第八十四話 スノウの策
「まず、状況を整理しましょう」
スノウはテーブルの上に羊皮紙を広げ何やら絵を描いていく。
「まず、我がレオンガルド王国の脅威として、東の魔族軍があげられます。
今は引いてくれましたが、再度攻撃されると王国は持たないでしょう。
敵の幹部、魔界九家は、ジン家、ザイ家・ゼン家と、最強のトウ家当主ですね。先ほどマサムネ君を吹き飛ばした地蔵こそが、あちらの最高戦力。トウ・バレンシアですね。このままでは王国は滅ぼされるでしょう。
こちらの戦力は、一般兵士を除けば、私と四季騎士のみ。絶望的ですね」
スノウの描く人物相関図も絶望的な下手さだった。
だが、その瞳はまだ死んでいない。
「・・・何か秘策があるんでしょう?大賢者サマ」
「ふふふ・・・鍵を握るのは、我々選定者と、マサムネ君です」
スノウは生き生きして話しだす。
「まず、選定者は、ユニバース創造神に選ばれし者、魔法神、武神、運命神に選ばれた者・・・なので3人存在します。クラノスケ君、ビビさん、そして私スノウです」
「マサムネは、選定者ではないの?」
「彼は運命神に転移されていましたが、選定者ではありません。イレギュラーです。ソースは運命神様が言ってました。アイツ面白いから入れてみよーぜって感じです」
「そうなんだ。選定者じゃないのに、あんなにも強いんだ・・・」
「ふふふ、彼はユニバースにおける切り札になる存在でしょうね。ビビさん、選定者同士の私たちですが、ここは一つ共闘しませんか?」
「共闘?」
「はい、選定者同士を闘わせる闘いを代理戦争――『ラグナロク』といいます。
ラグナロクは神同士の意地の張り合い。ビビさんの話だと、武神様はラグナロクの勝敗は特に気にしてないご様子ですね?」
「うん、やりたくなかったらやらなくていいよ。って言ってたわ」
「実は運命神エスタ様も、勝敗は度外視派。楽しかったらそれでいいと思うタイプなのです。ですから、ラグナロクに勝ちたいのは現状、魔法神だけなのです。ここまではわかりますか?」
「ええ、大丈夫。ついてきてるわ。で、アタシは何をすればいいの?」
ビビのこめかみから見えない煙が出てきていた。
思考回路はショート寸前である。
「ここからが重要です。
ビビさん、あなたにはまず、クラノスケ君を水牢都市から救出してもらいます」