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10周目までの特典スキル

まだ続く説明回。たぶん読み飛ばしても問題無い

「いや、ほんとに誰?」


そこに表示されているのは、先程『俺』が設定したキャラの顔ではない。公式設定のNPCでもモブキャラの町人や村人、ましてや敵キャラでもない。

表示されているのは金色の髪で直毛、瞳の色も金色で目鼻立ちもくっきりとしている。爽やかなかんじのする青年だ。見たことは無いが真面目な顔は素直にカッコイイと評しても良いのではなかろうか。

鏡ではないから画面上での表情は変化しないが、これがおそらく現在の自分の顔ではないかと推測する。鏡でも見ない限りは信用できないが。いや、信用するしかないだろうが。


「見覚えのあるキャラクターもいないしな…。まあいいや」


深く考えることは元から苦手だ。考えても仕方ないことは深くは考えない。解決するためのきっかけがあれば動くが今はそんな手がかりもなさそうだ。

気を取り直して他にステータスで見れる画面を操作してみる。スキルを確認してみよう。


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取得スキル一覧

特殊

ステータス閲覧 アイテムボックス(MAX) ドロップ率上昇 装飾品装備増加 取得SPアップ 生産成功率100% <封印>

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1つ大きな違いがあったが、とりあえず他のものから確認しよう。特典スキルは自分で選ぶことが出来る。


このラインナップということは10周目と変わらないと判断する。10個あるわけではないのはアイテムボックスの出現と2回の拡張で合計3回分使用されているからだ。ちなみにステータスが見れることも1周目からの特典扱いらしい。

残りの2回のうち、1回は希少スキルがスキルポイントでの取得で可能になること。あとの1回は『初期設定特殊変更』だ。成長率を操作するのだから特典扱いで良いだろう。


スキルのチェックをしていると10周繰り返していた時のことを思い出す。それぞれがとんでもない特典である。


2周目に手に入れたのはアイテムボックスだ。MAXが付いているので、おそらく無制限で間違いない。2周目はアイテムの種類制限を解除した。5周目でアイテムボックス内の時間停止、6周目はアイテムの個数制限を解除した。

一部アイテムは引き継ぎも可能だったが、引継ぎを無しにしたので今は何も持っていない。持っていたら最初から無双状態で楽しめないからだ。同じ理由でお金も無い。まあ、アイテムボックスがあるだけで快適度が違う。


3周目はドロップ率上昇は戦闘後に必ず魔石が確定で手に入るようになった。それだけでも強化効率が上がるのだが、他のアイテムも運次第とはいえ手に入る確率が上がった。

素材が大量にあれば装備品の強化も出来るし、何よりも金策が捗る。最初は結構お金が必要だ。目当てのアイテムが手に入るおかげで時間の節約にも繋がる。


4周目に選んだのは装飾品装備増加は通常2枠だったところが4枠に増えた。これは純粋に戦闘が非常に楽になった。攻撃にも防御にも装飾品は色んなものがあったので、頭を悩ませる問題だったからだ。慣れると4つでも少ないと思うこともあったが、純粋に良い設定だった。


7周目以降は新たな周回特典が解放された。後半はまたすごい特典が選択可能だった。


7周目に選んだのは希少スキル取得だ。元からイベントをこなせば希少スキルは手に入るようになっている。既に6周も回していると面倒になる。これのおかげでイチイチこなさなくてもスキルポイントで取得可能になった。

必要となるスキルポイントは膨大になったが取得時期が自由になった。スキルポイントは途中から金と時間があればいくらでも取得可能になる。つまりとんだぶっ壊れスキルである。


8周目は『初期設定特殊変更』なので割愛。9周目の『取得SPアップ』は名前の通り。手に入るSPスキルポイントを2倍にしてくれる。以上だ。


最後に残した『生産成功率100%』は賛否両論があった。何でも成功したら楽しくないという声もあれば、その方が良いという声もあった。

一番は『大失敗』がなくなったことだ。大失敗したときは偶に実力よりも良い品質のモノが手に入ることがある。つまり、本編クリア後でしか手に入らないはずの最上級品を作り出すことがあるのだ。この特典により手に入らなくなってしまったのだ。

ただ、そんな意見は本編をクリアすれば意味が無くなる。もっと良いものが手に入るからだ。ヌルゲーになると一部言われたが、『俺』は無駄にならないのだからそれで良いと考えている。必要以上に生産系の活動をしていなかったことであまり気にしていないこともある。最後に選んだのもそれが理由だ。


