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早口でしゃべっているところはどこでしょう

お楽しみ頂けると幸いです。

皆さん正解できるでしょうか?


「ではイレブン君、君自身というよりはパーティメンバーにはお世話になったね」

「なんだ、バイスたちは一緒に行かないのか?」

「王都周辺で鍛えるのは危ないからね。優勝はもう絶対に無理だと理解したが、少しくらいは健闘したいからね。もらったメニューで鍛え直すさ!」

「そうなのか?まあがんばってくれ」


コトシュさんもバイスたちを鍛えるときに最初からずっと同行するわけでは無いのが分かっていた。だからスタミナを鍛えることだけに特化したメニューを実践していたらしい。あって損はない動体視力とか。この世界では過剰な負担をかけて鍛えるとスキルになるらしい。

俺はスキルポイントがあるけど、そうじゃなくても大概チートだなと思ったが、継続しないといけないらしい。で、まだバイスはスキルには何も目覚めていないそうだ。


だから冒険者にとって一番必要なスタミナをお付きの3人も含めて鍛えることにしたそうだ。唯一渋い顔をしているのはパーヴィだ。元が魔法使いだからね。でも走る時にお荷物になっている自覚があるからせめて走力だけでも鍛えることには賛成だそうだ。

それを証拠に馬車生活を脱却することになっている。さっきのがんばってくれの半分くらいはパーヴィに向けて言っているつもりだ。


あと、呼び名はイレブン君にしてもらった。貴族で年上のバイスが俺を師匠やら先生やらで呼んでいたら何か厄介ごとに巻き込まれてしまいそうだ。理由も込みで伝えればやめてくれる、バイスはそんな男だ。


「しつこいかもしれないが武闘大会の登録は忘れないようにな」

「ゲームのキャラクターたちが言ってくるような念押しは一体何なんだ?忘れてないよ。覚えてるから」

「ちなみに僕達はもう終わらせている!一応貴族だし、常連だからね。先に登録できたんだ。キミ達は早くした方が良いぞ!」


終わらせていることがそこまで凄いことなのか?何かあるのか疑わしくなってきた。


「あとは団体戦は団体名を決めなくてはいけないからそこも考えておいた方がいいよ。まだパーティ名決めてないんだろう?」

「まだ決めてないな。ありがとう。考えておくよ」

「それほどでもないよ。もうついて行くのは無理だ!ここらでさらばだ!」

「じゃあな~」


当然だけど既に狼車は走り出している。それにバイスががんばって走ってついて来ていたのだ。今だけ手綱をリセルに握ってもらって幌馬車の後ろでバイスの相手をしていた。

どちらかというとこちらが置き去りにしていくような感じだ。軽く手を振っておく。期待を裏切らないパーヴィと装備が重いグーボンは既に遅れを取っている。狼車について来るのが無理ってもんだよ。口々に別れを告げながら別れを告げていくが、2人の言葉が耳に残った。


「サボったら許さん」

「次は本気出させてみろ」


割と小声のはずだったけどフチョキの顔面が引きつってたから聞こえてるな。知らないってのは本当に幸せだな。がんばれ、バイス。


そんな別れをして走り出した狼車は車体がそれほど揺れることも無く走っている。すぐに手綱は俺が握ることになった。ソウガがどこまで走れるか確認するまでは主の俺が握っている方が良いからだ。


とは言っても言葉で行き先や注意点を伝えればいいからソウガが走る速度に気を付ければ良いだけだからちょっと暇だ。ただ、もっと速く走れるとソウガが訴えてくる。5人に加えてフレンドビーたちもいるから結構重いはずなんだけどな。

でも期待されたんなら応えなくてはいけないよな。本気の速度でも大丈夫なように作り変えてみよう。いい暇つぶしが出来たぜ。くっくっく。


「で、この狼車はどこがそんなに凄いのだ?」

「聞きます?コトシュさん!」


ロイーグさんとは一緒に考えてはいたものの、純粋に訓練をしていたコトシュさんとトワは全く知らない。リセルはソファを仕上げてもらったら自分の作業に戻ったので詳しくは知らないって感じだ。

こだわって作ったものについて聞かれて答えないやつはいるだろうか。いや、いるわけが無い。むしろ嬉々として語りだすのが当たり前だろう。


だが、ふと気が付く。


「あ~、いえ。俺は御者が楽しいのでロイーグさんにでも聞いてください」

「そんなに忙しいようには見えないが?」

「いえ!対向車や怪しい視線を受けていないかなど周囲に気を配る必要がありますので!」

「そ、そうか」


大人しくロイーグさんのところに聞きに行ってくれた。嬉しそうにロイーグさんが狼車のこだわったポイントを話し始めている。そこにさりげなく飲み物を渡してからリセルが御者席の横にやってくる。


「はい、失礼しますよ」

「別に失礼でも何でもないけどな」

「優しいじゃん」

「俺らは一蓮托生みたいなところあるけどさ。なんか俺も神獣に気に入られたし」


そう言ってフェンリル様からもらった氷のピアスを指で弾く。微かにリーンと音がなった気がする。


「2人は向こうの大陸の人だけどこっちに連れてきちゃったわけだろ。2人のこともそろそろ考えないとな。危険に対しての対処も出来るようになったし」

「まあ言ってくれるのを待ちましょ」


言葉としてはそれを受け入れるんだけども、脚を抱え込んだポーズでこちらを微笑みながら見てくるのはちょっと反則だと思うんだ。まあいいけど。

少し照れていたら聞いて来てくれた。


「で、あとはこの狼車のすごいところを聞けばいいの?」

「イヤイヤなら別にいいんだぞ」

「自分の手が入ったものに関して聞きたいとは思うよ」

「ならば話そう!まずは糸太郎の糸で織ってもらった一見何気ない感じに見えるこの茶色の布だが、斬撃などの物理攻撃に耐性もあるが、地水火風の基本魔法なんかも弾く性能になっている」

