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三回戦第三試合決着

ミルティナとサティさんを間違えるという失態をしてました。誤字報告をしていただいた方ありがとうございます!


ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

ヒャーズさんのスカウトの話は、結論から言うと参加してもらえることになった。


ソロでヒャーズさんが冒険者をしていたのは火魔法にしか強い適性が無く、それで苦労したためだそうだ。いろんな場面で砲台になることを求められる魔法使いとして求められなかった。パーティとしてどうしてももてあまされることが続いたため自ら脱退。

それから新しく杖術を学び、得意な火魔法の色んな使い方を考えて新たに話を得ることが出来ないかと武闘大会に出場したところに繋がる。


しかし、適正はあくまで目安のはずだ。どんな性能のキャラクターでも苦手だからと言って全く覚えられないことは無かった。苦手だろうと身に付けることが出来るはず。指摘の通り、他系統も簡単なものなら使うことが出来ていた。そこで更にアドバイスを送ったことで興味を持ってもらえた。技術的にはより高い制御が求められるが効果は高くなる工夫だ。見本を見せることで信用を得たともいう。


何を見せたかというと火魔法と弱くても風魔法を組み合わせるのを見せたのだ。救護室の中なので本当に弱めに調整している。

他系統が使えるのなら水を持ち歩く必要が無くなるし、土魔法で地面を均すことで寝床の確保にも役立つだろう。そうすれば一人でもパーティでも旅を続けるのに非常に役立つ。攻撃魔法しか考えていなかったみたいだが、目からうろこが落ちたようだった。

ただし魔法を同時に2つ使うことも火魔法をこれ以上工夫していくのも高等技術になる。そのためにもグレイブ村で強くなっておいて越したことはない。境遇を聞いた感じではずっとグレイブ村に滞在してくれるかあやしいが、それはともかくしばらくの滞在が決定した。


「いくら俺でも年下に弟子入りするというのは抵抗があるからな。共同研究という形にしよう」


若干ツンデレ風味の発言をしていたが、人が良いことは少し話をすれば分かったので了承する。


「構いません。こちらにも戦闘よりも研究に打ち込むことにしている人がいますので、話が合うかもしれません」


手を振ると姿を現したステルスビーを見せて伝えておく。


「この蜂を連れて特別観覧席に行ってくれたら俺のパーティがいます。そうでなければ冒険者組合のネマさんって受付さんに俺の借りている家の場所を聞いてください。連れている相手には教えてくれるようにネマさんに伝えてあります」

「あの受付嬢相手に特別扱いを了承させているのか。強いことは知っていたがそこまでとは…」

「まあ運が良かっただけですよ」


誤魔化しておく。運が良かったのは見せておいた方が良い相手に見せることが出来たという巡り合わせの方だ。実力に関しては調子に乗ってはいけないが調子に乗っても良いくらいには強い自信がある。だから制限をかけているのだけれど。


「さっそく向かわせてもらうよ。それと控えにいなくていいの?さっきは確かにいたように思ったけど」

「まあそこは色々ありまして。途中まで一緒に行きます?ただその場合はトワが案内することになりますが」

「む、う~ん…。いや、自分で行かせてもらうよ」


さっき戦った相手と一緒に行くのは気まずかったらしい。


「今はちょっと尖ってますが悪い奴では無いので」

「それはまあ構わない」


そんなことがあって少し案内だけしておいて救護室を後にした。本来なら試合で気絶した人相手に起きてすぐに交渉なんて権限を認められていないと出来ることではない。

もう少し検査なり治療なりを行ってからでないとヒャーズさんは救護室からは出られない。だからパーティのいる場所を2通り伝えておいたのだ。今まで一人で行動していた人にすぐに集団行動しろと言っても無理がある。


頭の中で色々とフォローを加えておいて帰りを急ぐ。救護室を出る前に一際大きい歓声が上がったから試合の結果が出たのかもしれない。通路に観客の姿が見えることからいっても間違いないようだ。

急いで戻っておかないとトワが俺の真似をすることになってしまう。常識的なスピードで走りつつ、自分にトワの幻影を纏う。身長が違うから俺の視点からだとトワの頭が見えるんだよな。体格が違うのにかけられることがおかしいとしか言えない。


