第三十六話 ダンジョン探索
遺跡の中は入り口から数メートル歩くと暗闇になる。
窓がないダンジョンなのだから当然だ。
「フレイムトーチ 」
クラノスケは、火魔法で光の玉を頭上に浮かべる。
松明を灯しても良かったのだが、片手が塞がっていては、戦えない。
フレイムトーチならば1回で30分くらいは、光の玉を宙に浮かべられる。
便利な魔法だ。
明かりは、クラノスケを中心に周囲5メートルぐらいまでを照らしている。
周りが見やすくなっているが、どうやらこのダンジョン1階層はまだ一本道のようだ。
数十メートル進むと暗闇の奥から何かが出てくる。
鎧を着た骸骨が、現れた。
「エイ!エイ!エイ!」
骸骨が現れたらいなや、ビビが矢を発射する。
ズガン! ズガン! ズガン!
放たれた三本の矢は骸骨の額、左胸、股間に命中し破壊した。
「・・・・すごい威力だ・・・ 」
ゼノンは思わず声をもらしてしまった。
「この弦がいいのよ。女性のチカラでも簡単に引けるんだけど、威力は普通の弓よりも2倍になるんですって 」
「そうなのか、材料は何でできているんだ? 」
クラノスケが尋ねる。
「知らないわ。貰ったものだから。 」
ビビは満面の笑顔で答えた。そこで会話が途切れる。
「・・・次が来た・・・」
倒した骸骨の奥から新たな骸骨が出現する。次は3体だ。
「ビビは右を頼む、ゼノンは左、俺は真ん中をやる! 」
指示を出した後にクラノスケも飛び出す。真ん中の骸骨は剣を振りおろしてくる。
ガキィ
クラノスケも剣のはらで受け止め、刀身を滑らせながら相手の剣を払う。
骸骨は態勢を崩してよろめく、
その隙にクラノスケは骸骨の首目掛けて上昇志向を叩き込む。
斬るというよりかは、叩くという感じだ。手ごたえ・・・あり。
クラノスケの一撃で骸骨の頸部は砕けた。
同時に、ビビは右の骸骨を先ほどと同様に急所を射抜き、
ゼノンは近距離闇魔法で左の骸骨を粉砕していた。
「あなたやるわねぇ。普段オドオドしているけど、やる時はやるタイプなのね 」
ビビがゼノンを褒めると紫色の顔が、たちまち赤くなっていく。
(照れた顔・・・気持ち悪いな。歯並びが悪いし)
クラノスケは心の中で悪態をついた。
「クラノスケさんも指示がお上手でしたよ。ふふふ」
「ありがとう、エステル、じゃあこの調子でドンドン進めて行こう」
エステルに褒められて士気を上げたクラノスケは、その後も出てくる骸骨を倒し、地下10階層までスムーズに進んだ!
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