光と大護
西暦2030年3月
渋谷
路地裏のタバコ屋
「おばちゃんいつまで店開けてるの早くお店閉めて!もう湧いてるから!」
おそらく80歳以上のおばあさんに何やら捲し立てる青年
「はいはい、今閉めるからちょいと待ってね大護君・・・よいしょ・・・」
ゆっくりと立ち上がりシャッターを下すおばあちゃん
「おばちゃんもうすぐそこまで来てるからちょっと急いでくれるかな!?」
「なんだいそんなに慌てて、良い男が台無しだよ」
「どうせ退魔師のあんたがまたなんとかしてくれるんだろ?」
ガラガラ・・・ガシャン・・・
「今は退魔師じゃなくてハンターって言うんだよ!」
「そんなことより!おばちゃん今日は満月だからいつもより数が多いから絶対外出たら駄目だからね!」
そういうと月明かりの中走り去って行った。
「いた・・・魔物だ!」
「今日は蜘蛛型モンスターの群れか!」
そこには50匹程の大型犬サイズの蜘蛛が道路、ビルの壁、街路樹等の
至る所に群がっている。
大護は腰のホルダーから銀色に怪しく光る銃を取り出すと
「戦闘開始」
「魔力チャージ・・・・・満タン!」
そう漏らすと蜘蛛の群れに銃を撃ちまくる
蜘蛛に弾が当たると当たった個所が小さく弾けているようだ
蜘蛛は一斉に襲い掛かるも大護の素早い身のこなしにより
攻撃が当たる間もなく殲滅されていく
どうやらあの銃に弾切れは無い様だ・・・
しばらくすると大護は全ての蜘蛛を倒し銃をホルダーにしまう
「蜘蛛型が群れで行動するなんて・・・ボスがいるな・・・」
すると・・・
『キャー!!』
路地裏から女性の悲鳴が!
急いで悲鳴のした路地裏に駆け付けると
シュルルル!
何かが青年の体に巻き付き青年は倒れてしまう
上を見上げると・・・
「アラクネ!?」
(蜘蛛型の上位個体・・・ボスか・・・悲鳴に騙された・・・)
「くそ!ヤバいな・・・」
身動きの取れない大護に近づきとどめを刺そうとするアラクネ
(せめて片手さえ動けば・・・)
「っく・・・」
「おりゃぁぁ!!」
ドォン!!
『ギャー!!』
何者かがアラクネの頭部を殴りつけた
殴られた衝撃で頭部が半壊しのたうち回るアラクネ
「大丈夫か?」
「光!?」
「お前今までどこに・・・」
遮るように笑いながら光は言う
「すまんすまん、煙草屋のばあちゃんが・・・」
さらに遮るように
「嘘つくのじゃねぇ!おばちゃんのとこは寄ってきたわ!!」
「あれぇ?そうなの?ごめんごめん」
笑いながら誤魔化す光
『ニンゲン・・・ヤッテクレタナ・・・』
二人が会話している間に立ち上がるアラクネ
「おい光!後ろ!」
「わかってるって、ちょっと待ってて」
にこやかに大護に言い振り返ると・・・
「悪いけど消えてもらうよ?」
そう言うと光の拳が光りだす
その瞬間一瞬でアラクネの懐に入り込む
そして光る拳でラッシュ・・・ラッシュ・・・
ドドドドド!ドカ!バキ!
からくもアラクネが飛び上がり光の猛攻から離脱する
しかし一瞬でアラクネの頭上に回り込み上から踵落とし
「おらぁ!」
ドーン!
地面に叩きつけられるアラクネ
力無く立ち上げるも目の前には一層強く輝く光の拳が・・・
「魔拳突きぃ!」
『ヤメロォォォ!!!』
ズドカァン!!
眩い光が治まるとそこには人間部分が消し飛び
アラクネの蜘蛛の腹部だけがあった
その腹部も数秒で黒い霧となって消えてしまった。
「さぁパトロールの続き行こうぜ大護!」
「おい光!この糸とってくれよ!」
駆け出す光
騒ぐ大護