとザールさんだけだ。他のメンツは既にそれぞれが現状必要な場所に送り出している。


ミルティナさんやヒャーズさんみたいに特訓が必要な人はメニューを組んで送り出し、ガンジャスさんみたいに寛ぐ人は寛いでいるし、開発に先駆けて整備として山に手を出しているウォーレンさんなんかもいる。


トワは気分に依って変わるのだが今日はお休みだ。何をしているやら。

デテゴは普通に移転のための仕事をしている。従魔隊は俺と一緒にはいるが自分たちで何かやっているし、寛いでいるように見えるけど。


「ところで今日はパーティーをすると聞きましたが?」

「そうですね。火山方面ですけどいい場所見つけたからどうかなと思って。今日いい知らせがもらえると思ってなかったからちょうど良いですよ」

「私も一度連れて行ってもらったけどきれいでしたよ~」

「そう言われるなら私もお邪魔して良いですか?」

「もちろん!メディさんも連れて来てくださいよ。むしろサティさんが連れてきそうですけど」


サティさんはメディさんと一緒に今日は過ごすと特訓をお休みにしている。もうさすがにメディさんも他の護衛が付いているとのことで安全に過ごせているようだ。抜群の薬師という名前は売れているそうだが。


「そうなると危なく僕だけハブられるところでしたかね」

「もしかしたらそうだったかもしれませんね」

「こら!イレブン!」

「ごめんって」

「構いませんよ。参加できるのですから」


見つけたと言っているが、ゲーム時代の知識である。さすが日本で作られたゲームだ。2週間だけではあるが桜が咲いている地点がある。花見したいなと思い立ち、記憶と実際の地図を照らし合わせてこの辺りじゃあないかという地点をフレンドビーたちに探してもらった。

何といっても花と蜂という相性の良さで時期のこともあったけど割とすぐに見つけてくれたよ。まだ咲いたばかりだったようなので、毎日様子を見て満開に近い頃合いの今日に実施となったのだ。


そんなわけで今日の俺とリセルはエプロンに三角巾姿で今日の花見弁当を仕込んでいる。大人も多いから花見と言っても夜桜ですよ。


「じゃあザールさん、ガンジャスさんとかデテゴ用にお酒の係をお願いします。手はいりますか?」

「もらったマジックバッグがあるから問題ありませんよ。うちの従業員も最近は察してますが、直接聞いて来ないだけの分別はありますし」

「ではお待ちしてますね」


いそいそと準備にもどろうとしたところで待ったをかけられた。


「ちょっと待ってください」

「はい?」


ザールさんがニコニコと微笑んでいるのを見て少しだけ背筋が寒くなる。


「許可を出した領主というのが誰だかを伝えておかなくてはいけません」

「え。後じゃダメですか?」


直感は聞かない方が良いとなっているが、聞くのは確定っぽい。


「今の方が影響が少なくて良いと思いますよ」

「……どうする?」

「私は先に聞いておく方が良いと思うよ」

「じゃあ聞きます」


ザールさんはそれは良かったと変わらない笑みのままで言う。


「国王陛下です」

「はぁ…」


予想は当たっていたが、なぜ先に聞いた方が良いのかまでは分からない。


「事の重大さが分からないでしょうから細かく説明しましょう。この国の政治としての組織図は分かりますか?」

「主に貴族が担っているってことくらいしか把握してないです」

「本当はもう少し細かい分類はありますが、それが分かっていれば十分です」


話が長くなりそうなのでリセルがお茶を淹れに行った。……逃げたな。話を聞く義務は俺にあるようなので俺はそのまま聞く。


「通常は貴族がそれぞれの領地の意見を吸い上げ自分たちの権利を主張しながら意見をまとめます。国王陛下は国全体を見て採決をするわけですが、今回の件を受けて一つの決定を貴族院を通さずに決定されました」

「はぁ」

「グレイブ村周辺の土地の王領直轄化です」

「はぁ」

「まだピンと来ませんか」

「いや、全く」


何がすごいのか全然ピンと来ない。あれ?許可って出たんじゃなかったっけ?


「つまり今回の件を受けて、イレブン君の働きを多大な感謝と共にお認めになられたのですよ。貴族になることも無くグレイブ村ひいては『極上の果実』ダンジョンを自由にして良いと国王陛下が決定されました」

「なんとなく分かってきました。王領だから他の貴族に邪魔されないということですね?」

「そういうことです。ダンジョンで取得したものを納める必要はありますが、それは私の方でやっておくことにします」

「ザールさんも来るんですか?」

「当たり前ですよ。公式には王領の代官も拝命しました。商人と兼任することも珍しくありませんから」

「結局いつものメンバーが集まってきましたね」

「キミにはそっちの方が驚きのようですね?」

「いや、十分驚いてますって」


たぶんものすごい特権使って保護してくれたってことなんだろう。そういうところはゲーム時代の国王と性質が似てるな。田舎者の主人公の意見を素直に聞き入れてくれる辺りが。


「納税って現物支給の方が良いんですかね?」

「そちらの方が喜ばれるでしょうね。しかし他の土地を干上がらせてもいけませんからこちらで上手くやりますよ」

「俺には絶対できないんで頼みます。でもなんで今が良かったんですか?後でも変わらない気がしますけど」

「キミとリセルさんだけだったら事の重大さを理解しないと思ったからですよ。王国民なら国王が認めたと言うと飛び上がって驚きますよ」

「そんなもんですかね」

「はい、お茶です。話し終わった?」


お茶をすすりながら俺の理解できた範囲でリセルに伝える。ザールさんの訂正も無かったから凡そ問題無い理解だったようだ。


「…ってことらしいよ」

「ふ~ん」


「「「…………」」」


じっとザールさんを見るとほら今の方が良かったでしょうと一言ちょうだいした。


「あんまり詳しくは言わない方が良いみたいだね」

「そうだな」

「一応喜ぶと思ってやった令嬢たちとの関わり作戦の詫びも入っているそうですよ」

「あ~、あれですか。ひたすら辛かったです!」


ザールさんが苦笑気味に言う。


「貴族と関わり合いになったり、貴族になることを目標にする人がいる中でイレブン君のその感覚が少々難しいですね」

「そうですか?」


そう言われても貴族なんてなりたくなかったし、リセルが代わりにニコニコしていたので良い返事だったのだろうと思う。


「さて、花見の準備再開しますか」

「お~!」

「では、お酒を準備してきますね」


それぞればらけて準備に戻った。俺はこれからおにぎりを握るよ!

これ書いているころはちょうど花見の時期でした。少し散歩しません?


お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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