夫がいない
何十年ぶりだろう
かならず、隣のベッドにいるはずの夫が今朝はいない。
というと、
「え?どうしたの?」
「何かあったの?」
などと、聞かれそうだけど、
別に事件が起こったわけではない。
10年ぶり位になるのかな?
シニアになってから初めてかもしれない。
夫が旧友と久しぶりに北海道旅行へ出かけたのだ。
「亭主元気で留守が良い」などという言葉もあるし、
ご主人のことを「粗大ごみ」だなんていう人もいる。
本心なのかどうか分からないけれど、
私は、そうじゃない。
だって、いつも、元気でそばにいてくれると楽しいし
高い所にあるものを取ってもらうこともできるから、
粗大ごみなんかじゃない。
実を言えばベンリーナ!でもあるのだ。ウフフ。
というと、今度は
「ご主人お出かけで、お淋しいですね。」
なんて言われそう。
ううん、
淋しくないと言えば嘘になるけど、
実は留守中にぜひやっておきたいことがあったので、
むしろチャンスだと思った。
鬼の居ぬ間の洗濯、洗濯!というわけ。
何だと思います?
鬼の居ぬ間の洗濯って?
そ・れ・は・ね。
大掃除と大片付け!
実は、シニアになって、
夫が会社へ行かなくなってから、
大掃除と大片づけをするチャンスが
なくなってしまったのですよ。
大掃除をしようと思うと
「え?大掃除、今日はちょっと昼寝したいと思っているから、明日にしてくれない?」
そして、明日、
雨が降ると
「もっとお天気の良い日にやる方が良いよ」
などと。
結局大掃除をしないまま、
数年が過ぎてしまったというわけ。
お片付けの方だって
全く「同じく!」状態なので、
家の中の有効スペースが
どんどんどんどん狭くなっていくような気がしている
今日この頃。
だから、何とかしないと、と、
思っていたところへ今回の旧友たちとの旅行計画。
もちろん、一も二もなく賛成しましたよ。
大賛成です。
ということで、これから
大掃除と大片づけ、はじめま~す。
さて、大掃除、一体どこから始めようかな?
やはり納戸からでしょう。
夏が来れば・・・
「あれ?夏物どこへしまった?」
冬が来れば・・・
「今日は寒いのにコートがない。」
なんて困りますものね。
やっぱり、納戸からでしょう。
と言うことで、
納戸の片づけから始めることに。
今回は時間もたっぷりある。
一度全部取り出して、
要るものと要らないものを選り分けて、
また、きちんと収納しなおそう。
そう思って
早速、衣類などを運び出し始めると、
「コロン」と転がったもの。
何だろう? と思ったら、古い古いiPodだった。
そうそう、いつだったか、
ミッシング、ミッシング、と言って
探しまわったのに見つからなかったiPod、
こんなところにあったんだ。
まだ、使えるのかな?
何が入っているのかな?
そう思いながら、スイッチを押してみた。
ラ、ラ、ラ、
おいらヴァガボンド
・・・・・・
越路吹雪さんの唄だ。
いやあ、懐かしい、
越路吹雪さんの唄。
何十年ぶりだろう、このメロディを聞くのは。
若い頃、私は越路吹雪さんのファンだった。
だから、リサイタルにはよく行った。
結婚してからは夫と二人で聞きに行ったこともある。
それにしても、私たちの結婚って、
可笑しな結婚だったな。
一瞬にして数十年前にタイムスリップする。