魔法が効かないらしい、どこまで効かないか試してみよう
読み返してみると雷魔法を以前に使っているにも関わらず、使えないとしていました。対策がされているだろうから使わないと変更しています。ご了承ください。(2022/09/25)
お楽しみ頂けると幸いです。
じゃあまずは確認からいこう。
「『火炎連弾』『風刃乱舞』」
魔法を2つ放つ。魔力の割合は多めだ。
速度速めで放ったのでほとんどがしっかりと近くの兵士たちに着弾する。生身で受けていたとしたら過去の人間でも同じ人間と設定されているので普通に燃えるし、しっかりと切り裂くくらいは可能だ。しかし
「ふはははは!何をするかと思えば、魔法だと!笑わせてくれる!そんなものは無駄だ!」
確認は出来た。奴らの付けているアーマースーツの設定はプレイヤーが戦闘で人殺しをしているって気分を抑える効果がある。割とリアルな映像がホシモノの特徴だったから顔は隠しておいた方が良い。ついでに顔を隠すことで一人一人の顔のデザインをしなくて済むって運営側の都合もあったらしい。
性能としての特徴は極一部を除いて魔法を無効化するという効果を持つ。これがあるからリセルの攻撃手段である精霊魔法は通用しにくかっただろう。これを極大に発展させれば大精霊はおろか神獣を何とかすることも可能だったのかもしれない。
でも、弱点の無い雑魚など存在しない。理由は簡単、RPGにおいて雑魚が無敵なんてことはあり得ないからだ。昔ならともかく現代は負けイベントでもがんばれば勝てるように出来ているものだ。
その弱点は雷魔法だが、この現実なら電気の対策くらいしていてもおかしくなさそうだ。
「金属の弱点である雷ですらその下に絶縁効果のあるものを着込むことでほぼ無効化に成功している!おまけに破砕弾と雷撃弾という武器を貴様が喰らって無事だとは思えんな!貴様たち構えろ!」
ほらね。一転大ピンチ。もう一つ試したいことがあったんだけど仕方ない。でも背中に半球を背負った状態ではやりづらいな。大精霊の負担にはなりたくないし。
左腕部分の服は燃えたが、手甲は外していたので再度装備する。これで今出来る戦闘準備はこちらも完了だ。銃など構えられたところで怖くない。俺の特技を知らないからだろうけど。
「ってえぇい!!」
ここで1つ言っておきたいことがある。何でも経験しておくということは良い、ということだ。
本編で銃を持ち出してくる雑魚が出てくるのだ。ホシモノプレイヤーとしては現実世界で使えない分、非現実世界で触ってみたいと考えるものだ。
運営も悪ノリで実装した。そこで俺が試したことは、銃口と目線それと指の動きをよく観ていればかわすことなど容易だ、というバトルマンガによくあるセリフだ。
数少ない友人とこれまた悪ノリで試してみた。最初はなかなかできるものでは無かったが、練習すれば出来るようになっていくのが面白かった。
今のは素早さのステータスで無理矢理かわした。正直言うと危なかった。顔には出さないけど。朱雀と戦うんだと思ってステータスを上げてなかったら避けれてなかっただろうな。
何が言いたいかというと、
「え?」
銃を二列に並んだうちの手前でしゃがんで撃ってきた直後のやつの前で足を止める。割と銃弾をかわすことはできるということを言わせてもらいたい。
目の前に現れた俺に何か言いたかったのか声がもれたようだ。両手のダブルスレッジハンマーで頭に叩きつける。おまけの魔法も付与しておいたので効果はバツグンだ。頭部が見事にへこんでいる。中がどうなっているかは知らない。
「かわいそうにな。下手に攻撃しなければ死ぬことなんて無かったのに。あ~、リセルに手を出したんだからもう遅いか」
一番近くにいた兵士2人が自己判断でもう一発打ち込もうとしてくる。1人は右手で肩を掴んでアーマーとやらを砕き、その中に火魔法を流し込む。もう1人は腹に一発蹴りを入れて要塞へと落ちてもらった。
「そんな…?こんな、簡単に?我々のアーマーが!砕けるはずが、ない!!」
「うんうん。がんばって開発したんだろうね。でもね、星に存在する以上逃れられないものがあるでしょ。それが答えだよ」
説明の間に更に3人始末する。あと24人、最後はわめいているあいつにしよう。
魔法で出した物質も無効かされるならこれはどうだろうか。地面を殴ろう。
ボゴンと音を立てて穴が開く。偉そうに後から来たやつや射撃命令を出したあたりの数人が悲鳴をあげて落ちていく。
落とし穴って便利だよね。割と深めに作ったから簡単には出て来れないと思う。出て来れるならどんなことが出来るのか特徴を知りたいところだ。
