第四十三話 進撃のマサムネ
「ふいーやっと着いた」
マサムネは、賢者スノウの言われた通り、南西に真っすぐ進むと何やら遺跡みたいなものが見えてきた。よく見ると『嘆きの遺跡はここだよ』と親切に看板が用意されている。
遺跡の入口にはヒゲを生やした親父がいた。
「おお、冒険者かい、ここは受付だ。スキルカードを見せてくれ」
マサムネはヒゲ親父にスキルカードを見せる。
「へえー初心者なのに、操斧術が使えるのか、大したもんだな。斧って良いよな。剣よりも一撃の威力が段違いなんだぜ。まあ、使い手が俺のようなおっさんばかりだから、憧れるヤツがいねえんだが・・・。おめえさん、顔はまあまあイケてると思うぜ。頑張って斧使いの星になってくれよ!!」
(この親父、初対面なのにかなりのコミュニケーション能力の使い手だな。だが悪い気はしない)
「ありがとう、おやっさん、初めてのダンジョンで緊張しているんだ。何か気をつけないといけないことはないか?」
「そうだな・・・この遺跡は全部で地下30階層まであるんだが、初心者は10階層を目安に攻略するといい。経験値がっぽり稼げるぜ。ただな、数年前に兄ちゃんみてえな、初心者パーティがもぐってな、10階層に竜がでたっていうんだ。結局、パーティメンバーの半分は帰ってこなかった・・・。いま思い出しても嫌な話だったぜ・・・。兄ちゃん、少しでも危ないと思ったら引き返すんだぜ」
特に身のあるアドバイスはなかった。
「わかった。気をつけて進むよ。ありがとう、おやっさん」
こうしてマサムネは遺跡へと足を踏み入れた。
「不思議な雰囲気の男だったなあ・・・しかし、大気圏突入ってどんなスキルだ?」
ダンジョンに入って少し進むと骸骨のモンスターが現れた。
が、マサムネは斧を使うまでもなく素手で蹂躙していく。
また、階を進むごとに弓矢や槍、毒ガスなど凶悪な罠がマサムネを襲った。
が、これも得意技である、永遠なる豚野郎でなんなくクリアしていった。マサムネに逃げ傷は一つもなし。
そんな訳で、あっという間に地下10階層に着いた。
「ここが中ボスエリアか」
迷いなく、マサムネは扉を開ける。
瞬間、扉の上からものすごい勢いでシャッターが降りてきた。
「甘いわ!!」
マサムネは、落ちてくるシャッターを余裕でかわし、シャッターの側面に回し蹴りをあびせる。
シャッターは凹んだまま、マサムネが来た道に吹っ飛んでいく。
部屋の中心で待機していたミノタウロスは、どん引きしていた。