王都に行く途中に解決してほしい依頼を受けるよ
お楽しみ頂けると幸いです。
王都に行く前に引き受けてほしい依頼があると冒険者組合の応接室にいる。ザールさんに呼び出されての待ち時間、現在一緒に付いてきたのは万花と毎果だ。あとは話を聞くのに間に合うとしたら買い出し中のリセルだけだな。他のメンバーは訓練か開発に勤しんでいる。
話に挙がるのは薙刀のことだ。
一応手加減やら制限やらはあるが、俺から一本取ったことは事実。戦闘であれば手加減してようが負けは負け。
周囲と協力するように持っていきたかったが、力づくで勝利をもぎ取りにいった薙刀を褒めるしかないと考えている。
勝った薙刀を褒めこそすれ怒る筋合いは全く無いし、俺は気にしていない。むしろ、どんな手段でもいいから格上相手に勝利する手段を身に付けろと伝える良い機会となった。これからの成長に期待である。
ただ一つ、やらかしてしまったなと感じていることがある。模擬戦のことだけで彼女と話し合うということをすっかりと抜かしてしまった。
というわけで待ち時間の間に色々と聞いておく。
「そういえば薙刀は何に進化したんだ?」
「戦乙女蜂という名前だったと思いますが、聞かれなかったのですか?」
「会ったらすぐに模擬戦して、その後にすぐに聞いてなかったと気が付いた時には既に特訓に行ってしまってな」
「少し周囲を見るようになったと思ったらそれですか。申し訳ございません」
万花が代わりに頭を下げてくるが、別に彼女が悪いわけでは無い。俺が悪かったつもりも無いから、どうしようもなかったってやつだ。
「戦闘に関してかなり習熟度や成長が良いようですね。同じ訓練をしても成長が良くなったと言っていました」
「それは頼もしいな。ただ、俺がどれくらい制限をかけているかを知ったら、本気を出させることを目標にしたのが大変だ」
万花も巻き込まれているアサの話を聞いていたらしく、苦笑気味だ。
「イレブン様、今はレベルはいくつでしたでしょうか」
「180だな。ついでだからステータス見てみる?見れなくても読み上げるよ」
「お手間で無ければ」
「気にしなくて良いよ。じゃあいくぞ。」
そう言ってステータスを表示させる。ステータスの数字部分を読み上げ、スキルに関しては自分で確認程度にしておく。
>>>>>>
名前:イレブン 種族:変人 年齢:16
レベル:180
経験値:554025/1702157
保有SP:3620P
HP :9630/9630
MP :8860/8860
筋力 :3190
頑丈 :2680
素早さ:4600
器用さ:2720
魔力 :3560
運 :2330
攻撃力:4340
魔攻力:4860
守備力:3330
魔防力:3645
取得スキル一覧
○基礎
武術:
知識:運動学(☆)植物学(☆)薬学(☆)魔物学(☆)魔道具学(☆)鉱物学(☆)錬金学(☆)自然学(☆)機械学(☆)動物学(☆)神秘学(☆)魔法学(☆)医学(☆)食材学(☆)料理学(☆)建築学(☆)計算学(☆)言語学(☆)戦闘学(☆)
感覚:視覚強化(☆)聴覚強化(☆)嗅覚強化(☆)目利き(☆)虫の知らせ(☆)集中(☆)心の余裕(☆)根性(☆)独特なセンス(☆)身体感覚(☆)味覚強化(☆)機能美(☆)我慢(☆)
技術:走行(☆)分析(☆)正確な動き(☆)作業が得意(☆)歩行(☆)口笛(☆)世話が得意(☆)工作技術(☆)正確な作図(☆)ナイフ捌き(☆)操作技術(☆)形状把握(☆)水泳(☆)騎乗(☆)早口(☆)
戦闘:強打(☆)疾風(☆)精度(☆)受け流し(☆)体術(☆)練気(☆)呼吸(☆)連魔(☆)威圧(☆)気功(☆)発勁(☆)スタミナ(☆)幸運(☆)捨て身(☆)勇気(☆)
魔法:生活魔法(☆)魔力センス(☆)魔力放出(☆)風魔法(☆)水魔法(☆)土魔法(☆火魔法(☆)無魔法(☆)光魔法(☆)闇魔法(☆)
○上級
武術:
生産:調合(☆)採取(☆)栽培(☆)細工(☆)精錬(☆)錬金(☆)加工(☆)料理(☆)鍛冶(☆)釣り(☆)解体(☆)採掘(☆)建築(☆)
戦闘:挑発(☆)疾走(☆)手加減(☆)剛力(☆)金剛(☆)縮地(☆)空歩(☆)魔過剰(☆)気功闘術(☆)
特殊:索敵(☆)テイム(☆)追跡(☆)器用な手(☆)機械操作(☆)看破(☆)直感(☆)暗視(☆)曲芸(☆)分身(☆)忍び足(☆)罠作業(☆)隠蔽(☆)隠形(☆)魔力感知(☆)作法(☆)
魔法:嵐魔法(☆)氷魔法(☆))雷魔法(☆)大地魔法(☆)念動魔法(☆)治癒魔法(☆)熱魔法(☆)炎魔法(☆)溶岩魔法(☆)幻魔法(☆)影魔法(☆)毒魔法(☆)呪魔法(☆)
○特級
武術:刺突剣(☆)大剣(☆)斧(☆)刀(☆)鎌(☆)鎚(☆)矛(☆)投擲(☆)盾(☆)
