表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

253/335

依頼の処理に色々と奔走

ブクマ・評価・いいねなどいつもありがとうございます。読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

「神獣の遣いか。リセルもいるしちょうど良いだろう」

「俺も特に構わないぜ」


現場に居合わせなかった2人にも特に異論は無いようだ。蜂娘たちも糸太郎たちも問題無しとのことなので俺の意見が通った。


「なんか横暴じゃない?」

「そんなことは無いぞ。さあ、戻って依頼を受けていこう」


さて、リセルを完璧に誤魔化したら依頼を探しにまた組合まで戻ってみよう。子どもたちに絡まれているロウたちのことを考えると今日は見繕うだけになりそうかな。


「武闘大会の前後はここぞとばかりに大きな依頼が出されることが多いからな。しっかり稼いでくれよ!」

「デテゴはここでゆっくりしてていいの?」

「俺は構わないんだ。しばらくは休暇だ。それだけ冬の間にしっかりと後輩をしごいてきたからな」

「これは本当なので安心してくださいね」


サティさんがフォローしてくれたので信用しよう。デテゴだけの言葉ではイマイチ信用しきれないからな。


「じゃあ一緒に来てお勧めの依頼とか教えてよ」

「何で休暇中に直接出なくても仕事場みたいなところに行かないといけないんだよ」

「いいじゃん、ケチかよ」

「あ~あ~、イヤだね。まあ1つだけアドバイスをしておいてやる。指名依頼でも断れるから貴族の依頼はよく考えて受けろ」


いきなりがらっと雰囲気を変えて話してきた。こういうときは真面目に話しているからちゃんと聞く方がいいな。


「なんで?」

「やつらは言ってしまえば権威を笠に着てやりたい放題のやつもいる。一旦名前だけ聞いてザールに確認しろ。あいつに聞けば問題無い」

「名前を聞いただけじゃ分からないもんね。貴族たちが俺たちのことを知らないだろうからしばらくは大丈夫だと思うけどね」

「厄介な奴ほどどこかから湧いてくるもんだ。まあ何とかするだろうけどほどほどにな」

「俺が無茶やらかす前提で話すのはやめてくれないかな」

「言ったところで聞きはしないのは分かっているからな。一応言っておいただけだ」

「うるせぃ!じゃあ行くよ」

「おう!それじゃあな」


デテゴとサティさんとも別れてまた大所帯で移動する。さすがにソウガたちに群がっていた子どもたちにも勘弁してもらった。最後の方が福来の愛らしさにも気が付いていたので簡単に外を出歩けない感じになってしまった。他にも気を付けないといけない奴らがいるので先に対処しておこう。


「俺たちだけ先に戻っていようか?」

「いや~、一緒に行動した方が良いと思うよ。別行動の方が面倒なことになりそうだから。まとまっておいてくれる?ちょっと片付けてくるから」

「放っておかないの?」

「これから武闘大会なんだから少し王都の掃除をしておくだけだよ」


みんなには組合に向かってもらって俺は一人だけ建物の屋根に飛び乗って行動を開始する。向こうからしたら恐怖だろう。双眼鏡で覗いていたと思ったら俺が一直線に向かってくるのだから。


「こんにちは。まだ俺の情報が出回ってないから知らなかったかな。監視する方がいいけどされる方はイヤなもんだよ」

「なんで、ここが」


裏稼業なのか冒険者なのかは分からないけれどそこそこしっかりと装備を整えた男を一人確保した。明らかに俺たちを見ていたのだから嫌でも気が付く。


「本当は話を聞くべきなんだろうけど、あいにく俺も暇人じゃないんだ。今日の仕事は失敗ってことで引き下がってくれないかな」

「そんなことでいいのか?」

「あんたには俺が見張りを付けるから嘘はすぐに分かるからね。俺にまた監視が付けばあんたに問い合わせるからさ。別のところなら同じ目に遭わせるだけだし。あんたのところはもう手を引くように上の者に言っておいてよ。言うこと聞かないなら王都からしばらく離れるんだな。それで許してやるよ」


王都での基盤を失うから結構な痛手かもしれないけど俺に根こそぎやられるよりは良いはずだ。今何て建物の屋根の上なわけでここから姿を消させることも出来るわけだしね。その気持ちが通じたのか降参してくれた。


「見逃してくれる代わりに依頼者を教えておく。ビガリヴァ公爵家だ。あんた何かやらかしたのか?」

「ん~?何だろうか。聞いたことある気がするけど分からないな」

「ビガリヴァ公爵家はドラ息子の馬鹿で有名なダドーがいる。知らないか?」

「知ってる!完全な逆恨みだと思うよ」


仕事というよりも判断は速いんだな。試験で気絶したのだってついさっきだぞ。気絶から復帰してまずすることが俺への嫌がらせのための情報収集か。そのやる気をもう少し自分の実力を見極めることに使えば良いのに。


