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方針変更!

ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

「というわけであのフレアワイバーンの元の飼い主の竜がこのアガットでさっき飛んできていた竜だ。敵対の意思は無いそうだから避難や警戒はしなくていい」


どうせ暴れたとしても俺にも止められないから誰が先に死ぬかどうかというところだが、ティートとセラに謝罪するあたり暴れるなんて未来は来なさそうだと思って良いだろう。


「大丈夫というならこの事態を報告して来よう。竜に関しては後でまた報告してもらうぞ」

「はいはい。了解」


元王族なのに中間管理職のような立場でいそがしそうにしているデテゴを見送る。公式な役職を持っているのはデテゴだけだもんな。

とりあえず騒然としている闘技場を後にして俺たちの家へと移動する。空間接続でこっそりとね。



周囲の様子を見聞きすると竜が忽然と消えたことでいくらか安堵している部分もあるみたいだ。ある程度の強者になると竜のオーラを感じ取れるらしくみんな目の前のアガットに注目している。


そしてその肝心のアガットだが。


『ついては我が責任を持って幼子たちを育てるとしよう!引き取っていくぞ!』

「待て待て待て待て!!」


今にも連れ去りそうだったので全力で止める。


「本人たちの意思をちゃんと確認してからにしろ。その子たちはお前から見て幼くても自分で考える分別はつくんだから。ティートにセラ、お前たちはどう思う?」


アガットと俺を交互に見比べて、二人で相談してから皆の前で発表する。


「イレブンさん達と一緒が良いよ」

「わたしも」

『ッガーン!』


まず竜だという時点で怯えているからな。無理もない。というか口に出すな。


「竜と人間じゃそもそもの文化の差が大きいだろう。だったらこっちの方が良いと言うのは当たり前ってもんだよ」


情操教育にワイバーンを育てるとかワイルドが過ぎるよ。しかも逃げられてりゃ世話ない。


『ならば我もこちらで住まわせてもらうぞ』

「はぁ!?」

『何、幼子らが成人するまでだ。何年くらいだ?30年くらいであれば問題無いぞ』

「えっと、ふたりとも何歳だっけ?」

「俺たちは8歳だよ」

「じゃああと8年くらいだけど」

『ならばすぐではないか8年くらい人の世に紛れるくらいは余興というものだ』

「竜なのに大丈夫なのか?」

『問題無い!何かあればすぐに帰れるからな。何かあればあちらから我の元に来るであろう』


トラブルの臭いしかしないがアガットが更に居候することになった。どちらかというとティートとセラの世話係という感じだろうか。まあ武力的な面での心配はなくなったとみていいだろう。


『ここの長はお前か?小さき者よ』

「今は同じくらいの大きさだろう。それにいい加減名前覚えてくれよ。俺はイレブンだ」

『む。そうか。ここには小さき者が多くいたな。では、イレブンよ。ワイバーンを惑わせたものを探す協力をしばらくの世話賃として納めるがどうだ?』

「くわしく!」


願っても無い申し出がアガットから出てきた。世話人をすることになったふたりの経緯は話してある。


『ワイバーンたちが我の元から逃げ出したのは我の不注意であるが、人間の村を襲うような真似は仕込んでおらん。そもそも奴らは魔物だ。何者かに手引きされん限りは集落には入れんはずだからな。その手引きしていたものを探していたのであろう?』