生産:魔加工(☆)スキル付与(☆)状態異常付与(☆)
戦闘:金剛力(☆)縦横無尽(☆)急所看破(☆)射程延長(☆)極魔法発動(☆)
特殊:気配感知(☆)超感覚(☆)第六感(☆)思考加速(☆)
魔法:結界魔法(☆)重力魔法(☆)空間魔法(☆)植物魔法(☆)生命魔法(☆)聖魔法(☆)時魔法(☆)時空間魔法(☆)支援魔法(☆)抑制魔法(☆)付与魔法(☆)
○希少
武聖:格闘(☆)剣(☆)槍(☆)弓(☆)
特殊:鑑定(☆)探知(☆)思考領域拡張(☆)条件反射(☆)魔眼(☆)
○固有
覚醒
○特殊
ステータス閲覧 アイテムボックス(MAX) ドロップ率上昇 装飾品装備増加 取得SPアップ 生産成功率100%
○奪取
早起き 警戒 大声 無心 ゴマすり 恫喝
<<<<<<
「制限をかける前の数字が今伝えたのだな」
「そこまでとは…。制限をかけておかないと危険ですよね」
「そうなんだよな~。仮に俺と制限無しの模擬戦が出来るようになるんだったらあの2人、いやアサも入れて3人か。それなりの制限を精霊にかけてもらわないといけないな」
「何というか、リセル様と出会って良かったですね」
最近、万花も色々と不意打ちを食らわせてくるようになった。それくらいで怒るつもりは無いけど。心臓には良くない。
「…そうだね」
「どうかなさいましたか?」
万花は楽しそうにのぞきこんできている。これはもう確信犯だな!
「知らん!」
「何か言った?」
そこにちょうど良くリセルが現れた。さっきの会話は聞かれたのか!?
「いや、別に」
「あっそ」
表情にも特に変化無し、ふぅ…、聞かれてはいないようだ。
「そろそろ王都に向けて出発する移動中の依頼について話をしてくれるって~。時間までに買い出しが間にあって良かった~」
「もうザールさんも来るのか?」
「うん。そうだって聞いたよ」
「私と毎果も参加致しますねぇ」
話をするのは応接室だ。椅子に座り直しているときに不意にリセルが唇を指差して口の動きを見せてくる。
わ・た・し・も・だ・よ。
くぅ。
胸をおさえて赤面しそうになるのをなんとか抑え込んだ。
☆ ★ ☆ ★ ☆
「途中の町で行方不明事件が多発…か」
「本当なら一瞬で移動可能なイレブン君にこんな依頼はすべきではないのかもしれませんが」
「いやいや、移動に時間がかからないからこそ面倒な依頼でも回してくださいよ」
ザールさんは気を回してくれたようだけど、せっかく身に付けた力なら何かの役に立てておいた方が良いと思う。薙刀隊も訓練中に困っている旅人がいれば助けるように指示しているしな。何か噂が立っているようだけど詳しくは知らない。
「このタッツという町は目立った産業は無いのですが、それでも人口を伸ばしてきた町です。何か産業を起こすなら次はここを起点にしようと考えています。目立つものが無いということはそれさえ作ればより発展する可能性もありますからね」
ユーフラシアは別名冒険者の街だし、マルクトも商業の街と呼ばれているからな。そうでなくても名産品の1つでも出来れば良いということなのだろう。
「行方不明者に何か共通点はあるんですか?」
「立場は色々です。町にずっと住んでいる者から冒険者まで。だからこの依頼はまた私が依頼している形ですが、冒険者組合からも解決を請われている依頼です」
「行方不明者に唯一共通しているのは町の西側の森に出かけていくと言っていたことだ。確定しているわけでは無いが西に向かったと思われる者はほぼ全員が行方不明になっている。西に向かうことが無いようにと厳命してはいるが」
質問に先に答えてくれたのはザールさんだが、その後に答えてくれたのはユーフラシアの冒険者組合の組合長さんのギッシュさんだ。デテゴの上司でもある。引退していたが、マルクトのごたごたもあって最近復帰してきた。
名前が名前だから何かが溢れているわけでは無い。おじさんとお爺さんの間くらいの年齢で、良い人だが怒らせると怖いという話を聞いた。俺は怒らせるようなことをしていないので良い面しか知らないぞ。
そんな人がこの場で一緒に説明してくれているということは、それだけこの依頼が正式に何とかしたいという依頼なのだろう。
「分かる範囲でいいんですけど、その西側の森には何があるんですか?」
「特に何かがあると俺は、いや冒険者組合では聞いていない」
ふむふむ。冒険者が引っかかるような危険な状況はなかったはずということか。だったら危険な魔物が出現したとかでは無さそうだな。
「私の方で探るにはさすがに人手が足りませんでした。正式に出店しているわけでは無いですから。ただ、聞いた話ですが」
「あるだけ何でも教えてほしいです!」
違っていてもまったく気にしないので!
