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拠点確保。久しぶりに気合を入れて昼ご飯を作る

今回から前書きと後書きの文言を変えました。毎日ブクマやいいねは増えてるのにお礼を言えてないのはいけないなと思いまして。長いかもしれませんが朝の挨拶と思って流してください。

ブクマ・評価・いいねに加えて読んでいただけるだけでありがたいです。お楽しみ頂けると幸いです。

去って行く後姿が見えなくなって皆にも解放されたらすることは1つだ。


「ロイーグさん、厄介事に巻き込まれましたね」


一番の被害者を労わなければ。本当ならロイーグさんだって持っている武器を使えばあれくらい簡単に追い払うことが出来たはずだ。けどそれをしなかったのはもっと穏便に解決する方法があると思っていたからだろう。道具で追い払うと今度はそれを寄越せと面倒なことを言ってくる可能性もあったわけだし。そう考えると俺の解決方法はというとどういう評価になるかは分かりきっている。


「解決の仕方が荒いな」

「先程組合の中で学びまして」

「お前な」


笑う俺たちにリセルから声がかかる。


「これ以上巻き込まれないようにさっさと移動してしまおうよ」

「了解です」


リセルの言うとおりだ。変に注目を集めてしまっていたこともあって俺たちの周りにはまだ人だかりがある。中には道に落ちていくお金に釣られてくれているが、ほとんど気が付いていない。声に出してしまうのもマズい。もっと直接的にやり込める方法を考えておこうか。


異変に気付いた職員さん達にはコトシュさんが対応してくれているから俺はハーネスをソウガに付ける。


職員さん達のおかげもあって周囲の人が散っていき、コトシュさんが戻ってきたところで状況を共有した。いきなり声をかけられたそうだ。


「この馬車を狼ごともらってやろう!」


だそうだ。やっぱり敵確定だな。貴族だろうと人にバレない始末の方法は魔法が使えればいくつでもあるものだ。次も直ってなかったらやるしかない。


「声に出てるからな」

「おっと、失礼しました」

「まあいい。拠点となる借家を見に行こうじゃないか」


いつまでも留まるのは良くないし、ダドーが冒険者組合に不良冒険者として登録されているから見逃された。貴族でも容赦ない評価だが、同じことを何度も繰り返しているそうだ。いきなり汚点と関わらせることになって申し訳ないと謝られてしまった。それは職員さん達が悪いわけでも無いのに。


問題を起こすたびに公爵家からの使いが組合と迷惑を被った人に迷惑料を支払っていくらしい。今回も恐らくそうなるだろうとのこと。支払うだけまともかもしれないが、本人が変化していない以上は金に物を言わせて黙らせていると言った方が正しいのではないだろうか。金は持っているのか。


そうなると俺のスタンスは決まって来るな。ザールさんに連絡とった方が良いかもしれないな。くっくっく。


「やっぱり声に出てるからな」

「男同士の内緒話ってことで」


御者台に俺とロイーグさんで座って道を進んでいる。


「それにしても身内に対しては甘いな」

「この世界に自分が一人じゃないと思うためには大切にしないといけないと思うんですよね」

「気持ちは分かるがな。別大陸でも時々寂しく思うもんだ。別世界ともなるとそうなるのかもしれないな」


少しだけ切ない空気が流れる。


「ただ、それでも年上としてはやり過ぎには注意するぞ」

「聞き入れるかは別問題ということで」

「このやろう」

「まあまあ」


軽口をたたくことが出来る同性の相手がいるのはありがたいことだ。


そのあと、借家を見せてくれる商店はすぐに見つかり、ソウガに驚かれたものの組合の紹介があったのですぐに内見させてもらった。全員の同意のもとに問題無く2ヵ月借りることで確定した。

実際に見てみると少し建付けが悪くなっているところがあったので、修繕の許可ももらっておいた。その分安くなるそうなので気合を入れて修繕しよう。

マルクトの時もユーフラシアの時も同じようなことをしている。しかもそのまま買い取って別宅扱いになっている。ここも同じことになるかもしれないな。


また借家の要塞化が始まろうとしている。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


とりあえずは手持ちの材木や糸太郎の糸で補強をして回った後は、初日は自分たちの持っている食糧で夕食にした。翌日の午前は俺以外の4人は近くの店の調査と荷物持ちだ。

ちなみに荷物持ちなのがコトシュさんとトワなのは適性によるものだ。むしろもっとイケると言ってくる二人なので気にしないでいただきたい。


俺が行かないのは、建物補強部隊の監督役だ。調査したところで好きなように空間接続でどこかに行く俺は無ければどこかにあるところに飛んで行くので必要ないと判断された。俺だって少しくらいは旅行気分を味わいたいのにな。


さて、要塞化作業2日目の今日は糸太郎の糸での探知罠を仕掛けているのとこれ以上縦に伸ばすことが出来ないので下に伸ばすことに挑戦している。

この世界はゴミの処理などに専用のスライムが使われている。上水道はともかく下水道というものは存在しないのだ。まあ水が貴重であることは代わりないので節約するに越したことは無い。

その上水道も井戸に頼っているところも大きい。貴族の家だと家の中だけの上水道装置もあるらしい。俺たちも似たようなことをしているけれども。


話を地下室に戻そう。俺の役割は掘ってきた土を保管しておく役だ。金属も大量に保管しているんだから土砂も同じ扱いに出来る。それから建築材の支えもだな。ソウガが入ったことで運搬に問題は無いが支える手があることはまだ俺が手伝うメリットだ。

