安定剤ポジションかぁ…
作者は関西圏に住んでないので住んでいる気持ちになって訛らせてます。いわゆるエセ関西人です
関西圏の読者様すみません「ここおかしいぞ」みたいな所があれば教えてください
土下座しながら訂正します
「俺は佐藤って言いますぅ。嬢ちゃん鬼塚言うたっけ?君えらい目にあってんなぁ」
がははと豪快に笑う顔面傷跡だらけの男、佐藤はこの組織の唯一の日本人らしい(本人談)
今まで屈強なタイプか高身長しか目にしていなかったから佐藤のような男性平均身長は目線が近くなるから少し安心する
大体30代くらいだろうか、陽気なお兄さんという感じがすごい
というか、25歳で嬢ちゃんはかなり痛々しい…あいたたた
「佐藤、鬼塚様に失礼なことをするな。手も出すな」
「だぁれが出すか!んなことしたら暁明に殺されるどころじゃすまんわ」
「どうだか」
「喧嘩なら喜んで買うでクソガキ」
瀏蘭をクソガキ呼びする人を初めて見たかもしれない。
大抵の人が母国語喋ってるから何言ってるか分からないが、瀏蘭に対して報告っぽいことしたり頭を下げたりしているのでかなり地位は高い人だと都子は勝手に思っている
「初めまして、鬼塚都子です。攫われている身ですがくつろがせて頂いてます」
「嬢ちゃん肝座ってんなぁ!こんなん泣いたり怒鳴ったりする所やで」
「いやぁ…大人しくしてた方が生存率高くなるかなぁと思いまして」
まぁ初日暁明に抱きつきながらギャン泣きしてた成人女性ですが、それはそれ、これはこれだ
「まぁ雑談は置いといて、俺嬢ちゃんの専属護衛することになったからどうぞよろしゅう」
「へ?専属?」
「なんや暁明から聞いてへんのか、暫くここら一帯が騒がしくなんねん。そんな大事にはならんと思うけど念の為嬢ちゃんを護る人間をつかせるってことで同じ日本人の俺が抜擢されたってワケや」
それって世間一般的に言う『抗争』ってやつですかね
「大丈夫です鬼塚様、佐藤はこの通り頭が足りない様に見えますが仕事はこなす人間です。生憎私も李暁明様も席を外しますので」
それってかなりやばめの抗争ってことですかね
「すぐに戻って参ります」
瀏蘭さんや、それ『死亡フラグ』っていうんすよ
「ぉ、ぉお気を付けて」
奥歯カチカチする程震えながら何とか声をかける成人女性
だっておっかないじゃん!!こちとら平和な国で上からの圧をかけられ耐え忍んだ純粋培養の社畜ぞ!?確かに命を懸けてるのは両方同じだけど程度が!畑が違う!!
瀏蘭が去っていった後に残ったのは佐藤ただ1人…久しぶりの日本人だ。
・ ・ ・しーーん
き、気まずぅ〜〜〜
え?陽気そうな人なのにここ黙るの?とにかく話題をなにか
「佐藤さんはどのくらいここにいたんですか?」
「ん?俺?せやなぁ…15を超えた頃からやから、かれこれもう28年この組織におるな」
「へぇ………ん?まって佐藤さん43歳!?」
「おう!」
ニカッと笑う佐藤さんはどう見ても30前半だ。人間て怖いな
「しゃおみんさんってここのボス…とかです?」
「しゃおみん?…あぁ!小明か!暁明もう愛称まで呼ばせてんのか。っと話が逸れてもうたな、暁明はまぁボスっちゃボスや。まだピヨピヨのひよっこやけど」
ぴよぴよのひよっこ。余裕で人に拳銃ぶっぱなしたり始末したりする人がぴよぴよの………
「嬢ちゃん、暁明とか瀏蘭からどこまできいてるん?」
「瀏蘭さんからしゃお…小明さんの『お気に入り』に登録されたこと、あと以前の『お気に入り』がどうなったか…くらいしか」
「組織のことについてはなーんも言っとらんかったのかぁ…なら俺がホイホイ言うもんちゃうな」
ガシガシと己の後頭部をかいてうーん、と唸る佐藤
「嬢ちゃんに話せることは3つや。それ以上はあいつらから直接きいてな」
びしっと三本指を立ててこちらに向けてくる佐藤の顔は今日1番の真剣な顔だ
どんな内容なのだろうか
ごくり…
「1つ目はこの組織はまぁいわゆるマフィアってやつやな」
ですよね知ってた
「2つ目は暁明はプレゼントに弱い」
…………ん?