「その通り!ただ、声を頼りに探すのも中々難しくて、違う思惑にも巻き込まれそうだし」


王国的には俺を力として取り込んでおきたいんだろうけど、まっぴらごめんだ。全力で王都から逃げ出したくなっている。解決してないから逃げてないだけで。


『何か魔力の痕跡として残っていれば我にはにおいとして嗅ぎ取ることが出来るぞ。小さき者には難しかろう』

「ぜひ頼みたい。どんなのならいける?」

『直接魔力の痕跡が残るものが良いな。今回の場合であればワイバーンの肉でも残っていれば良かったが』

「…全部食べました」

『ふむ。ならば他の者でも構わん。手がかりになりそうな物や生命体など何か無いか?』

「そんなのあったかな…?」


必死に記憶を探っているとトワが服の裾を引っ張ってきた。


「イレブンがいろいろと引きちぎった人は?」

「引きちぎった…?ああ、ボナソンか!やつなら何か持ってるか影響を受けている可能性はあるな。トワえらい!」

「役に立った…」


むふ~と鼻息荒くなっている。子どもたちは受け入れてキャッキャウフフしている。


ここで大人たちが固まっていることに気づく。


「みんなどうしたの?」


リセルとロイーグさんが解説してくれた。


「さすがに中々慣れないというか」

「戦闘強い組は竜のアガットさんだっけ、その強さにびっくりしてしまっている感じかな」

「大丈夫だって~」

「戦闘弱い組はだな、ただただ竜と何の気負いも無くイレブンに驚く以外に無くなってる感じだな」

「それ褒めてる?」

「微妙だ」


みんなからの新たな評価は仕方ない。色んな生き物とも話が出来るなら分かり合えるみたいなマンガは多かったし、実際にアガットとは意思疎通できてしまった。

今は敵わないだけで倒したことのある竜にそこまでビビる必要性を感じないんだよな。むしろ新たな目標が向こうからやってきたことに感謝したいくらいだ。


もう少し仲良くなったら魔国まで背中に乗せて運んでくれたりする可能性もあるしな。ティートとセラも同行することになりそうだから戦闘メンバーをもう少し鍛える必要はありそうだけども。

侮られないように向こうの将官クラスくらいには鍛えておかないとな。これで現状の王国の兵力と村の兵力が逆転することになるけど別に気にしないでおこう。


「さて、ボナソンと面会を頼むにしても窓口はデテゴしかいないからな。もう少し状況が落ち着くまでは待つとしよう」

『ならば料理を食わせてくれ。小さき者の技術を堪能させてもらいたいぞ!』

「分かったよ。リセル、出来たら手伝ってくれるか?」

「はいはい。みんなもイレブンについて来るんだったらこれくらいは慣れないといけないよ~」

「そうだよな。イレブンだもんな」

「いやそうは言っても竜だぞ。私も見たことない」

「ミルティナさんでないならもうそういうものとして受け入れた方が良いな」

「よし、諦めよう。状況の理解は放棄だ」


段々みんなの投げやり度が増している気がするな。原因の俺が言ったらダメか。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


そこから二日経過してようやくデテゴを話す時間が取れた。


「思ったよりも長くかかったね」

「あぁ。お前とアガットだったか、竜が話し合いとして使った場所の調査やら貴族たちが集まるのを阻止しようとしていた宰相の相手やらでいそがしくてな」

「前半は聞き流すとして後半について詳しく」

「俺は前半の方こそ大変だったんだがな。まあいい」


だって後半の方が聞き逃せなかったんだもの。


「宰相殿がだな、『貴族である上にあろうことか女性に疑いをかけるとは何事か!』って言いだしてな。これ以上の集まれないように妨害されたんだよ」

「別に構わないよ」

「何?調査は諦めるのか?」

「アガットが魔力の痕跡から追跡できるみたいでね。ボナソンから辿ってみようかって話になってるんだ」


次はその手配を頼みたいと笑顔でお願いしてみる。


「俺の苦労は何だったんだよ…」

「そうなるよね。それはごめん」

「次善の策があるならいい。それとだが調査の結果がもう一つあるぞ」

「なになに?」

「王都の警備についてだ」


魔物が入って来れないように自動的になるとはいえ人の攻撃については無防備になる件だな。ワイバーンが侵入できたのも魔物ではなく使い魔の判定で人の攻撃だと認識されたからだと思われる。

そういった攻撃を防ぐために希少な結界魔法の魔導具が王都の外壁には仕込まれているはずだがそれが無効化されていた。


「しばらく魔力が注がれていなかったみたいだな。こっちも何かあるかもしれないから捜査が入れられるだろうな」

「そっちは正規の人たちに任せるよ。疑いの強い人が抑えられたら協力するし、怪しい物ならアガットって奥の手も出来たからね」

「言っておくがごまかしがきく範囲を超えてるからな。善意の協力者ってことにしてるが、ほぼお前だってバレてるからな」

「跡形も無く消える準備はいつでも出来ているよ」

「それも言っておくか。これ以上の手出しはされなくなるかもしれん」

「ぜひ頼んだ。だからボナソンのこともついでに頼むな」

「公式、非公式のどっちだ?」

「たぶん非公式の方が楽じゃない?ってことで空間接続できるようにこれ渡しとくね」


空間接続で繋ぐ目印となるペンダントを渡しておく。


「まあ一日あれば出来るだろう。期待して待ってろ」

「ありがとう!」


翌日、直接では無かったけどデテゴから設置完了という知らせが来た。夜中に潜入といきましょうかね。

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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