第九十五話 ロリの騎士
同時刻
アクアジェラート近くの平原
「うっま、このスープうっま」
ビビは、あまりの美味しさに唸った。
目的地の近くまで到着したのだが、
突入するか否かで意見が割れ、とりあえず食事をとっていたのだ。
本日のメニューは、
トラム特製のポタージュだ。
「この肉ホント美味しい・・・ねえ、トラム・・・この肉なんなの?」
目を輝かせて聞いてくるビビに対してもトラムは声を発しようとしない。
ただ静かに微笑んでいるだけだ。
「久しぶりじゃな。こんな嬉しそうなトラムは・・・。
特別にワシが答えてやろう。その肉はなサハギンじゃ!!
先日、大量に死体が上がったから、ワシとトラムで保存食にしておいたんじゃよ。
わっはっはっは」
豪快に笑いながらゾファルは手に持った酒を一気に飲み干す。
「くぁあああ、旨い!戦の前に景気づけできて良かったわい。
将軍は今頃、刑期付けだがな、わっはっはっは」
「ゾファル、ウルサい、キモい、死ね」
ネルヴァは、たき火を見ながら静かに、
ノールックで、ゾファルを罵倒する。
「なんじゃと・・・・おおおおお」
ゾファルが怒声でネルヴァに応えようとした時、
四人の上空を2つの白い光が飛びさっていった。
「あの光は・・・剣?」
「斧もいっしょに飛んでいったぞ」
2つの白い光はそのまま海中に飛びこみ、
その後、激しい轟音が遅れて聞こえてきた。
▼▼▼
「マサムネ・・・説明しろ」
クラノスケは、マサムネを凝視している。
普段、回し車で発電している際は、半袖に短パンを身にまとっているが、
今は、上半身裸で下半身は短パンだ。
就寝時は薄着で寝るタイプなのかもしれない。
「おお、クラノスケか、実は・・・」
「ウルサい!!何も聞きたくない!!」
自分で聞いておいて自分で黙らせる。
クラノスケは明らかに混乱している様子だった。
「いや、話を聞け。怒るのは違うぞ」
マサムネは淡々と説明しようとする。
「そんな素っ裸で幼女に近づいていくなんて・・・。
熟女が好きなんじゃなかったのかよ!まさか騙していたのか?」
「ばっかやろう、嘘なんか言わねえ。おれは熟女が好きだ。鼻の穴が大きくて、ダルダルの腹なんか格別にいいんだ。言わせんな。お前は誤解しているぞ・・・コイツはな・・・」
そういって、マサムネはプリシラにつかみ掛かろうすると、
「ウルサい!!もう喋るな!!プリシラたんは俺が守る・・・。
今からおれは・・・ロリの騎士だ!!」
クラノスケの身体から殺気が溢れ出す。
まだ少し混乱している様子だが、方向性は定まってきたようだ。
「やるって言うのかよ・・・」
「当然だ・・・元々、俺たちは敵同士、こうなる運命だ」
クラノスケが発する殺気にマサムネは対応するしかなかった。
(クラノスケは本気だ・・・本気で俺を殺りにくる・・・。
不本意だが仕方ない・・・アレを使うしかない・・・)
「剣よ・・・こい!!」
「斧よ・・・こい!!」
二人は、天井高く右手を翳し、最高の相棒を呼んだ。
 




