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歩きスマホ撲滅小説  作者: 切羽未依
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目覚めて見る夢

「お兄ちゃん、起きて。時間だよ」

 ベッドで右向きで寝ているお兄ちゃんの肩を揺すると、目を開けたくても開かないカンジでうなる。俺は体に両手を掛けて大きく揺さぶる。

「起ーきーてー!」

 寝起きが悪い方じゃないのに、疲れてるんだろうな。お兄ちゃんは丸まって、うううううとうなりながら前髪を掴むようにしてかきあげる。ああああ、生え際の侵攻と(デコ)の拡大化が気になる~。起きた時、それやんのクセだってわかってるけど、やめた方がよくない?って言うと、やめた方がいいと思う理由を兄に告げる勇気が弟にはない。しかし、これ以上肌色多めになるのも、まだアラサーなのにね、けど、言ったら気にして、逆に侵攻と拡大化が加速するのではないかと思わなくも

 俺を見るお兄ちゃんの目が瞳孔が全開になる勢いで見開き、跳ね起きた。てろってろの紫色シルク風パジャマ(税抜き九百二十五円(税込み九百九十九円))をひらめかせ、俺の肩を掴む。

「俺の弟が妹になってる! これは夢か? 俺は夢を見ているのか?」

 ありがとう、ナイスリアクション。メイド服の俺は、お兄ちゃんの両頬をつねって、ぎゅーっと横に引っ張る。

「おはようございます、ご主人様。お目覚めはいかがですか」

(いひゃ)い。(おへ)目覚(めひゃ)めているのか!」

「文化祭でメイド執事カフェやったんだよ。男子がメイドで女子が執事やったの」

 あごの下にげんこつ二つそろえて上目づかいでお兄ちゃんに報告する。

「俺、看板娘総選挙一位、とったんだよ」

 ごつんと拡大化する(デコ)が俺の頭の上に落ちて来た。リアクションがライトな頭突きって、ワケわかんない

「おめでとう」

「ありがとうございます」

「やっぱり行きたかったな、文化祭」

 ちょっとかわいそうになって、俺は言った。

「来年もあるよ、文化祭」

「高校一年生のお前の文化祭は今年しかないんだよ・・・」

 兄の弟スキーにはヘンタイ臭がする・・・。お兄ちゃんは額を離し、掴んでた俺の肩も離すと、ベッドを下りるかと思ったら、ごにょごにょ言い始めた。

「あ~、なんだ、その、メイドさんが言う『ご主人様』な。それをだな・・・ぜひとも『お兄様』でやってもらえないかなっ?」

 俺は手を差し出す。

「家庭内課金か!」

 お兄ちゃんが叫ぶ。


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