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これからの問題とSPポーションの味

絶え間ない努力が合って技術は進歩していくのだと考えています。実際の世界で携わった方々の努力に敬意を表します

さて、色々と自分で作れるようになったから作れるものは作っておくのだが、差し当たって一番作りたいものは決まっている。これからのテーマとしては、SPポーションをひたすら作って飲むことだ。

何かあったとき用に他にも作らなければいけないものがあることは理解しているから優先順位を間違えるようなことはしないが、ずっと作りたかったものが作れるようになったのだ。楽しみにするくらいは許してほしい。

昨日と同じく生産のための小屋へと入る。SPポーションが楽しみ過ぎて休憩は無しで構わない。準備代わりに道具を揃えていく。


SPポーションを作れるだけの材料は残したうえであるだけ作れるものは作っていくことにしよう。SPポーションの材料は中魔石1個と魔力を含んだ水と魔力草だ。

調合セットを買ったときに一緒に買ったものと補充で買ってきたものとあるので材料としてはそこそこ揃っているので在庫の確認も兼ねて必要そうなものを取り出してざっくりと仕分けだけしておく。


必要なものは分けてアイテムボックスに収納しておき、言われた通り採取されてから時間経過で元気のなくなってきた薬草やヒールベリーなど解毒に効果のありそうなものを中心に揃えていく。


……


「気分が乗らないと言っていたけど、この材料って解毒に効果があるポーションを作るためのものが多いじゃないか…。ザールさんの知り合いだもの。メディさんもデテゴのために何とか作ろうとがんばってくれていたのか」


でもたぶんスキルレベルか魔力の問題で作成が出来なくて不可能を悟ったのだろう。ぶっきらぼうながら彼女の優しさを感じて嬉しくなる。


「情報を話して良いかは俺には判断できないからザールさんに任せよう。俺からは何か役に立ちそうな情報を今度伝えるようにすれば良いか」


考えているうちに算段がついたので早速回復系のポーションや高解毒薬などの作成を始めた。一度作成してしまえばある程度はドンドン作っていくことが出来る。

記憶の限りで道具屋で売られていた回復系のものは粗方作成し終える。何でも治療できる万能回復系はさすがに材料が無いので出来ないが、毒・麻痺・衰弱などの割とメジャーな治療薬をどんどん作成していく。

出来上がっていくものはレベル7から8のものが多い。これ以上のものを作ろうと思うと、調合セットの方をより良い物を使用するか、俺自身が実際に見て一度分析するとか経験が必要になる。他にも材料をもっと効果の高いものにするとかもあるが、今すぐにどうにか出来るものではないから品質についてはこれで良しとしよう。

それでもデテゴに使われた毒なら問題無く解毒できるレベルと同じものを多数準備出来ているのだから十分だ。あとは相手がどんな手段で来るか。そのあたりはザールさんにとりあえずお任せだし。とりあえず考えるのは自分のことだよな。


「道具にもこだわっていかないといけないな。スキルごとに必要なセットをしっかりと集める必要有りと。さしあたってすぐに欲しいものは、採取や栽培、その次に趣味として料理かな。あとは、この小屋みたいに自由にできる場所がほしいよな」


ゲームではちゃんと場所が確保されるようになっている。復興という形だが。

主人公の育った村は主人公が狩りで村から離れているときに滅ぼされてしまう。村の外に出ていた出稼ぎの人たちや移住していた人が戻って来たり、世界各地で移民を募集して村を立て直していく。

その最中に立て直しの功労者として主人公の家も作ってもらうことになる。よくある無料宿泊が可能、更に生産が可能な部屋も一緒に付いてくる。そこならどんな生産活動も可能になる。実際はそれなりの設備が必要なので、何でもとはいかない。

今借りている小屋では炉が無いから鍛冶は出来ない。裁縫とかくらいなら部屋を借りなくてもどこでも出来る。現実との乖離はある程度は仕方ないだろう。


だが、本編が始まる99年前の今は村は当然滅ぼされていないだろう。そもそも村の関係者ではないので、口出しするのもどうかという話だし。

それに土地の確保が簡単ではないことはさすがに分かる。それこそ貴族の領域ではないのだろうか。貴族にはなりたくない。所属するなら魔国が一番マシだ。強ければある程度無理でも通すことが出来るお国柄だし。

しかしここは王国だ。欲しいのは今だ。ほぼ確実にある程度の広さの土地が必要になる。土地の管理なんて誰に聞けば良いのだろうか。いっそのこと、この小屋を買い取ったり出来ないだろうか。今度冒険者組合に行った時に聞くことを心のメモに追記する。


