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えっ! まさか!

レポート作成を始めて驚いた。


須藤春子は自身の著書を教科書として使っている。

それなのに、彼は須藤春子の著書を教科書を

持っていないというのだ。


「だって、歴史なら、過去の話であって、

教える教師によって変わるわけないでしょ。

いい国(1192年)鎌倉時代が、

泣くよ(794年)うぐいす平安京の前なんてこと、

ありえないでしょ。」


「でも、須藤春子の教科書には

彼女の歴史観がのっているから、

それをしっかり読まないと・・・」

「須藤春子の歴史観? 

それって、彼女の私的な意見、見解でしょう? 

そんなもの習ってどうするの。

まあ、君に言っても仕方ないけど。」


仕方がなく、私は、1年前の教科書を探し出して、

レポートの作成に取り掛かった。


三日目になった。

今日一日しかない。

もはや須藤花子の棚卸をして

うけに入っている場合ではない。

須藤花子の歴史観を一から読み始めている彼に

任せておく時間的余裕はなかった。


私は説明をやめて、自分でレポートを書き始めた。

彼は、

「書くの、早いんだね。」とか言いながら

所在無げに柿の種をつまんだりしていた。

午後11時頃になって、やっとレポートが出来上がった。

もう一度よく見直して誤字脱字や

細かい記述の言い間違いを直せば

提出できそうだ。

良かった!


完成!と聞いて彼も大喜びだった。

レポートを手にすると

「わぁ!スゴイ、スゴイ! こんなすごいもの出来たんだ!

わーい!」

と言って両手を高く上げた彼の眼に柱時計の文字盤が映った。


「え? 11時過ぎてるの?

終電は11時半頃東京駅を出るから、もう、間に合わないよ。

どうしよう?」


そんな、どうしようと言われたって・・・


「泊めてもらっても良い?」


え? まさか!


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