表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

231/335

森への移動中に気になったことそれぞれ

お楽しみ頂けると幸いです。

更新ミスってこれは2話目です。戻すの面倒なのでこのままいきます。前話読んでない方は戻っていただくようお願いします。

結局は、鍛えると言えばのコトシュさんとトワを見本役に残してバイスたちの修行は今日から始めることとなった。もし俺が今日中に片を付けられなかったとしたら、明日は魔物が押し寄せてくるからその対応も必要となる。

ただそれくらいの魔物であれば俺たちパーティの中からロイーグさん以外の誰かが2人も出れば十分にカバーできる。ロイーグさんにはまだ物量で押してくる魔物を相手するには手数が足りない。

コトシュさんも対多数という点では少し怪しいけど、味方がいれば大丈夫のはずだ。既にこの町の近くにフレンドビーたちもいるし。


バイスを始めとしたタッツの町の冒険者に加えてコトシュさんとトワが加われば大きくは問題無い。その間に原因の調査と排除が俺の仕事になる。

そこで困ったのが偵察からの情報だ。事なきを得たが、石化してしまっていた。判明したのは今朝だ。本当は昨晩深夜のうちに戻って来ていたらしいけど寝ていて気が付かなかった。起こせと怒ったのは言うまでも無い。


というわけで、場面はトワとバイスの決闘の前の宿屋の一室にいた時に遡る。


「それで編隊で森に近づいたところ気が付くと体の一部が石化していたのか」

「イレブン様のおかげで問題無く正常に戻っています」

「当たり前だ。それでも生命魔法の状態清浄と治癒再生を使ってるからちゃんと休養取らせるんだぞ」


石化を治すために石になって生命活動を行えなくなった細胞を治癒しながら元に戻して、空中で石化したから地面に落ちた時に欠けた部分を繋ぎ合わせながら再生した。

結構な大手術だったと思う。MP量に魔力のゴリ押しで何とかしたけれど。死んでさえなければ魔力の質がどうこうを無視して出来ることは多いことを確認しておいて良かった。初めての場面だったら結構焦ったかもしれないな。


治癒されたフレンドビーは潤んだ瞳で見上げてくるので、人差し指で撫でながら声をかけておく。


「無事で良かった。無理するなよな」


コクコクと頷いてくれた。普通のフレンドビーはもはやペット感覚ですらある。こんなにも色々とやってくれるペットはどこの家庭にもいるものでは無いが。命の危機にさらしておいてなんだが、普段の感謝が足りないと心に刻んでおこう。


恒例の話が取っ散らかるのを元の線に戻そう。


「そんな急速に石化するなら常に状態異常に対して備えておかないといけないな」

「イレブン一人で行く気?」

「戦闘と状態異常の両方に自力で対応できるのは俺くらいのものだろ?これに関しては相性の問題だ」

「イレブンが昨日行った森の入り口までなら大丈夫だろう。すぐに対応できる距離にいるくらいは構わない、だろう?」


心配してくるリセルにロイーグさんが助け舟を出した。安全が確保できる距離なら問題は無いだろう。森の手前なら俺にも症状は出なかった。通訳してくれた万花によれば石化の症状がでたフレンドビーは森の中に入って妙なものがないか探す班だったそうなので森に入らなければ問題無いはずだ。


「今聞いてたみたいに森には入るなよ」

「わかってるよ。その代わりにこれは返しておくね」


リセルからノーマルシンボルを返してきた。状態異常にかかる確率を下げて、症状も緩和してくれるというとてつもないシロモノだ。くれたのはデテゴだが、今でも返した方が良いのではないかと思っている。

俺が単独で危険地帯に行くと分かっているのだから、返してくるのも当たり前か。礼を伝えて受け取り装備しておく。


「単独での行軍は無理は禁物だぞ」

「了解です」


コトシュさんからのアドバイスを受け取って宿を出た。森の入り口までは四輪で行く。町中から乗るわけにはいかないから門の外に出てしばらく進んでから行くつもりのところで、バイスに出会った。

おかげで門の外に出る理由は変更されたし、メンバーチェンジもあったが森の入り口まで移動しよう。


運転に関してはロイーグさんがやってくれるとのことだ。食事の準備やら雑事になりそうなことは俺がやろうとするととにかく座っておけと言われる。町を出る段階から少しやる気になっていたが、ここまでされると少し鈍ってしまいそうだ。

ただ、善意で出されたお茶や菓子に罪は無いし、やってくれる気持ちを考えると笑顔で受け取るのが筋だ。話し相手になっているリセルにも悪い。そこでふと思い出した。


「石化ってことはさ。今までに戻らなかった人たちも石化して取り残されてる可能性が高いのかな」

「そうかも!ちょっと待って。たしか行方不明になった人たちのリストがどこかにあったよ」

「俺も探すよ」

「いいって。座っててよ」


きちんとした理由が無ければまた座っておくだけにさせられそうだったので、少し考えてみた。


「待て。もし今の推測が正解なら森の中で探すのは俺だぞ。一番把握しておいた方が良い俺が先頭切って確認しておいた方が良いだろう」


そう説き伏せて一緒には探すこと2分、すぐにリセルが見つけた。それほど紙束なんて持ってないからね。


「これかな?」

「見せてみてくれ。………それっぽいな」


顔写真があるのが一番だったがそんなものは無いので当日いなくなった時の服装や顔立ちについての資料を見つけた。


「最初にいなくなったとされるのは4人か。タッツの町の花屋のご主人で、探すのを依頼された狩人寄りの冒険者3人組が次に姿を消した」

「それから本格的に探すために2パーティ合同で探索依頼を受けて探しに行った。けど、1つ目のパーティは同じく行方不明に。もう1つのパーティが魔物が溢れて来ていることを察知し、町への報告を優先して戻ってきた…か」

