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どんどん削ろう。数を減らすために

お楽しみ頂けると幸いです。

天昴を手に走り出す瞬間に結界を解除する。途端に溶岩による熱気を感じる。ここだけ温泉に湧き出した、いや源泉地帯がいきなり現れたようだ。日本の夏よりも暑い。

暴れているコカトリスを見て完全に止まってしまっていたコカトリス達のうちの1体に蹴りを3発食らわせた後に首を切る。切って3秒はまだ体が残っていて倒れたことで地響きがしたが、すぐに消えてくれた。魔物の消え方についてはやはり同じで問題無いらしい。


コカトリス達が再起動するまでに同じ手口でもう1体倒すことが出来た。やっぱり大きさと強さから考えると複数回攻撃しないと倒せないか。それは分かっていたことだ、別にいい。

あっさり倒せたのは不意を突いたのもあるけど、ステータスの制限を解除し、さらに精霊から少々援護をもらっている。リセルが戦闘に入ったら援護するようにお願いしてくれていたのだろう。ありがたいことだ。


さすがに2体もあっという間に倒されたことでますます怒りを増して襲い掛かって来るがその方が俺にとっては好都合。福来の隠密活動がやりやすくなるからな。それさえ終わればもっと手早く終わらせることが出来る。


「じゃあ今が使いどきだな!『覚醒』!!度肝抜いてやるぁ!!秘奥義!」


俺の繰り出す秘奥義を汲み取った天昴がロングソードから光を放ちながら形を変える。弓へと変形し、左手で掴むと弦を引っ張ると赤いやが具現化される。。


「食らいやがれ!『七星の裁き』!!」


限界まで弦を引き絞って魔力で具現化した矢を一射放つ。七星の裁きは弓で使う秘奥義だ。放ってから徐々に大きさを膨らませていく極太の追尾型の赤い主矢を放って対象を射貫く。ついでに進む途中で別れた6本の副矢がメインの矢が狙っていない敵に対して追尾を開始する。


直線に並んでいた2体を貫いてこれで4体倒した。残りの6本は当たるまで止まらないため、手傷くらいは負わせることになるだろう。主矢に比べると遅いので、翻弄するのにも一役買っている。

その間にまたロングソードに戻した天昴で溶岩に脚を突っ込んだコカトリスを始末する。切断できなかったが一撃で倒せたことで、獣系らしく火系統の攻撃が弱点だと判断する。


時を同じくして6本の副矢のうち5本が残りのコカトリスに命中するがそんなにダメージにはならなかった。ボスコカトリスが叫んだことで闘志をもう一度取り戻したからだ。

副矢を1本がボスコカトリスが留めた2体のうちの1体に飛んでいった。だがボスが身代わりになったことで威力がそこまででもないことを仲間に知らせてしまった。


ただ誤算はボスコカトリスにはほとんど無傷で済んでも個体によってはそこそこのダメージが入ったことだ。さすがにそこまでの状況になって出ないわけにもいかないとボスコカトリスが動き出した。残りの2体も動くつもりらしい。

これで手負いの5体と無傷が2体、ボスコカトリスが1体を退治することになる。


戦争って3割損耗したら撤退するんだっけ?魔物にそんな常識通用しないのと、こんな危険な魔物は根絶やしにしないといけないから逃がすわけが無い。


さて、秘奥義1回使っちゃったし、次はどう攻めようかな。

戦闘でダメージを与えないと覚醒を使うために必要なエネルギーが溜まらないし、地道に攻撃していくしかないか。


ボスコカトリスがさっきの攻撃を庇って動いたタイミングで石像は丸ごと回収されてるから攻撃範囲を気にする必要もないし、派手にやってみようか。


「『雷連鎖』に加えて『雷連鎖』」


負傷していなかった奴らにはボスコカトリスも含めて躱されたが手傷を負ったうちの2体には命中した。

じゃあそこを狙うしかないね。


「『炎槍多連』『雷槍多連』」


更に2体を仕留めた。ゲージが溜まるにはまだ不足だ。そしてボスコカトリスが無傷で残っているのが多少厄介かもしれない。回避に入るのが他の個体よりも速い。やはり生き延びるのに警戒心が必要で、強い個体の方が警戒心が強いというのは本当だな。

怒りに飲まれている他のコカトリスとは重心の置き方から違うわ。俺を強者と見て一撃ももらわないようにしている。でも壁があるうちに攻めてこないとどうにもならなくなるぞ。


でもこちらも足手まといがいるうちにボスコカトリスにダメージを与えておきたい。少し攻撃の隙を与えるか。


特に何かを仕掛ける雰囲気を持たないまま近づいていくとまず手負いのコカトリス2体が接近して来る。そういえばこいつらが石化の原因だというのは分かるんだけど何が原因かは確定させてはいなかったな。ゲーム時代では特定の攻撃が状態異常の原因になるように設定されていた。変更されていなければ羽根による攻撃だ。