「3つ目は瀏蘭と俺は独身絶賛彼女募集中」
「待って待って、佐藤さん待って」
「なんや、好きなタイプ言っといた方がええか?」
「ちゃうわ」
思わずエセ関西人になって突っ込んでしまった。いやいやそうじゃない
落ち着け鬼塚都子、佐藤さんがあんなに真剣に話してるんだ何か繋がりが…………いやないわ
「いや、あの私拉致されてるんです。せめてこの組織の詳しい内容とかもうちょっとシリアスを期待してました」
「嬢ちゃん逃げるん?」
「いやいやいやそんなことしません」
そもそも不法入国者だし
「じゃあ李暁明を殺すか?」
「やるわけないですよ!!私一般人!立派な元社畜です!」
「嬢ちゃん社畜だったんかウケるわぁ」
ウケん。こっちは真剣に話してんだ佐藤コノヤロウ
「殺しもせん、逃げもせん。なら別に知らんくてもええのちゃう?なんでそんな知りたいん」
「なんでって…不安じゃないですか」
「そら知らぬが仏ってもんやで。聞いたらむしろ不安が強くなるだけや、あとシンプルに嬢ちゃんにはまだ早い」
………確かに佐藤の言うことは一理ある。知ったところで何か出来るわけじゃない、不安を煽る内容かもしれない
聞かなくてもいいんじゃないかという自分の中に、微かにある知りたいという気持ち。『ミヤコ』と優しく暁明の姿が自然と浮かんできた
─────はっ!いやいやいや、相手は狂ってるマフィア。最悪殺されるんだぞ?!
「せや、嬢ちゃんもしかしたら明日明後日辺りに暁明んとこ連れていかれるかもしれんから気ぃつけてな」
「抗争の渦の中に?盾か的になれと??」
どうやら都子の命はここまでだったみたいです。天国に行くまであと40年位現世で留まっている予定のリーマンとパートのお父様お母様、先立つ不幸をお許しください。
いや、許さないで。許さなかってらワンチャンスあるかもしれない
「落ち着け。今回はまぁまぁ規模はデケェが暁明と瀏蘭がおるから遅くとも2日はかからんのや」
「通常どのくらいで終了するのか知らない一般市民にはそれはすごいのか分からないラインですね」
「そこは気にせんでええねん。嬢ちゃんが行動するのはその後」
「あと」
なんですかね、戦いすぎてバーサーカーになった彼らの的になるかな。天国に行くまで40年(以下略)
「暁明直々に呼ばれる可能性は高い」
天国(以下略)
「嫌ですまだ死にたくないぃぃ!やりたいことリストまだ1個しか達成してないぃぃ」
ロシアンルーレット握り飯が当てはまっているのか甚だ疑問だが細かいことは気にしない。
これじゃあ現場に入場した途端に召される
0(:3 )〜 _('、3」 ∠ )_みたいに
0(:3 )〜 _('、3」 ∠ )_みたいに!!
「話聞け。暁明はちょっち面倒なタイプでなぁ、スイッチ入ると中々戻らんのが俺と瀏蘭の悩みのひとつや。終わってからしばらくの間は誰も寄せつけへんし、あの瀏蘭でさえも近づけん」
ダメな状態じゃんそんな中に未来ある若者ぶち込むのか
「でも昔、その時の『おきに』だった子犬がな、そんな状態の暁明に擦り寄って遊びたがってなぁ…途端にスイッチがもどって超ご機嫌モードに入ってん。それから暁明はこういう時必ず『おきに』を呼ぶようになったんや」
「おきにって、もう死語ですよ佐藤さん」
「まじ!?」
時代の流れを感じて軽くショックを受けている佐藤に少しざまぁと思ったのは秘密
それより気になることが都子にはあった
「瀏蘭さん達が呼ぶんじゃなくて小明さんが呼ぶんですね」
「まぁあいつも思うところがあったんやと思うで。そう思っといた方がええ。さもないと本格的に人間やめとるわ」
現時点でかなりやめてると思います
「とにかく、呼ばれたら大人しく従っとき。運よければ死なへん」
「は!?それ死ぬ可能性あるって事ですか!?」
「今の嬢ちゃんにはかなり可能性低いけど歴代で余計機嫌悪くさせた奴はちらほらおる」
無理ゲー過ぎるのだが─────!!
ガクブルしながら就寝した次の日、瀏蘭がボロボロの状態で「李暁明様がお呼びです」
と死刑宣告をして来た
早すぎるのだがー!!!まだ心の準備がーー!!
佐藤笑ってんじゃないよー!