表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニバース!  作者: ふぁい
第壱章 ユグドラシルの森編
6/130

第六話 マサムネ聖剣を抜く

マサムネが森に墜落して五年後。


ボロボロの服はなくなり、すっかり全裸になっていた。


ユニバースに転移した頃にはブヨブヨの中年ボディが、


なんということでしょう。

5年間のトレーニングと超回復の繰り返しで、今は鋼のように鍛え上げられていた。

俗にいう細マッチョである。

身長は元々、180センチを超えていたので、痩せるとモデルのようにスラっとした雰囲気になっている。



「この剣、実は前から抜いてみたかったんだよなー」


長身の全裸モデルは石造りの祭壇の前に立っている。


この場所は、マサムネが森ランニング中にたまたま見つけた所だ。


マサムネのキャンプ地から5キロくらい東に進んだ所にそれはあった。


周囲を石壁に囲まれた祭壇の中心に柄が1本刺さっている。


祭壇に近づくと、壁面からゴーレムが15体ぐらい現れた。


十五個の緑色をした単眼がマサムネの方を見つめ、近づいてくる。


一番近くにいたゴーレムが右腕を振り上げ、マサムネを攻撃する。


2メートルの巨体から繰り出す拳は、当たるとふきとばされそうだ。

そんなゴーレムの拳をマサムネは、人差し指で受け止める。


「ウシシシ、いいぞ。修行の成果をみせてやる」


マサムネは、そのまま軽く跳躍し、ゴーレムの顔まで近づく。


マサムネは左ストレートでゴーレムの単眼を貫いた。


茶色のオイルが飛び散り、ゴーレムはゆっくりと後ろへと倒れていく。


静かな森に地響きが鳴り響いた。


その後、マサムネは強くなったのが嬉しくなったのか、

同時に襲いかかってくるゴーレムに大立ち回り。


手刀で、ゴーレムの腰部を切り裂き、横に真っ二つにしたり、


かかと落としを肩に食らわせて右腕を吹き飛ばしたり、大車輪の活躍をみせた。


固そうな金属でできたゴーレムがまるでフルーツだ。


ナイフでストンと切るかのようにマサムネはゴーレムを破壊していく。


そして、最後の一体となる緑色の単眼が、赤色に点滅し、やがて光を失った。


森の動物は殺さない。無機物には容赦しない。それがマサムネのポリシーだ。



5年鍛えた筋力は伊達ではなかった。


マサムネは、壊したゴーレムの残骸を拾うでもなく、一か所にまとめるでもなく、

祭壇を中心として円状に置いていく。その行動に特に意味はなかった。


ただゴーレムの部品で円を作りたかっただけだ。



ゴーレムの残骸を置き終えたマサムネは、祭壇の中心部へと近づいていく。

刺さっている柄を見つめる。


「そういえば、運命神が言っていたな。


 最初に触れた武器の達人になる加護を与えるって。


 大分前になるけど、あの加護まだ有効だよな。


 転移特典が、自己修復能力じゃなかったんだからあるよな。絶対あるよ。


 あの柄の形状からして、あれは剣に間違いない。


 この祭壇自体が神秘的な場所なんだし、ゴーレムが十五体も守護していたんだ。


 エクスカリバーとかアロンダイトとか聖剣のハズ。伝説級の武具だ。


 今の俺のパワーと合わせれば、この世界で無双できるぜ!ウシシシ。


 ああ、早く魔法も使いたいなあ。剣に炎を宿して、魔剣フランベルジュ!!

 

 俺の炎に触れると火傷するぜ。ウシシシ」


と、マサムネは壊したゴーレムの頭部に話しかけていた。


もちろんゴーレムは何も語らない。


この5年間、会話できる相手は誰もいなかった。


森の動物や虫たち、あるいは木にまでマサムネは話しかけていた。


目の前にあるもの全てを話し相手と捉えたのだ。


しかし、木や動物からの返事はなかった。



「ふふんふーん、よーし、じゃあ抜くぞー!!」


と、マサムネは鼻歌まじりに刺さっている柄を握りしめて抜こうとした。


瞬間、その場からまばゆい光が辺りを照らす。



「キタキタキター身体の芯から温まるこの感じぃ!


 さあ、いでよ、エクスカリバー!一緒に世界を救おうぜ!」


光に包まれながら、全裸の男が笑顔で祭壇から武具を引き抜く。


神々しくもあり、禍々しくもあった。


森の動物たちは全力でその場から逃げ出した。


柄はゆっくりと引き抜かれていった。と同時に光もおさまってくる。


マサムネは、目をこらして、祭壇から抜いた武器を見た。


斧だった。

お読みいただきありがとうございます。

ブックマーク、感想、評価ポチポチよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] Twitterからきました! 引っこ抜いたら斧だったら笑うなーと思いながら読んでて笑いました笑 文章が読みやすかったですー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