第四十九話 喋るレリーフ
「ありがとうございます。また、遊びに来ますよ 」
マサムネは竜に別れを告げる。
せっかくもらった盾を下着として使い続けることは、正直気まずかった。
だが、それ以上のフィット感なので仕方がない。
仕方がないのだ。
自分があけた穴に向かって、マサムネはジャンプしていく。
地下10階まで戻ってくると何やら違和感に気づく。
「・・・何かの気配がする」
マサムネは壁際に視線をむける。
来る時に舐めたレリーフ――よく見ると色が変わっている。
茶色だったレリーフが今は、銀色の髪に紫色の皮膚をした顔に戻っている。
(こいつは・・・もしかしたら・・・)
マサムネは、レリーフ全体に唾液を塗りたくった。
解説しよう。
マサムネの身体は、世界樹の葉を食べまくったことで、歩く万能薬となっている。
つまり、マサムネの体液はどんな状態異常も治す薬なのだ。
唾液を塗った箇所が光り出す。
「・・・・・・ここは・・・・?」
「うお、やはり生きていたか。ここは嘆きの遺跡の地下10階だよ。なんか置物になってたぞ。名前はわかるか?」
「・・・ゼノン・・・・もしかして・・・あなたが助けてくれた?」
「まあ、そうなるな。でも、気にしないでいいぜ。最初は、甘いものと思っていたからな」
「・・・・ありがとう・・・あなた、不思議な恰好をしているな」
「へへへ。この一張羅は、さっき竜から貰ったんだぜ。イカすだろ!!」
マサムネは、股間の竜をゼノンに見せびらかす。
「・・・竜!?・・・殺されなかったのか?・・・・オイラは右腕を持っていかれた・・・」
よく見るとゼノンは右の肩から先がなかった。
「おお、これは痛そうだな・・・。でも、心配すんなツバつけときゃ治るからよ」
言って、マサムネはゼノンの肩に唾液を塗りこむ。
なんと、失われた筈の腕が元通りに復元されていく・・・。
「・・・・・すごい、オイラもう、ずっと片腕だと思っていた・・・ありがとう。ありがとう。良ければあなたの名前を教えてくれないか?」
「おれは、マサムネ。ただのマサムネだ」
「マサムネか・・・もしかして・・・いや、なんでもない」
「そうか。地上に戻るが一緒にくるか?送るぜ!!」
こうして、マサムネはユニバースに来て5年目にして旅の仲間ができたのである。