しかし、どう確かめれば良いんだ?自分が石化してしまったら解除してくれる人がいない俺はすぐに砕かれて終わりではないだろうか。だったら避けるしかないか。


そう考えていたらこちらの思考を読んでいたように仕掛けて来た。


まずコカトリスの攻撃方法として目で見て分かる一番強力なのはその強靭な脚による打撃だ。ただし、当たらなければ意味は無いし、天昴で蹴りの方向を逸らすくらいなら訳はない。

次に尻尾による打ち下ろしか薙ぎ払いだ。でも予備動作があるのでどちらかというと蹴りよりも躱しやすい。この2つに関してはゲーム時に見たことがあるから当たる気配すらないな。

最後に重要なのは羽根による攻撃だ。石化に十分に注意しよう。尻尾攻撃をしている間に準備しているのか連続でしてくることが多いな。尻尾はむしろ布石なわけだ。一気に羽根が飛んでくることで躱しやすい尻尾攻撃で油断したところをブスリといくわけだ。


石化は確率で起こるわけだけどこいつらはなぜか全体的に強化しているようだ。何かこう音が違う気がする。やはり防御で耐えるよりも躱す方が確実だな。

ついで試しで天昴でも飛んでくる羽根を切り落とすことが出来るかを試すと出来た。攻撃の相殺なんてのはゲーム時代では無かったことだ。この辺りは現実との違いだな。今までに戦ってきた魔物では攻撃動作に入った段階で切り捨てていたから試すことすら出来ていなかった。。


コカトリスの行動が同じということは石化の原因も羽根が間違いないだろうことは確認できた。気を付けないといけないのは尻尾攻撃の後しか羽根を飛ばせないことは無いだろうからそこだけ気を付けておこう。

これだけ数がいればドロップアイテムで羽根を落とすだろうから通常のコカトリスとは何が違うのかはそれで確認できると思う。コカトリスの羽根にもアイテムとして使用することで石化させる効果あったはずだし。使ったこと無いけど。


考え事はしているがコカトリスが拙いながらも途中で入れ替わりながら交代で攻撃を繰り出してくる。まあ特に苦も無くいなしている。力比べとしても負けてはいるけど、全力で精霊の手助けももらっているとなると吹き飛ばされることもないな。

体の大きさもあってかコカトリス達には疲れは見えない。ただ、1体が巨体過ぎて2体同時に蹴りに来ることも無い。前後の挟み撃ちくらいだが、そこまではさせないように立ち回るくらいは出来る。というかコカトリスの体が大きすぎて俺の姿は後ろからは時々でしか見えていないだろうな。


ということはそこがチャンスだ。攻撃を躱して天昴を持つ手を放して左手をコカトリス達の立っている地面に向けて放つ。


「『爆風』」

「ゴゲッ!!?」


野太い悲鳴を聞きつつ天昴を腰だめに構える。剣を全力で振りながら嵐魔法を凝縮して飛ばす魔法剣技を繰り出す。


「『嵐刃』」


言うなれば飛ぶ斬撃だ。風魔法寄りは威力は強い魔力がこもっている。一瞬の内に飛んでいき、一直線に進んでボスコカトリスの不意を打つ。これで少しでもダメージを与えれば後が楽になる。





つもりだったが、無傷のコカトリスがボスコカトリスに体当たりを加えた。そして身代わりとなるように攻撃の当たる位置を奪った。ボスからすれば致命傷でもない多少消耗する程度の一撃だったはずだが、位置が悪く助けに入ったコカトリスのちょうど首の位置だ。スッパリ切り裂かれて一瞬で煙になって消え去った。


「クルワァ――――ッ!!」


ボスコカトリスにとって今の死んだ個体がどういった関係だったのか聞く気も無い。まず聞けるわけが無いし。今まで人間やフォレストウルフといった石像にしていた魔物たちにとって同じことをしていたのだから謝罪する必要すらない。


だから悲しそうな鳴き声を上げるんじゃねぇよ。胸糞悪い。


「自分だけが被害者みたいな面するなよ。お前の方が先に手を出してるだろうが。『嵐刃』!」


直前に吹き飛ばして着地を失敗していたコカトリスに止めを刺しておく。これで手負いが2体、無傷1体とボスコカトリスだけが残った。結局ボスコカトリスには傷を負わせていない。けれど先陣切って戦う気になってくれた。怒り狂ってはいるけれど。


「そもそも最初からお前が出ていれば、そんな思いをしなくて済んだんだ。調子に乗り過ぎたら狙われる。俺も耳が痛いよ。気を付けることにするよ」


ボスが声をあげたことを合図に手負い2体が突進してくる。こんなときでさえ無傷のコカトリスは動かない。大事なら戦う手段を仕込むか自分の判断で動けるように心構えさせておけよ。


天昴を小太刀の二刀に変化させる。『魔法剣・炎天』『魔法剣・雷天』として字のごとく炎を雷を纏わせる。


2体のコカトリスと交差するとゆっくり倒れて煙になって消える。残りは無傷で一番小さいコカトリスとボスコカトリスだ。


さっきのトドメで必要なエネルギーが溜まった。長時間は持たないけど少しだけなら大丈夫だろう。天昴をもとのロングソードに戻す。


「最後の勝負だ。『覚醒』」

お読みいただきありがとうございました。

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