「もしかしたら完全に石化した状態で生きていられるならまだ森の中にいるのかも」

「あの魔物が壊してなければだけどな」


一瞬だったから気配しか掴めなかった。でも石化するという特徴から考えて、そんな状態異常を仕掛けてくる魔物は限られる。大きく分けて2種類だが、発見場所は森の中だ。必然的に1つに絞られる。


「それとよ。ちょっと気になってたことがあるんだが」


運転席からロイーグさんが会話に入ってきた。話聞いてたんですね。


「多少前後するとしても、ユーフラシアからの援護部隊が俺たち、というかイレブンなのは分かる」

「イレブン強いからね!」

「やめなさい。都合良かったんじゃないですか。あそこの冒険者はあまり武闘大会に興味を示さない人が多かったですし。理由まで聞いてませんけど」

「俺もそこらへんは知らんよ。ただ、魔物が一日おきにやってくるなんてことになったのが最近で知らされてなかったにしてもよ。この町はユーフラシアよりも王都の方がよっぽど近いんだろ?なんで王都からの応援が一人も来てないんだ?」


それはそうだな…、全く気が付いていなかった!!俺が衝撃を受けている間にリセルが返答する。


「ん~。武闘大会が近いから誰も行きたがらないとか?」

「そんなわけが無いだろう。冒険者がそうだとしても、国の軍隊が派遣されてもおかしくないはずだ。町が1つ無くなってもおかしくないんだぞ」

「たしかに」


俺たちがいれば何十日でも持ちこたえることはできる。防衛戦力としても食料調達にしても、何でも任せてくれと言える。


「町1つでも魔物に滅ぼされたとしたら影響は大きい。それが複数となれば国全体の問題だ。俺も首都を1つあっさりと陥落させた奴を知ってるしな」


はい、俺です。まあそれはさておき。


「王都に行くのが目的だから行くんだけども、王都の冒険者には注意する必要はあると思うぞ。まあ救援をたのんでいたとしたら、だけどな」

「解決してからの話ですけど、覚えてはおきます。戻ったときにでも聞いてみよう。助かったよ。他にも何か気になることがあれば言ってくださいね」

「俺は今のところ、口と頭でしか役に立たないからな」


それでもどちらかというと脳筋気質のある俺にとって色々と考えて助言してくれる存在はありがたい。


「そんなこと言わずに、お願いしますね」

「おうよ~」


気持ちを汲み取ってくれたのか機嫌が良さそうな返事が来たので俺も嬉しくなる。


「そんなロイーグさんには飲み物をお出しするよ~」

「かしこまりました」


リセルと万花たちが飲み物の準備をしてくれるそうだ。ロイーグさんが好きなのは濃い目のコーヒーだからそれかな。


とりあえず行方不明の人たちの特徴が書かれた書類は俺が持ち歩くことになった。

森に入ってから気が付いたら石を根こそぎ持って帰ることになっていただろう。先に気づくことが出来て良かったし、言っては悪いが石化しかけたフレンドビーのお手柄である。一部であれば生きて帰って来れることがわかったし、魔法で何とかできることも証明された。後は全身が石化した場合にどうなるのかということとタイムリミットが無いことを祈るのみだ。


そして森の入り口に到着して四輪からみんな降りた。


「昨日俺が森の中に見たことの無い魔物を見つけたのがこの辺りだ。これ以上は危険だと思って近づかない方が良い。森の中で戦闘があったとしてもむやみに入らないように注意してくれ」

「分かった。リセルちゃんは全力で止めるよ」

「私たちも死力を尽くして止めに入ります」


フレンドビーたちや糸太郎も気合を入れてくれている。そんなことしないよ!と顔を赤くして言っているリセルだが、心配の余りに動きかねないと俺も思っているから皆の心構えくらいでちょうど良いだろう。

いざというときの手段は2つ。糸太郎による粘着糸による拘束が1つ。もう1つは精霊たちが力づくで止めてくれることを期待している。


森に侵入するのは俺と福来だ。俺と同質の魔力を持ち、肉球印で魔法を維持し続けることが出来る福来だけは連れて行くことになった。

福来が参加できないレベルの戦闘になりそうなときは俺の背中のリュックに隠れることになっている。持ち運びできる大きさだったことも決め手だ。


「じゃあ行ってくる。皆も充分に気を付けてくれな」

「イレブンも気を付けてね!」


森の中に出てくるのは、予想通りのやつだろうか。楽しみだ。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
https://ncode.syosetu.com/n8434ia/
婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
https://ncode.syosetu.com/n1262ht/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