魔法が効かないといっても、直接攻撃が効かないだけみたいだね。工夫次第で何とでもなるっぽい。そういえばさっきも火の大精霊の作った火に手を出せないでいたな。高温にも耐えられないみたいだな。
一番効果のあるはずの雷は確かに防ぐことは割とできる。でも、扱いどころは難しいけど直接攻撃でもう1つ効果があるとされていた魔法は身に付けている。
『重力魔法』
空間魔法の1つ手前で取得していたものだ。ここで役に立つとは思わなかった。うまく使わないとHP削るし、効果範囲に入ったら術者でもHPが減るから使いどころが難しいんだけど、今の俺はむしろその方が気が楽だ。
重さの調節が出来るだけでなく、インパクトの瞬間にタイミングよく使えば一撃を重くすることも出来るし、効果を薄れてしまうが、重力の方向を少しの間変えることも出来る。
遊びでPVPの対戦中に、お互いに重力魔法をかけて空に落ちるようにして遊ぶ人もいた、悪意を持って使えば生物など確殺の使い方だ。まったくイヤな世の中になったものだ。
既に先程蹴ったやつは水平に落ちて行ったことで要塞に見事にめり込んでいる。目測で200メートルくらいだからかなりの衝撃だったのではないだろうか。
アーマーとやらのおかげで10倍の重力が10秒くらいしか効果が無いようだ。何かにぶつかったらその方向にひたすらめり込んでしまい、あとは効果が切れるまで生きていられるように祈ってほしい。
まあこいつらもロクな思想の元で生きてないみたいだから別に心を痛める必要も無いだろう。
「悪く思わないでね。生き方を選べずに兵士になったのかもしれないってのは優しい良い方かもしれないけど。兵士なんて誰かを殺すこともあるって分かって仕事を選んだよね?その時点で殺されることを覚悟してるよね?命令されたとしても俺を殺そうとしたことには変わりはない。ま、死んだら文句も言えないか」
また一人要塞の上部に向けて落ちてもらう。要塞はどれくらい丈夫なんだろう。あれだけ大きいと俺のMPだと全快しても影響をもたらすのは難しいかもしれない。俺もまだまだ弱いなぁ。
気が付けば穴にいる以外で残っているのは数人だ。穴から這い上がってくる前に片付けてしまおう。
「先程のやつには効果があったんだ!雷撃弾構え!ってぇ!」
「結界」
は、あっさりと砕かれた。幸運なことに変に放電現象が起こる。ちょうど中間くらいに結界を設置して良かった。一応当たらないように軌道からは外れていたけど、放電したものが後続の弾丸に作用したのかこちら側に届いたのは2発だけだった。それも俺には当たらずに近くを通過する。
弾丸にも魔法無効化の効果があるようで、結界すら貫通するらしい。その技術はぜひ欲しいところだ。あとで戦利品として追いはぎさせてもらおう。
何も通用しないということが理解してもらえたようで震えている。指示する人たちはまだ穴から出て来ないもんね。よそ見したら俺が攻撃するから助けにも行けないし。仕方ないなぁ。
「当たれば効果あるかもしれないよ。もっと撃ってみたら?」
その言葉に突き動かされて再度銃を構える。俺に指示されてどうするんだ?そのあとは誰かが合図を出すわけでもなく、バラバラに弾丸を撃ち始める。友人にやってもらったときは射撃係は2人だから、あのときよりも多いな。
やることは同じなので特に不都合はない。飛んでくる弾は多いし、ステータスも過去に比べれば段違いに低い。けど慣れてきたこともあるし、弾丸の速度も遅いし、震えて照準が定まっておらず元から当たらないようなものが多い。
「訓練された兵士とは思えないなぁ」
原理は分からないけど物理的な攻撃は通じるから問題無し。あとは魔法がどの程度効果が無いのか試しておこうか。
「『炎槍』っふ!!」
掴んで投げる。全力だったから良いスピードで飛んだ。飛んで来た槍は見えていなかったようで兵士の胸にドストライクだ。炎こそ効かなかったようだが、衝撃までは殺せるものではないらしい。倒れて悶絶している。
次に試したのは『氷槍』、結果はほぼ同じだ。温度変化では特に効果は変わりないらしい。
2本の魔法の槍が効果があったことで、より焦ったらしく散弾銃らしいものに持ち替えて乱射してくるものもでてきた。しかし、こっちは結界で防げるので逆に安全になった。
休憩は欲しいので避けながら岩陰に隠れてポーションを飲んで回復する。場所はバレていないようだが、岩には結界で補強して簡単には削られないようにしておく。
「次はどうしようかな。槍はもう効果あること分かったし、今度は違う方法で行くか。向こうの数もかなり少なくなったし」
お読みいただきありがとうございました。