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竜と話をすることになったけど…?

ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

「りゅう……竜って!?」

「竜だよ!ワイバーンなんかじゃない!でっかいおとぎ話の竜、ドラゴンだ!」


デテゴに詳しく話を聞いてみると蛇に似ている方の龍ではなく、トカゲに背中から羽根が生えた方の西洋竜だ。それならゲームでも見たことがあるな。東洋龍のタイプは出なかった。もう少ししたら会いに行くつもりの青龍がこのパターンだと期待している。

デテゴから詳細を聞くとリセルとデテゴだけじゃない。部屋の中にいるほぼ全員が慌て始めた。


「何?王都を狙ってるの!?」

「逃げた方がいいんじゃないか?」

「どこへ逃げるっていうのよ!」

「う~む。ついにお迎えか」

「じじい!縁起でもないこと言ってるんじゃねぇ!」


慌てていないのはトワとガンジャスさんと俺だけだ。そんな二人に知っていることを聞いておこう。


「ねえねえ、そんなに慌てることなの?」

「ふむ。やはり何とも思っとらんのか。何とか出来るとしたらお主だけかの」

「ドラゴンはA級冒険者20人が立ち向かって1人生還できれば良い。おまけにそこまでやっても倒せるかは分からない」

「そんな感じなのか」


倒せないわけでは無い。ただし、最低ランクの竜でもレベル200が4人いればまあ何とか倒せたけどな。プレイヤーであることが望ましいが、AIが自動で動かしてくれるのでもいい。それでも倒そうとするには俺でも少し早い。

竜はエンドコンテンツの入り口だ。最終的にソロ討伐とか目指すけどそれはレベルも装備もしっかり準備してのことだ。


「1人で何とか出来るの?」


トワの呟きに慌てていた周囲が俺を思い出したかのように俺に視線を集中させる。


「レベル180ならいけるのか?」

「しかしいくら何でも一人では…」

「わ、私もついて行けば何とかなる?」


リセルが恐怖を我慢して聞いてくる。リセルのレベルアップは俺が渡した魔石を経験値に変換することで為される。多少の戦闘経験はあるが、物珍しさに誘拐されないようにと抵抗できるようにするために上げたものだ。


「いやリセルはレベルはあっても戦闘訓練はそんなに付けていないだろう」

「スキルを全開でやれば何とかなるよ!」


コトシュさんが言う通り極限の戦闘にさらされたことの無いリセルではいきなり竜の相手は厳しいだろう。リセルのスキルは確かに強力だ。今までロクに使ってなかったとはいえ固有スキルがあれば戦闘には便利ではあるだろうけど。

逆に言えば上手く使わなければ危険ではある。いつかやろうとは思っていたが、そんなことが想定される相手はほとんど魔国にいる。王国にいる間にそんな事態に巻き込まれるとは計算違いだ。となると答えは1つだ。


「王都の外で迎え撃つから王都に被害が来そうになったら防御に使ってくれよ。その方が心置きなく戦えるから」

「……分かった」


心の底から理解したわけでは無いかもしれないが、言われたことは行動してくれそうだ。無事に終わったら訓練を積むとか言いそうだな。まあいいけど。


どちらにしたところで何とか出来る人材がいるとしたら俺くらいだろう。あとはもしいるとしての犯人か。ワイバーンと同じで操っている可能性もあるか?いや、ここ数日何も無かったのが繋がらない。別件を考えるべきか。どういった理由だろうとも竜に王都で暴れさせるわけにはいかない。お世話になった人がいるわけでは無いが、さすがに国の根幹が崩れるのはマズイことくらいは分かる。


うだうだ言っても仕方ない。行くか。


「じゃあ行ってくるから出来る限りのことはしてくるよ」


装備を一番戦闘向きに変えて外に出ると、後は任せたとばかりに空中へと飛び出した。


途中既に集まっていた貴族たちを見るとそのまま避難所になるようで大勢の人が押し寄せていた。貴族ばかりのところに平民も押し寄せたから新たに怒号の原因になっていそうな気はしたが他に多くの人が集まれるような場所が無いから仕方ないだろうな。空中を駆けていく俺に気づいた人もいるかもしれないが無視して空へと駆け上がった。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆



