第四十五話 マサムネ式ダンジョン攻略法
「ぺっぺっぺっ!おれは、バカか・・・先へ進もう」
レリーフを舐め終えたマサムネは、下の階へ降りることにした。
降りる階段を探して辺りを見回すと、中央の魔法陣が気になって来た。
「もしかして、これ最下層までつながってね?」
魔法陣から魔物は召喚される。その仕組みはわからない。
だが、マサムネには、ミノタウロスの登場が下層からエレベーターで上がってくるかのように見えたのだ。
とすると、このすぐ下の階にも同じ位置に魔法陣があるハズ。
「試してみる価値はありそうだな」
マサムネは自信満々にその場で跳躍、天井付近で半回転し、思い切り天井を蹴った。
「うおりゃああああ」
壁を蹴った反動を利用して、マサムネはそのまま魔法陣に斧ごと突っ込む。
11階、12階、13階、14階、15階、
マサムネは、床をぶちやぶりどんどん下層へと落ちて行く。
16階、17階、18階、19階、20階、
10階以上、壁をぶち破っても落ちる勢いは止まらない。
「よっしゃ、この勢いなら最下層までまっしぐらだ!」
▼▼▼▼
ワシは竜だ。
運命神エスタより、創造された。
ユニバースでもトップクラスの戦闘力を持つ生物・・・らしい。
らしいというのは、あまり他の生物と戦ったことがないからだ。
運命神曰く、平時はこのダンジョンの最下層でゴロゴロしていていいとのことだ。
だが、もしもユニバースに悪しき野心を持つものが現れた際にはその武力を持って撃滅せよ。
という命令を受けている。だが、未だそんな指示はない。ユニバースは平和なのだ。
何年か前に、10階層の転移魔法陣が開いていたものだから、嬉しくてつい転移してしまった。
そこには、驚いた顔でワシを見つめる人間たちがいた。
そらあテンションあがりますがな。しかし、初めて運命神以外の生物に会ったものだから、距離感がわからんかったのだ。話しかけようにも上手く言葉にならず、気づいたら全員ひれ伏せてしまっていた。
こりゃいかん、そこからテンパってしまい、うっかり反重力破壊砲を放ってしまったというワケじゃ。
その場にいた冒険者は右腕が千切れた者や、失禁するぐらいビビっている者もおり、本当にすまないと思っている。運命神にもこっぴどく叱られたわい。
同じ間違いは二度とせん。あれから人間は一人もここまで来ておらぬが、もしもこの地下30階層まで来るような冒険者が現れたら、友人になりたいと思う。といっても、喋ろうとしたら重力波を出しかねないので、
初めは黙ってニコニコしていよう。沈黙は金。なんて言葉もあるくらいだ。
うん、今日は何か上層が騒がしいな。何かが来たのか?
竜が来訪者に胸ふくらませたその瞬間、地下29階層の床が崩れマサムネが落ちてきた。
そして、そのまま30階層の床も破壊し、落ちて行った。