「そうですね。聞いた話だと今までに見たことの無い植物が生えていたと聞いています」
「植物ですか。花が咲いていたとかではなく?」
「あればまだ秋ごろの話でしたからね。まだそこまで成長していなかったのだろうと思います。あとは季節外れの寒さのぶり返しが来ていると聞いています。吹雪が巻き起こるほどだそうです。まるで冬がもう一度戻って来たと錯覚する程だそうですよ」
「よくあることなんですか?」
「いえ、全く聞いたことがありません。多少は寒さが戻ることはありますけど、吹雪くほどなんて話は聞いたことがありませんね」
「そうですか」
見たことの無い植物とあり得ないくらいの寒さの戻りか。これがどう絡んでくるんだろうか。どちらも関係ない可能性もあるからなぁ。
「ここまで聞いて何か心当たりはありますか?」
ギッシュさんには俺の秘密は伝えていないが、ザールさんは俺の知識に整合するような何かがあるかを聞きたいのだろう。ただ、情報が少なすぎて何とも言えない。
「心当たりには今のところないですね」
「そうですか」
「まあ引き受けるのは引き受けますから。何か手がかりが無いか探してみますよ」
「ありがたい。こういったことを引き受けてくれる若者がいることは引退間近の老人にはありがたいことだ」
そう言ってギッシュさんはお茶請けのお菓子を勧めてくれる。俺たちは孫に近い年齢らしく可愛くて仕方ないそうだ。お菓子はリセル達が食べ尽くしてしまいそうなので、俺はお茶を一口。
「ところで君たちは子どもはまだかね」
「ぶふぅっ!!」
ギッシュさんの発言に思わず口に含んでいたお茶を吹き出してしまう。
「きゃあ!」
「もう!イレブン汚いよ!!」
「ごほっ!ごっほ!『清潔』!」
俺が原因じゃないだろうと抗議したいが、変なところに入ってしまったため、発動させた後は呼吸を整える方に重点を置く。
「なんだ。この話題にはついて来れんのか」
「ギッシュ老、彼は何というか、こういった話題には慣れていませんので」
「そうは言うがな。俺がこういうことを言うのは誰のせいか分かっているのか」
「デテゴですよね」
「お前もだ!ザール!」
何だかギッシュさんの説教が始まるようだぞ。
「お前たち二人とも若いくせに男二人で長い間旅にまで行ってくるなどしおって」
「わかってますよ。デテゴもぼくもちゃんとお互いのパートナーとのことは考えてます!」
この場にデテゴがいないのはこの人のこれが原因かもしれないな。
「ならば良い。それとイレブンくんよ。子どもは良いぞ。孫となれば更にかわいい。早く作れ。その方が色々と身が入るぞ。家に笑顔があるようにするのだけは忘れずにな」
「はぁ。気を付けます」
「そちらのリセルさんじゃったか。仲良くするんだよ」
「はい!」
男には厳しいけど女には甘いのだろうか。あくまで庇護対象としてだが。まあそれは俺も似たような感覚があるから構わないんだけど。
とにかくタッツの町で行方不明者の捜索と原因究明の調査をすることになった。
もらった資料を確認するとユーフラシアと王都の中間よりもユーフラシア側のところにある町だ。調査期間は移動にかかる時間を抜くと10日間というところだろうか。
俺たちの移動時間の短縮があればもう少し短縮できると言えば出来るが。時間がたっぷりあるわけでもないし、しっかりと調査して解決まで導くとしよう!
お読みいただきありがとうございました。