闘技場の上空に出てみると東の空に竜の姿を見つける。西にある魔国にいるはずの竜が東から来るのはなぜだろう。だが今はそんなことを考えている場合ではない。


「今から行けば王都内に入られることは無いかな」


魔力を高めて狙いを付ける。


「極雷砲!!」


稲妻よりも太い雷光が飛来する竜目掛けて横向きに発射される。


ただ竜も強い個体のようで壁のようなものが直撃を避けさせる。多少削られたが雷が竜の表皮を撫でたようにも見えるが無効化されてるようだ。攻撃力の低い攻撃は竜鱗のせいで無効化されるしな。やっぱり直撃させないとダメか。


先制の一撃は無駄に終わったが俺という存在を向こうに知らせることが出来た。場合によっては意思疎通が出来るから話し合いをしてみようか。無傷なら話くらい聞いてくれるかもしれない。


近づいていくと竜の方が先に進攻を止める。これくらいから先が全部攻撃可能な間合いという訳か。ひっろいな!


問答無用に攻撃してこない辺り意思疎通は出来そうなことに胸を撫で下ろす。さっきので怒ってなければだいいけど。自分の攻撃の間合いにまで近づいたところで俺も進むのをやめる。

上空は風が強いのだが、お互いに話し合いが行われることが分かっているから風に邪魔されないように風魔法の制御を利かしている。それだけで相手の強さも分かる。


いや~、この竜にはちょっと勝てなさそうだ。しかし、やれるだけやらなければ。最悪仲間たちは福来が空間接続でどこかに避難させるだろう。あとは竜の目的次第だ。


「もしも~し、言葉は通じる?」


『通じているぞ。小さき者よ。先程の電撃は見事だった。からだの疲れをほぐすのに良さそうだ』


マジか~。極雷砲って結構殲滅用に使う魔法なんだけどな。まだまだ威力が弱すぎるか。もっとレベル上げしないとダメだな。


「それならいくらでもほぐしてあげるからさ。ここから先に無暗に進むのは止まってくれないかな。小さい者なりがんばって大きくした家の集まりだしさ」


『用事が済めば戻ろう』


「用事って?協力できることなら協力するよ」


『ふむ。近づいただけで騒ぎになるような状態では捜し物も出来ぬか。よかろう。このあたりにワイバーンが来なんだか』


すごく核心を突く問いだ。これは答え次第で火の海になる可能性が残ってるぞ~!美味しくいただきましたって言ったらどうなるのかな~?


「フレアワイバーンのことですかね」


『そうだ。火を吹くワイバーンだ。十数匹はいたと思うのだが』


「行方を知っていると言えば知っているのですが、大切なワイバーンだったりするのでしょうか」


『我としてはどちらでも良いのだがな。世話の面倒を押し付けられていたのでな』


よっし!かなりこちらにとって都合の良い状況じゃないか!


『我が娘がどうしても飼いたいと言って聞かなかったのだが、飽きると世話を自分でしなくなるのだ。せっかく捕まえたのだからと言っても聞かぬし。小さき者でもそういったことは起こるのか?』


ただの育児中のパパかよ!いやママかもしれないけど。


「あるといえばありますね。情操教育に小さい動物を飼ったりしますよね」


『そうか。あることなのだな』


何かに納得したように頷いている。こっちから少し踏み込んでみるか。


「ワイバーンは逃げ出してしまったのですか?」


『それがな。小さき者どもに盗まれたようなのだ。それを娘に怒られてな。自分で世話をしなかったというのにいなくなった途端にこれだ。子どもとは全く難しいものだ。もう父とは話はせぬと言われてしまってな。探しに来た次第である』


「なるほど」


竜のオスであることは確定したけど、もう死んでいることを言ったらどういう反応が返ってくるだけがまだ心配だな。しかし言わないわけにもいかない。


『探しに来たのは良いが、ここらで匂いが途切れておる。それにお前から少し匂うぞ。お主、知っているのではあるまいか』


ひぃっ!バレた!


「ええ~っとですね」


『待て。口から匂ってくるな。ということはお主、食いおったか!』


全部バレた!!どうする!!?

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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