考えながらでも作業が進み、結構な時間を使用してしまったが、作れるものは粗方作ってしまった。最後はお待ちかねのSPポーションを作成だ。既に夕方の時間になっているから夢中になると晩ご飯の時間を忘れてしまいそうだ。

大量に作るのは明日にするとして、手順だけを確認しておこうと作ってみる。初めてだと高品質をいきなり出来るか不安だし、一度作ることで分かることもあるだろう。

逸る気持ちを抑えつつ、作業に再度入ることにする。深呼吸だけしておく。スーーハーー。


「おし。魔力草は葉が3枚か。魔力回復ポーションよりも必要量が多いな。摘んでくるだけだと周囲のを根こそぎ奪うことになるな。やっぱり栽培しないと無理だな。ある程度は採取してくるけど、だから土地が必要なんだよ…」


その問題は一旦横に置いておくしかないので、作業に集中する。

作業自体にはすっかり慣れたので、初めて作るものでも問題無く作れるようになった。そもそもポーション系なら作り方はあまり変わらない。使う草や魔石の量が違うくらいだ。根本的に全く違う物もあるが、最初からイレギュラーなものは作らない。

違う物の代表例は火薬、爆薬、毒薬といったところだろうか。自分専用の工房でなければ作ってはいけないものばかりだ。場所を借りている間は作っても問題ものだけにしようとは思っている。緊急時ならその限りでは無いが。


「と、考えているうちに出来上がったな。やっとSPポーションまで辿りついた…。これでしばらくは安全に強くなれる。感動だ!」


レベルアップだけではスキルポイントは当然のことながら全然足りない。1周目はレベルさえ上げれば本編クリアに関しては問題ない。ステータスとスキル取得による補正でしっかりと倒せる。

『初期設定特殊変更』で変人の設定にして、ステータスを疎かにするような成長にしてしまうと途中で行き詰ってしまう。そんなことにならないように7周目になってから解禁されるようなヤバイ特典なのだ。

SPポーションが作れるようになるまで戦えるかどうか、これがまず試されるのだ。イレギュラーは多々ある11周目だが、一つの区切りまでは到達することが出来た。感無量である。


「早速飲んでみよう」


使用したフラスコに口を直接つけて飲む。口の中に味が広がる。飲む前はやっとたどり着いた感動で胸が震えていたが、飲んでみるとその気持ちが別のモノへと変わっていく。

せっかく作ったものを中途半端にしてしまうと効果が弱くなるかもしれないので、感想はひとまず後にする。一気に飲み下すと、ステータスを見る前に叫ぶことがある。
















「まず~~~~~~~~いいいいい!!!」








大声があたり一帯に響き渡った。イレブンが知る由もないが一番近い門に並んでいた客や門兵にまで声が聞こえたし、門の近くにいた人まで聞こえたと証言した。エコーもかかっていたらしい。


「まずい…。まず過ぎる。飲めたもんじゃない…」


その辺に生えている草を、というか土がついたままの草を水に突っ込んでそのまま煮だしただけの草と土の味がする。ほぼ同じ材料の魔力ポーションでもこんな味はしなかったはず。確認のために自分の作った他のポーションを飲んでみる。


「………普通だ。飲める。店売りよりも味は無いみたいだけどまずくもない」


つまり、SPを獲得するためにはクソマズイSPポーションを我慢して飲み続けなくてはならない。自分の胸に可能かどうかを聞いてみる。


「いや、無理無理。どう考えても無理だよ。一日一本が限界だよ。というか飲める気がしないよ。既に晩ご飯の味が分かる気がしないぞ。……そういや昼ご飯食べ損ねて……る……あぁっ!」


自分の独り言を聞いて生まれたアイディアに電流が走った。


「そうだ、味だ!薬に味を付けることが出来る人がいたじゃないか!ヒントだけでも聞いてみよう!」


すぐに飛び出そうとしたが、夜に荷物を置きっぱなしにしないように言われていたことを思い出して片づけをする。ほとんどのものはアイテムボックスに放り込むだけで事足りる。

取り出す時にセットになっていないから準備が多少面倒になるが、それよりも閉店までに行かなくてはいけない。


「急げ!メディさんのところへ!」

お読みいただきありがとうございました。なるべく書き貯めを増やせるようにがんばります。更新も朝晩で2回出来るように!とりあえず昨日はブクマを1件増やして頂いて嬉しかったので、晩の予約投稿が完了しております。がんばりました!

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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