「俺は闇依頼でお前の情報収集を依頼された冒険者だ。公爵家の依頼を反故にして王都にはいられないから長期間王都を離れることにするよ」

「そこまで言われたら監視はつけないよ。少し苦労するだろうけどがんばって。タッツ、じゃ近すぎるか。ユーフラシアやマルクトの冒険者組合でイレブンって名前を出したら少しは面倒見てもらえると思うから使って良いよ」


この人はダドーの悪だくみとも言えない何かに巻き込まれただけだからね。これくらいの親切はしてもいいだろう。


「感謝する。ではな」


俺の返事を待たずに姿を消した。いや、正確には見えてるけど見えなかったことにしよう。


しかしなんだ。今度はあのアホが嫌がらせしてくるから何とかしろということか。何をしてくるかによるけど、それって根本からどうにかしないといけないよな。やっぱりザールさんに相談しよう。俺の結果によって国が傾くことになってもイヤだしな。

皆と合流するために屋根から目立たない路地へと飛び降りて合流するべく走った。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


そこから一週間ほどはほどほどに働いた。王都の近くには目立つダンジョンは存在しなかったので魔物の討伐は控えめに、魔力草の納品をしたり街中の雑多な依頼を引き受けていた。

雑多といっても孤児院のお手伝いをしたりだとか、おばあちゃんが自分ではできない掃除や届け物の依頼だ。掃除と届け物は別人だぞ。それからおじいちゃんの武勇伝を聞くなんて依頼もあった。


孤児院の依頼はリセルと福来たちの独壇場だ。元からリセルは面倒見が良いし、料理などの家事も出来る。福来たちも何かあったときに子どもを庇うどころか暴漢を逆に叩きのめするくらいは出来る。

いつのまにか出来ていた借金の取り立てにきた男たちを追い払った話も聞いたし、誘拐されそうになった子どもを助けた糸太郎が特別可愛がられるようになった話も聞いて良かったと思う。


トワは意外にもお年寄りに評判が良く、そういう依頼先に行くたびにお菓子を口一杯に頬張って食べさせてもらっている。これは一緒に行ったコトシュさんから聞いた。

今まで戦闘や隠密の依頼が多かったが、こういうのも冒険者の受けるべき依頼だと経験させられたのは良いことだ。逆にコトシュさんに戦闘の勘が鈍ると言われたので、安全に配慮した上で食材の宝庫に行ってもらった。ボナソンの動きをまずは自分のものにしたかったらしい。これも適材適所だろう。


俺は何をしているかというと、全体的なフォローと借家の改築だ。孤児院といえば理不尽な扱いを受けることになりがちな施設の筆頭だ。長期間安い依頼だからと見向きもされていなかったが、お金に困っていない俺たちからすれば人助けの一環だ。自分たちが食べる食事のついでに食事を一緒にすることに抵抗は無いし、将来の働き手として今からロイーグさんの技術を教えるための基礎勉強をさせるのも良い。

冒険者業は危険を伴うことが多いのであまりそう言った方面でのフォローはしなかったが、起き上がれなくなるくらいの体力勝負の遊び相手は福来・糸太郎・ソウガがいれば問題は無い。ただ糸太郎とロウのどっちを呼んでいるのか分からなくなるからか、途中から糸太郎はイットンと呼ばれていた。子どものあだ名の名付けセンスは分からないものだ。


あとは誘拐組織の壊滅とその元締めをしていた貴族の屋敷が全壊した後片付けなんかも無償でやっておいた。関係者は全員金髪の少年が怖くなってしまっているらしい。金髪なんて俺もそうだがどこにでもいる色だ。何が原因でトラウマになってしまったんだろうか。あれくらいでなるくらいなら最初から裏稼業なんかやるんじゃないよ。おっと。


お年寄りの依頼に関しては完全に慈善事業だ。慣れ親しんだ家から離れたくないならそれはそれでいいし、たまには集まって運動するのも良いですよとまだ元気な人を焚きつけてラジオ体操なんて教えておいたのでたぶんそのうち皆さんでやってくれるだろう。


あとは借家の改築もそこそこ終了した。その間に別でやっておきたいこともあったのでそちらも並行して行っていたので忙しいか忙しくないかで言えばまあまあだった。

そんな過ごし方をしていたところで指名依頼が入ったと冒険者組合から帰ってきたばかりのトワから聞いた。


「誰からの指名依頼か聞いたか?」

「何か言いにくそうだった。イレブンに直接伝えるって言われた」

「そうか。分かった。そろそろだと思うんだよな。お待ちかねの相手だと良いけど」


本当に自分から落とし穴にはまりに来てくれるんだから、楽しいったら無いね。賢かったら正面切って指名依頼なんてかけてこないよな。

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
https://ncode.syosetu.com/n8434ia/
婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
https://ncode.syosetu.com/n1262ht/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