第九話 変態全裸メテオ
風が強く吹いている。
ものすごい突風がマサムネの顔に当たっている。
歯茎をむき出しになりながら、マサムネは気づいた。
「落ちてるううううううう 」
成層圏を抜けて気絶したマサムネは落ちながら、
潰れた肺が再生し、目を覚ますことができた。
(高さは充分だ。あとは狙って戦斧を降りおろすだけだ)
どんな無酸素だろうが、どんな場所だろうが、恐れない。
状況を瞬時に判断し、最適解を導きだす。
マサムネのこの切り替えの早さを日本の政治家は、見習わなくてはならない。
熱を帯びた全裸の男が戦斧を持って大気圏突入してくる。
その姿は、至近距離で見ると禍々しいが、遠くから見ると神秘的な流星に見えた。
その流星は、ユニバース中の人々の目に止まる。
あるものは神の使いだと、願い事をし、
あるものは、災厄の前触れだと畏れ、
あるものは、指をさして笑っていた。
神か悪魔か。
そんな変態全裸メテオは、深紅のゴーレム目がけて落下する。
「森の敵よ、砕けちれえええええ 」
マサムネが渾身の力を込めて、戦斧を振り下ろす。
初めて会話ができそうな人にあった。嬉しかった。
しかし、森を焼こうとした。あんなにも素晴らしい森を。
マサムネは前世ではそんなに怒るタイプではなかった。
だが、異世界転移し自分を生かし、成長させてくれた森に愛を持ってしまった。
許せなかった。こんな禍々しい暴力での解決は間違っているのかもしれない。
だが、怒りは止められない。
全ては世界樹の森のため。森で生きる動物たちのため。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
マサムネの愛と怒りの一撃は、
赤いゴーレムがいる地点から数キロ離れたところに着弾した。
その日、ユグドラシルの森が消滅した。
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