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ユニバース!  作者: ふぁい
第伍章 魔族侵攻編
72/130

第七十二話 それぞれのそれぞれ2

レオンガルドを出発した馬車は激しく揺れる。


王族御用達の馬車は、魔法によって、車輪や座席が補強されている。

大地と風の魔法の応用で、揺れないようにできるらしい。



だが、この馬車はユニバースで一番価値のない「囚人」が乗る馬車だ。

衛生面も行き届いていない。悪臭付きの乗り心地最悪の馬車。


そんな馬車に、全ての歯を失ったハゲと、手首がズタズタのメンヘラ、全身タイツのナルシストが乗っている。


「ふがふが、ふがふが」


「何言っているのかわからないわ。シャー・カーン。

 まさかあなたが既に捕まっているとは思わなかったわ・・・。

 忌々しい・・・。あの全裸の変態さえいなければ・・・」


レツ・グラビアノスは、自らの歯が取れてしまいそうなぐらい、

激しく歯ぎしりをしている。




地蔵が飛び立った後、戦局を変えようと孤軍奮闘したのだが、

四季騎士の連携攻撃にあい、あえなく捕縛されてしまったのだ。



シャー・カーンは、全裸という言葉を聞いた瞬間、ガタガタと震えている。

よほどヒドい目にあわされたようだ。



全身タイツの男は、レツの話に耳を傾けようともせず、虚空を見つめている。

黄昏れている俺、イケているとでも思っているのだろうか。



(何故だ・・・なぜ俺はこんな目に会っているんだ・・・。

 将軍まで上り詰めたのに・・・)


クラノスケは、錠に繋がれた両手を口元まで上げ、爪を噛んでいる。

落ち着きはなく、貧乏ゆすりが、さらに馬車を揺らす。



そんな囚人3人を乗せて馬車は進む。

目的地は水牢都市「アクアジェラート」。

彼らが投獄され、処刑される場所だ。








▼▼▼




魔法神アレクシア・グッドローズの居城「ディバインセレナ」。

雪と氷におおわれている厳しい土地では、魔法神の許しなしには、立ち入ることさえできない。まさに選ばれし者しか暮らせない場所だ。



そんな氷の城から、さらに北上すると見えるのは、

霊峰「ノースノーザンパイル」。



天に最も近いとされているその山は、空気も薄く、生物が存在できないとさえ言われている。まさに死の大地だ。


そんな極寒の地に、少年がひとり佇んでいる。

吞気に、山の景色でも見にくるような場所ではない。


だが少年は、じっと固い雪から懸命に伸びている一本の木を見つめているのだ。



木は葉をつけることもなく、枝に雪だけをのせて叢生そうせいしている。



そんな寂しげな枝にかろうじてぶら下がっている全裸の男。

全身、内出血の後がヒドく、その上絶対零度の寒さが男の命の時間を容赦なく削っていく。



しばらくして、男がひっかかっていた枝が折れてしまった。

筋骨隆々の重さに耐えられなくなってしまったのだ。


男は頭から雪原に落ち、逆立ちをした状態で雪面にめり込んでいく。

上半身が丸々隠れるくらい雪に埋まり、下半身で息をしている状態だ。





少年は、顔色ひとつ変えず、ゆっくりと下半身のみの男へと近づいていった。

これにて5章終了です。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第5章まで読了 相変わらずゼノンが良い子で良かった(*´∇`*) 戦力にはならないかもだけど、今後に期待! 全裸サハギン祭り面白かったです 葉っぱよりは美味い、なるほど!! 地…
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