第九十六話 ラウンド2
「ボルケーノ」
クラノスケは愛剣が飛んでくる前にマサムネに魔法を放つ。
武器がきてから戦闘開始だと思っていたためマサムネは、意表をつかれた。
だが、身体を無理矢理横跳びさせて、クラノスケから放たれた炎弾をかわす。
「あっぶねえぞ、フライングじゃねえのか?!」
「ボルケーノ!ボルケーノ!」
マサムネの文句に一切、耳をかさずにクラノスケは再度、炎弾を放つ。
火魔法の名家リン・フレイムウォールに比べると威力は落ちるが、連射速度では負けていない。
マサムネは、食堂中を駆けながら、次々と放たれる炎弾をかわしていく。
(アイツの攻撃、もしかしたら回復できないかもしれん。迂闊には当たれん)
思考を巡らせながら、攻撃をよける。なかなかできない芸当だ。
だが、必死にクラノスケの炎弾をかわしながら、マサムネは間合いをつめていく。
「ちょろちょろと・・・ボルケーノ」
超至近距離で炎弾が放たれる。
「つっかまえたー」
炎弾が頬をかすめながらも、クラノスケの懐まで飛び込めたマサムネはそのまま、腹部めがけて拳をうつ。
ボゴォ
「・・・あめぇよ」
しかし、クラノスケは、両の掌でマサムネの拳を受け止めていた。
(でも、両手が痺れている・・・)
ノーダメージというワケにはいかないが、後ろへと吹き飛ぶことは耐えることができた。
そして、
「ボルカノン!!」
クラノスケの両手から火炎放射が放たれる。
上位火魔法ボルカノン。ボルケーノが炎の点ならば、ボルカノンは炎の直線だ。
マサムネは、炎の直撃を喰らう。
(思ったほど熱くないな・・・やはり身体の構成が変わったのが要因か・・・
頬の傷も治っている・・・よし、奴の魔法はそれほど警戒しないで大丈夫だ)
(ボルカノンの直撃を受けて、無傷・・・凹むぜ。魔法が俺のアドバンテージなのに、意味をなしていない・・・しかし諦めるわけにはいかない)
二人の思考、この間1秒。
ドゴォ
そのとき、轟音と大量の海水と共に、銀色の剣と斧が持ち主の手へと戻っていった。
二人はそれぞれ武器を構える。
闘いは次のステージへと移行する合図だ。