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ユニバース!  作者: ふぁい
第陸章 選ばれし者たち編
86/130

第八十六話 マサムネの初○○

「さっむ、さっむ、さっむ」


マサムネは、寒さのあまり飛び起きた。

見知らぬ天井だった。

マサムネは、辺りを見回す。


殺風景な部屋だった。

全面を古い木で作られ、マサムネが眠っていたと思われるベッドも、

ギイギイときしんでいる。


「どこかから風が入ってないか?」


どうやらすきま風が入ってくるくらいこの部屋は弱っている。


「目覚めたか」


声のする方へ視線を向けると少年が座っていた。

ベッドのすぐ隣にある椅子に腰掛け、何やら小さな本を読んでいる。


「君が助けてくれたのか?」



「まあ、ここまで運んだ」


「君の名前は?」


「タウ・ミノフスキン」


「どこかで聞いたことがあるような、ないような・・・。

 とにかく助けてくれてありがとう。あ・・・

 左腕がない・・・体質が変わったのか・・・」


マサムネは今にも泣き出しそうだ。

ジェット噴射する地蔵が現れて、左手を切断された。

その後、魂が抜けるぐらいボコボコに殴られたことを思い出してきたのだ。


「おれの左手・・・でも、不思議と身体全体的に痛みがないな・・・。

 骨折と内出血しまくりだと思っていたのだが・・・」



「タウが治した。左腕もそのうち生えてくる」


少年は自分のことを名前で読んでいる。

そういうブームがやってきているのだろうか。


「えっ?なんか貴重な薬でも飲ませてくれたのかい」



「違う、マサムネを拾った時に、闘気の流れが止められていた。

 だから、再生能力も機能していなかったんだ。

 気が流れるツボを連打したから、もう治ってるハズ」



淡々とタウは、話す。


「ありがとうございます!でも、おれ、名前言ったっけ?うん?寝言?闘気って何?」



「名前は言ってない。寝言はなかったがイビキが耳障り。

 闘気は、体内に流れる生命力のこと。魔力と対をなす力。マサムネは、

魔力が全く流れていない。体内にはたくさんある。でも、流れていない。

アレクシアのせい。タウは魔力のことは治せない。闘気は専門家」



無口そうに見えて結構よく喋る子どもだった。



「闘気か・・・そんなものがあったのか・・・。でも、なぜ流れなくなっていたのだろう。

 魔法・・・使いたいぜ!!そしたらあの地蔵にも勝てるかもしれん」



闘気が流れだしたからなのか、希望が湧いてきたからなのだろうか、

マサムネの顔に生気が戻ってきている。



「闘気の流れを断ち切る武器がある。あと、地蔵は、流れを止める力がある」



「地蔵を知っているのか?」


「知っている、タウが育てた。神以外ならユニバース最強。トウ・バレンシアという。

 昔はおしゃべりな奴だったが、漂白剤を飲んだら地蔵になった」



「俺の知っている漂白剤と違うんだな・・・。

 しかし、ユニバース最強か・・・おもしれえ・・・おもしれえよ。

 なあ、タウ!どうしたら俺は地蔵に勝てる?アイツの師匠なんだろ?

 わかるなら教えてくれよ」



マサムネは立ち上がり、掛け布団を吹き飛ばす。安定の全裸だ。



「どう足掻いても勝てない。トウは強い、マサムネは弱い。魔力も使えない。

防御力もない。闘気もうまく使えていない。勝てる見込みなし。思い上がるな」


色々教えてくれるから優しいタイプかと思えば、舐めたこと言う奴には厳しかった。



「勝てる見込み・・・0%ってこと?」



「・・・2%くらいはある。だが運が必要。あとはひたすら努力」



「2%か・・・悪くない賭けだ。タウ、お願いだ俺を鍛えてくれ!!

 負けたままじゃいられねえ・・・頼む」



見ず知らずの少年に対してノータイムで土下座する全裸男がそこにいた。

タウはしばらくマサムネを見ていた。マサムネは黙って土下座をし続けている。



1時間後



「わかった。その変わり、弱音を1文字でも吐くと爆発する首輪をつける。

 それが条件。やれることは全部やる」



「やった!!ありがとう。タウ!!弱音は吐かねえ!」



「そうか。じゃあまずは肉体改造から」



「おう、筋トレか!得意だぜ!」



マサムネはピョンピョンとその場で飛び跳ねたり、屈伸運動をし始めた。



「それはしなくていい。今からこれに入れ」



タウが空中に手をかざすと、大きな鍋とコンロが現れた。



「マサムネを溶かす。まずはそれから」



ユニバースに転移し、マサムネは初めてどん引きした。

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