通路を通って控え会場に出ると、待っていた俺の姿をしたトワが必死そうな顔で立ち上がったので落ち着くように手で指示を送り近寄ると高速で立ち位置を入れ替えて見た目を誤魔化す魔法も解除する。


「間に合わないかと思った」

「俺もそう思ったよ。けど間に合ったから。サティさんとミルティナだとすぐに終わりそうだもんな」

「体術での経験が違う」


既にデテゴとボナソンの試合が終わって第三試合が始まっていた。ミルティナは変わらず理力のスキルを使って体術を仕掛けていくがサティさんはそれを軽々と捌いている。一応万が一を考えてか二剣とも抜いて攻撃を捌いているから完全に油断しているわけでも無い。


「俺のようにスキルに頼らない技術としての強さだとサティさんが一番体現してるのかもな」

「力だとデテゴ。さっきも勝ってた」

「やっぱり勝ったのはデテゴか~。まだ余力がありそうな感じだったけど降参したってところか?」

「そう。見てた?」

「見てはない。何となくの予想」


言ったことは本当だ。まだ確証が持ててなかったけどこれでもう一歩確証が深まった。あとは本人確認するだけなんだけど、今ここで確かめようとしても意味が無いんだよな。だとしたらせめてミルティナと少し話をしておきたい。


「しかし、ミルティナもヒャーズさんと同じでまだ自分のスキルを最大限活かしきれてないな」

「一撃当たれば大きいだけじゃダメ?」

「サティさん相手だと攻撃を当てることすら一苦労だろう?見た感じ一撃も入れられないくらい差があるっぽいし」


本当なら一撃くらいは当てられるはずだが、回避に徹して本当に安全な時だけ攻撃する姿勢で臨んでいるサティさんには一撃もミルティナの攻撃が当たっていない。


「それも、見てた?」

「いや目の前の試合運びを見ていればそのくらいの予想は付くだろう。ミルティナの方が焦って攻撃している分体力の消費が激しい」

「サティの勝ち?」

「たぶんな」

「ふ~ん」


何かを考え込んだトワだが、再度俺の方を向くと驚くことと聞いてきた。


「今のミルティナでもサティに勝つ方法ある?」

「お、自分のことばっかりだったのが少しは周りに興味が湧いてきたか。良いことだ」


暗殺者だった時は自分と依頼された相手の急所だけ考えていればまずは良かったもんな。単純にそれだけだと生き残れないからもっと複雑ではあっただろうけど。


「ヒントを上げるから考える練習にしてほしいけど、トワがサティさんと戦うとしたらを考えた時にどうするかで答えが出ると思うぞ」

「むぅ…」

「これだとまだ思いつかないか?さっきの自分の戦い方を思い出すんだ」


そこまでヒントを与えると何かに気が付いたようだ。


「移動に使う?」

「正解」


ミルティナは見たところ攻撃の一瞬だけスキルをより強めることにしているが、移動の際は通常状態でしか使用していない。そうなると経験豊富なサティさんの隙は突けない。

意外性の無い攻撃は王道を貫くと聞こえはいいが読みやすい攻撃でしかない。しかも自己流でやっているからだろう。攻撃の際の体重移動もまだまだ甘い。これは俺が武器を使わずに体術で過ごしてきたから分かることだな。


「平面だけでなく立体的な動きで攻撃されることにはあまり慣れてないからな。どんどん使っていけ」

「練習しておく」


決勝の相手だからこれ以上にお互いに言うのは止めておいた。


その後も同じようなヒットアンドアウェイをくり返したサティさんが喉元に交差した二剣を突き付け、無難に勝利をもぎ取っていた。

変わらず俺の横にはトワが途中で試合についての質問をしながら見ていた。


「これで試合は終わったけど、そういえばリセル達のところには行かないのか?」

「ミルティナのスカウトは私とサティでやる。あとはイレブンの横で見ていて学びがあった」

「そう言ってもらえると光栄だよ。じゃあがんばってくれな」


殺伐とした終わり方ではなく、お互いに意識のある状態での終了だったため帰ってくる最中からサティさんはミルティナのスカウトを始めてくれているようだ。そこにトワが近づいていって話に参加する。

彼女をスカウトしてしまえばあとは知り合いしかいないから一仕事終えた感じになるな。さて、では勝つことに集中することにしよう。

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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