フレンドビーたちの中に人間と遜色ない建築知識を持った個体が出てきた。そいつは本当に蜂なのかと言われると俺も自信は無いが、誰に教わるでもなくあれだけの巣を作る昆虫が基となった魔物なのだ。建築を得意とする個体が出てもおかしくないだろう。

そんな理由で地下室を上の建物が崩れないように掘っていた。


しばらく地下室が問題無いとなると次の作業は中の家具の入れ替えだ。これからしばらく使う物だからテーブルや椅子など各自の気に入っているものに総入れ替えだ。キッチンには魔力か魔石で使える魔導具を設置していく。

細かい変更は女性陣が帰ってきたら自分たちでやってもらおう。俺が任されているのは運搬までだし。そして出来た時間を利用して昼食を作る。そろそろ移動用に作っておいた食事よりもその時に食べたいものを食べたい。

移動中は手軽にパッと食べられるものと汁物を多くしているので、続くとさすがに違う物が食べたいってなるのだ。しかし何を作ろうかな。


「よし、決めた。シンプルに白米が食べたい」


米をシャシャッと洗って水に浸しておく。火にかければ炊くのはすぐだ。一緒に食べる物は何にしようか。

汁物は飽きたと言いつつ、米には味噌汁が合うなぁ。味噌もまだ十分ある。というか無くなったらマルクトまで買いに行くし。豚汁だ、豚汁を作ろう。それにどうせなら具だくさんにしよう。ネギと人参、大根にサツマイモにごぼうにしめじ!当然豚肉は薄くカットしたものだ。焼いていこう。

既に野菜は適する形にカットした。次は炒めの作業だ。ジューという焼ける音を聞きながら足りない具材に思いを馳せる。


「こんにゃくがあれば入れたのにな~。出来上がるまでに何度か命をかけないといけない具材は見当たらないんだよなぁ。最初に作り方を発見した人はキノコを食べた人並みに何か切羽詰まった状況だったんだろうなぁ」


豚肉が程よく炒められたところで、野菜も一緒に炒めていく。水も加えたところで出汁の代わりに使っているという粉末を加える。なぜか岩石という形で採掘可能だそうだ。タッツの町の数少ない外貨獲得手段だそうで思い切り買えるだけ購入してきた。


「うん、出汁岩石の名前通り良い感じだな。昔は大陸は海に沈んでいたって本当なんだろうな」


この世界の歴史まで探究する余裕は無いので、あるものはありがたく作らせてもらう。それに出汁の文化が無いこの国では名産品といっても買い叩かれてしまっていたらしい。まず高値で引き取り、正当な値段で買い取ってくれそうなマルクトの商会を教えてあげている。

仲介してくれるのは当然いつものあの人なわけだ。俺と知り合ってからバンバンうまい方向に広がっていってるよな。まあ難しいことが分からない俺はいつだってザールさんに丸投げだ。商人に恩を感じてしまったのだから良い関係を繋ぐことで今回の恩返しとさせてもらいたい。まだまだ頼ることあるしなぁ。


灰汁を取りつつ、もう一品を考える。肉は食べたいものがあったらみんなが買ってくるだろうから、それ以外か。気分だし卵焼きでも焼くか。

俺が卵焼きにこだわって鉄の成形を始めたときはまた始まったみたいな反応をされたが、卵焼きを食べさせて頭を下げさせた過去がある。フライパンで焼くオムレツとはまた違うんだよなぁ。それぞれ1つずつ食べると考えて、予備も含めて考えると…?10は焼いておいた方が良いな。

卵を20個ほど割ってかき混ぜる。味付けは塩を胡椒でいいよな。かき混ぜ終わったところで豚汁に味噌を溶いておく。一煮立ちさせたら蓋をして置いておく。味が染み込むのは冷めている間だ。なんでもかんでもアイテムボックスに入れるわけでは無い。


卵焼きに関しては同時に2個が限界だ。早く動けても卵が早く焼けるわけでは無い。ゆっくりと観察しながらやぶけないように気を付けるとどうがんばっても2個が限界になる。俺は卵焼き職人さんでは無いんでね。

おっと、米を炊くのを忘れていた。火にかけておこう。豚汁をどかせばコンロの数は足りるな、新しく出せば済む話でもあるけど。


卵焼きが10個出来上がったとほぼ同時でみんなが帰ってきた。予想通りに食べてみようと思ったと肉の塊を買って来ていたのでそれも切り分けて食卓に並べる。

ご飯と豚汁はそれぞれ一杯は食べるとしてそれ以外は自由に食べてくれというビュッフェみたいな昼食だったが皆おいしいと言いながらすぐに食べきってくれた。

作るよりも食べる方が一瞬で無くなるのはなぜなんだろうな。口に入れれば皆同じということだろうか。一種の虚しさを感じていたところで昼からの予定を確認された。


「昼からは冒険者組合に行くんだよね?」

「ああ、試験もあるらしいから食べすぎには注意だぞ」

「遅い」

「トワには遅かったみたいだね」

「仕方ない。少し食休みしてからにしよう。あとは家具について皆の好みを言ってくれないか?」


気兼ねなく過ごせることがありがたいと感じながら過ごすことにした。

お読みいただきありがとうございました。毎回の文言は同じですが、毎日感謝しております。

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