「あ、もう既にお腹いっぱいになりそう」


顔を逸らされたが、聞きたいと言ったのはリセルだ。


「まあ聞け。そしてこの布は天井部分にあるものを隠してくれているんだ。何かわかるか?内部から見える木材の枠組み部分だが天井が二重構造になっていて屋根裏部屋みたいになっているんだ。隙間部分にはフレンドビーたちの待機場所兼空間接続の接続場所になっている。福来がいるからこその荒業だな。ついでに防御関連は肉球印の練習がてら福来がポンポン押しているぞ。乗員のことを考えてゆっくりだが、ソウガが走っても壊れないだけの頑丈さは既に確保している」

「うんうん」

「内部構造としてはリセルも乗っているから分かっているだろうが、かなり広いぞ。安宿くらいなら入るくらいの大きさにはなっている。ここに作ってもらったソファを進行方向を横にして壁際に配置だ。壁部分となる糸太郎の布を信頼して背中を守ってもらっていると思ってくれ」

「うんうん」

「あとは必要かどうか迷ったがソファの間のローテーブルだな。休憩の時に外にアイテムボックスから大きなものを取り出せるから不要かと思ったが、やはり移動中に物を置く場所があるのはそれだけでいいな。これも設置して良かっただろう。何かあったときに慌てて蹴って壊しても大丈夫なようにスペアを用意してあるから気にせず壊してくれても良いぞ」

「うんうん」


そろそろアウトかと思ったが、まだ行けるようだ。ならばまだ話しておこうか。


「そして乗っている最中に気が付いているだろう。ソウガも引っ張るにあたって多少上下運動が発生するし車輪が石を踏んだり、前の馬車が通った跡がデコボコで取られることもあるはずだが、これに関しては既に四輪を開発していた俺たちには余裕の解決方法だ。車輪の幅を分厚く、更に衝撃吸収の素材を使っている。この辺りはやはり糸太郎が見事だと言わざるを得ない。今回ほどやつを心強い同士だと感じたことは無かったなぁ」

「もうお腹いっぱいかな」

「ん?そうか?今のは各部の簡単な紹介で本格的な内容はまだまだなんだが」

「男たちだけでやってくれないかな」

「そうか、そう言うならやめておこう。リクエストがあればまた話す」

「しないと思うよ。使うだけなら乗っていれば分かることだし」

「何か分からないことがあれば聞いてくれ」

「しんどいからしばらくぼーっとしとくよ」


御者席で並んでいると、がんばるソウガの背中と流れる景色が見える。後ろからは俺と同じくらい色々と話すロイーグさんの声と途中で理解の出来なかったところを聞くコトシュさんのやり取りが聞こえる。

俺たちには無かった『やり取り』がそこにはあった。時々しか出さないだけであの二人もそこそこに付き合いが長いんだもんなぁ。見習うべき点はまだまだあることを教えてくれる。


「そういえばトワちゃんはどこにいるの?見えないけど気配だけあるよね?」

「上に外側からしがみついてるぞ。忍ぶのが掟とか言ってた。使い方を間違ってる気がするんだけどな」

「あ、そう」


俺もそこまでは教えてないのでコメントが難しい。


そんな感じ出発してからしばらくの時間が過ぎていった。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


最初こそ狼車に浮足立っていたが、一日も乗っていると慣れた。暇な時間に対処するために氷のピアスのおかげで使いやすくなった魔法3種類を使う訓練をしておいた。

途中でリセルもノリノリで付き合ってくれたので良かったが、遠目に見えたすれ違った馬車に何か追われていないかと聞かれてしまった。俺たちの魔法が追手がかかっていると勘違いされてしまったのだ。


そこからは自粛した。また暇になった。


暇をつぶすと言えば何があるだろうか。そういえばこの国の文化に詳しくないなと思ったので身近なところからリセルに聞くことにした。

ただ単純に聞くだけでは面白くないので古今東西の形を取った。料理、魔物、植物、動物、鉱物など色々なものを聞いてみた。


一番強かったのはロイーグさんとコトシュさんだ。二人とも別の大陸とはいえ同じ環境で過ごした時間が長いだけあってお互いが知らないことが少ない。ルールの『誰かが知っていればOK』という点をうまく突かれた。

次に強かったのがリセル、トワの順だ。育って来た環境が違うが、同じ大陸で育ってきただけある。知っていることが結構重なっていることが多かった。完全に一致するわけでは無いが、その穴を埋めたのは俺だったりする。

そして一番弱かったのは俺だったりする。知っていることが前の世界基準だし、この世界では知られていないことが多すぎて誰も知らないなんてことが多かった。よく考えたら当たり前なんだ。魔国や帝国のことなんてこの中の誰も知らなくて当然なんだもの。ただ、そこまでの広がりが無いことは確認できた。確認が遅いと言えば遅いけど。

武闘大会が終わってからの行き先決めを考えておくことにしよう。


ちなみに罰ゲームは重りを足に付けての懸垂や、重りを背負っての腕立て伏せだ。重りは人によって違うが、途中から俺がどれくらい耐えられるのかみたいなことになっていった。途中でソウガが怒ったからやめたけど。

ついでに休憩時に肉をあげてソウガの機嫌を取ったことは言うまでも無い。知りたいことは知れたから良しとさせてもらおう。


「そろそろシャーグだ。目立たないようにしていこう」

「狼車には無理だと思うけどなんでですか?」


途中でコトシュさんから注意が入った。理由を聞いて驚いた。

お読みいただきありがとうございました。

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