なろう小説で誤用が目立つ気がします。とんでもございません、は誤りで、とんでもないことでございます
コミカライズされているような作品でもしばしば見かける、その……「なろう出身の小説」を偏見で見るタイプから“やっぱりな”と思われかねないことかもと思うのでトピックスに挙げさせていただきました。
といいますか、校正段階でどうして誰も突っ込まない!?と思わずにいられません。確かに、社会人でも「とんでもございません」を丁寧な表現だと思い込んで使っている人を、けっこうなお年のかたでもお見受けすることがありますが、
やはり、マナーブックなどでは今でも「誤り」として有名なものなので、特に、(本来言葉遣いがキチッとできているはずの)「貴族の会話」や、あるいは(教育係などがついて、受け答えを仕込まれた後の主人公など、正しい表現ができていると考えられる状況での)ご挨拶で「とんでもございません」をキャラが言うのは――上記を知っている人間からすると、おいおいおい……ってなるような話なのです。
マナーについてそれなりに詳しい人間や、正しい言葉遣いを知っている人間がそれを見ると
“礼儀作法に厳しい上流階級で仕込まれた、貴族なのに、改まった場所で、正しい言葉遣いができない”
“優秀な教育係から仕込まれたはずなのに、汎用性の高いフレーズについて、表現が直っていない(教育した者も誤用を知らない!?)”
みたいな雰囲気になるってことです。
日本じゃなくても日本語で書かれている以上、表現は日本語に準じた方がいい。
特にあとは賢いエリートの男が(たとえばヒロインの家族に接するなかなどで)これ言うのは――ものすごく変です。
これは冗談抜きで、知る人から見るとカッコ悪く見えます……(おバカながらも愛されキャラという設定の男なら大丈夫です。賢いエリート――ですよね!? さんざん、修羅場を潜ってきたんですよね?それで、……それか!?――マジかよ……って興醒めするんです。賢い設定だからこそ、違和感が余計に強調されてカッコ悪くなるということです。もちろん、使い分けている場合は別ですが(たとえばヒロインの両親の前で、さすがにそれはないですよね))
口が悪くなりましたが(普段はそこまで思いません。誤用を聞くことの方が多いくらいですから。へんな恨みを買いたくないし、マウントとられたとか余計なこと思われたくもないので、突っ込みもせずスルーですよ。気になるけど。)マナーを叩き込まれた人間が、畏まった場所で使う言葉ではないのです。
誤用は広まってはいますが、まだまだお堅い場所では誤用「とんでもございません」を使うのは、知識教養の水準を侮られかねませんので、避けた方が望ましいです。
(ただし、日常会話のなかでは――意図的に、誤った使い方をすることもアリです。正しすぎる敬語ゆえに、周囲から浮いてしまうと「特殊な世界で育った人?」などと言われて、対人関係で余計なめんどうを招く場合もあります。重要なのは、その時々で、周りに合わせるということです。ただし、本来正しい表現が何であるかは知っておいた方がいいと思います。特に、小説として書くならば尚更です)。
「とんでもない」という言葉は、「とんでも+ない」ではなくて、「とんでもない(形容詞)」でひとくくりなのです。
「ごくフツーのJK」という設定で、あえて「間違った敬語も使うのが普通なので」そういう表現をしていた場合はオッケーだと思います。
貴族などの会話や、礼儀作法をみっちり仕込まれた後で使っていると、誤用を知っている人間から見ると違和感が出ておかしいだけです。
畏まった場所で、訓練を受けた人が「すいません」と言ったらおかしいですよね。それと同じです(こんにちわ、とか(こんにちは、はOK)。くだけている雰囲気を出したいならアリですが、賢い設定のキャラが畏まった雰囲気の場所で「すいません」「こんばんわ(こんばんは、が正しい)」等と言うと変なのと「とんでもございません」が変だというのは同じ理屈です。もちろん場面次第ではオッケーだと思います)。
「すみません」が言いづらいならいっそ「申し訳ありませんが」であったり、「○○で恐縮なのですが」などと、賢そうに見える(実際にはこんなものは賢さでもなんでもありません。知っているか知っていないかの違いです。)表現は色々あるはずです。
とんでもございません、に関しても、とんでもないことでございます、が抵抗があるならばほかの言い換えでもいいと思います。
「そんな、とんでもない……(○○△△××)」と繋げる感じだと、おどおどしているけれども丁寧な雰囲気が出るかもしれませんし、
なにも、「とんでもない」を使わなくても、「身に余る(過分の)お気遣いに……」などなど色んな言い回しはあるんじゃないかなぁと
思います!
気になる人にはかなり気になることです。
マナーに関しては完全にできてる方が正しいとは限りません(やりすぎると浮いて悪目立ちする場合もあります。やはり、ベストはその場のメンツや状況にあわせて日本語レベルも自在に変えられることだと思います。もっとも、たとえば、私に、若いかたにとって違和感のない会話表現で書けと言われてもかなり厳しいように、書き手の年齢や受けた教育、周囲の環境によって限界もあります)
それでも正しい日本語について、知っていて損はないことのはずです(生活のなかでも、緊張する訪問先や、ちゃんとして見せたい相手の前などでは正しい日本語が使えた方がいいことも多くあります)ので、書かれないかたも参考になさってください。
日常会話のなかで、使った人に突っ込むのはリスクが高いのでやめることを推奨します。
マウントとられた、とか 小バカにされた、とか、人の揚げ足をとるイヤな人――などと思われて、余計な恨みを買いたくないですよね。
よほど気のおけない関係などでない限り黙っておきましょう。そして悪口に使うのも危険です(悪口自体が望ましくありませんが)。気づかぬうちに目の前の人を批判しているかもしれないからです。
「とんでもございません」という誤用はそれくらい多いです。もうこっちを認めたほうがいいのかなってくらい、ヘタするとテレビですら聞く言葉です。
でも やっぱり まだ、誤用として有名なものではあるんですよ――
それとなく教えてあげたい(相手のためだし自分も困る!)という場合だけは、それとなく、マナーの本かなにかを、それとなく、そのページを開いて相手の目につく場所においておくとか 自分で気づかせる方が望ましいと思います。