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ユニバース!  作者: ふぁい
第四章 邂逅編
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第五十三話 ゼノンと金歯と全身タイツ男

ゼノンの瞳孔が開く。


目の前にいるかつての知り合いは白いタイツを履いている。


首の下から足の先まで真っ白だ。


靴も靴下も白色。

白のハイソックスを白のタイツの上に重ねて履くスタイルだった。


「どうした怖い顔して。

 これか?実はスノウがな、将軍といえば、見た目もスタイリッシュにするべきだ。

 なんて言うもんだからな。大人しく従ったまでさ。

 着てみると意外とこのフィット感がな・・・。似合うだろ?」


スノウというのはレオンガルドで名高い賢者だ。

突如、王国に現れたと思いきや、不思議な魔法で王妃の難病を治したそうな。

その功績と見識の広さから、王の相談役を担っている存在だ。


ゼノンがそんなことを考えていると、

突然、クラノスケは土足でテーブルの上に飛び乗った。

ゼノンとシャーが驚いているのを確認すると、

クラノスケはその場を歩き出す。


全身タイツの男が、長い大理石のテーブルの上を肩で風を切って歩いて行く。


「ハッハッハ、将軍閣下は今日もユニークですな」


シャー・カーンは、金歯をむき出しにして笑っている。


テーブルの端まで到達するクラノスケ。

立ち止まって、上半身だけ振り返り、


「似合うだろ?」


と同じことを聞いてきた。

隣にはいけ好かない成金野郎、テーブルの上には度し難いバカ。


ゼノンは人間関係で初めて吐き気を催す事態に遭遇した。




「ところでゼノン、もう一度、俺の仲間にならないか?」


テーブルの上のバカは、ゼノンに語りかける。


「知っての通り、俺は今この王国で将軍をしている。偉くなったんだ。

 俺の号令で王国中の兵士が命令をきくんだぜ。名目上はな、魔族討伐部隊なんだよ。

 でも、そこの男を見てみろよ・・・魔族だ。

 これが、どういう意味かわかるか?」


クラノスケは自慢気な顔で語りながら、シャー・カーンに首を向ける。

カーンは、ニヤリと姑息な笑みを浮かべた。

クラノスケは話を続ける。


「俺とシャー・カーンは、水面下で同盟を結んでいるんだ。ここ何ヶ月か前からな。

 実は、魔界九家の当主が二人殺されてな。

 リン・フレイムウォールと、ピョウ・ブリザドリスって奴らな。

 誰が殺したかまではわからん。

 だが、魔界九家というのは、魔族の中でもトップに君臨するんだとよ。

 その死亡は、魔族の弱体化を意味する・・・。

 だから、その討伐を人間の手柄にするのさ、王国に俺というシンボルを作るんだ」



クラノスケはドヤ顔で語り続ける。

ゼノンは、すかさずその話にツッコミを入れる。


「・・・それじゃあ、魔族側には何もメリットがないんじゃないのか?

 自分たちの幹部がやられたんじゃ面目立たないだろう?」


ゼノンの疑問にシャー・カーンが答える。


「ゼノン君がご存知の通り、魔界九家というのは曲者ぞろいで一枚岩ではない。

 当主二人を殺した犯人がわからないままだと、身内でやった説を唱える当主も出てくる。

 人間の仕業と戦争を声高に叫ぶ派閥もいる。反戦派もいる。

 このままでは、兵たちも人間と戦争をするのか、降伏をするのかで割れてしまう。

 だから、人間側に圧倒的強さを持った英雄を立てるのです。

 犯人が人間と判れば、兵たちは抗戦ムードで統一できる。

 そして、敵が強いということも重要です。

 強い敵となれば準備が必要なのは道理。時間稼ぎの口実にもなる。

 あとは頃合いを見て、戦うフリをしつつ電撃和平を発表すれば、

 誰も血を流さなくてすむという話です。

 そもそも、朕こと、魔界九家の当主とクラノスケ将軍が繋がっているのだから、容易いことでしょう」


シャーの長い説明が終わる。


「・・・で、結局なんでオイラを仲間にしたいんだ?」



ツッコミどころは満載だったが一番の疑問はそれだった。


クラノスケは不敵な笑みで答える。


「心当たりはないか?今日、どうして俺に会いに来た?

 今日会った時から貴様の拳に魔力を溜めているのは何のためだ?

 かつての仲間をぶん殴ろうとしているのか?

 遺跡の受付から連絡をもらった時は、愕然としたよ。

 まさか、5年前に見捨てた男が生きているってな。

 今、王国の英雄に醜聞は御法度だ。

 ゼノン、仲間になるなら見逃してやる。

 さあ、答えろ」



全身タイツの男は偉そうに理不尽な要求を突きつけてきた。


ゼノンの答えは・・・


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