これらを持って10周目を過ごすと1周目がどれだけ不遇だったかが良く分かる。アイテムは種類にも個数にも制限がかかり、敵を倒してもなかなか目当てのアイテムが手に入らず、生産もたまに失敗する。

装飾品が2つに限られるのは最初の仕様だが4つに慣れるととんでもなく不遇な扱いだし、スキルポイントを溜めるのにはどれだけの時間をかけさせられたかという話だ。限られたポイントで影響力の大きいスキルを厳選するなどの涙ぐましい努力をした。


「で、<封印>ってなんだ。11周目に特典は無いって発表されてたよな」


これもいくら考えても答えが出ないので一旦放置する。


あとチェックするのは装備だ。


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装備

主武器:木の棒

 頭 :なし

体防具:なし

上半身:布の服

 腕 :なし

下半身:布のズボン

 足 :布の靴

装飾品:なし

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「完全初期装備ですね。ありがとうございます」


何かめぼしいものを最初から持っているわけでもなかった。現状を確認すると認めるしかないことを口に出すことにした。


「11周目はまさかのやり込んだゲームへの異世界転移だった、か…。俺戻れないのかな…。」


戻れるかどうかも分からない元の暮らしを思い返してみる。


実家のことは思い出したくもない。大学は出来る限り知人がいないところへ逃げるために遠方を選んだ。それまでに親しい友人がいないわけではないが…。大学生活は楽しいが友達が多かったわけではない。むしろ交友関係は狭い。

バイトはこき使われるばかりで生活費のためにやっていただけだ。『ホシモノ』ならもっと効率良く稼げるのにとコントローラーを握りながら考えたことは10回では効かない。

食事は食べれたらそれで良い。服は着れたら良い。住むところは寝れたら良い。


あれ…?別に戻る理由なくない?


彼女?うるせぇ!いるなら一番最初に挙げてるわ!


努力したことはそれなりに色々あるけれど、楽しみって何かあったかと思い出そうとすると直近は1つだけだ。

『ホシモノ』だけだ。大学友人だけでなく、画面の向こうの数少ない友人たちに会えなくなるのは悲しい。けれど今は『ホシモノ』の世界にいる。


「とりあえず死にたくないし、行動するか。可能なら楽しもう。じっとしていても仕方ない。水も食料も無いし、村を出る前に可能な限り整えないと」


とりあえずはスキル画面を操作する。見覚えのあるスキルもあれば、初めて見るものもある。ゲームとは違うスキルも存在するようだ。ネットも公式発表も無い世界だと手探りでいくしかない。


まずは魔物を倒せるように上げるしかない。1500Pのうち15Pを残して戦闘系スキルのいくつかをMAXの10まで上げる。画面表示には数字の代わりに☆が付く。まだ基礎スキルしか選べないがそれは仕方ない。いくつか基礎を上げてから上級スキルが選択できるようになり、基礎と上級を限界まで上げることで希少スキルが選べるようになる。何事も順番だ。


「次は…。ここがグレイブ村なら見にだけ行っておくか。村の中なら魔物も出て来ないわけだし」


『ホシモノ』は町村やダンジョンに入ったときに、二つ名とともに表示される。今いるグレイブ村は『放棄された村グレイブ』だ。

ダンジョンではないが村判定されている。だが放棄されているので人は住んでいない。全員が逃げた理由は、不気味なダンジョンが見つかったから。魔物が現れたわけではないが、調査に入った冒険者が何度送っても一人も生還しなかった。底知れぬ恐怖を感じた村人たちは生きるために村を放棄した。


本編をクリアすると分かることだが、そのダンジョンはクリア後に解放される隠しダンジョンの1つだ。本編クリアの前かすら不明だが、そんなダンジョンに入れるのはおかしいことではあるはずだが。見る前から判断は出来ない。気になるのは魔物がそういった境界線に従ってくれるかどうかだ。ダンジョンから外に出られるなら今見えている村が、形を残しているのはおかしい。魔物もダンジョンの外には出て来れないだろうと仮説が立つから、目的は入り口近くだし、行くだけ行ってみることにする。


手に入れたいのはクリア後に隠しダンジョン入り口付近に配置される隠しアイテムを手に入れること。あるならこの世界をより楽しめる。

お読みいただきありがとうございました。

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他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
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婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
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