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ユニバース!  作者: ふぁい
第参章 もう一人の異世界転移者編
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第二十九話 ネガティブな拳

すいません、更新が遅れました!

長い、賢者モードから解き放たれます!

クラノスケとゼノンは悲鳴が聞こえた方へ向かった。


ガサガサガサガサ、

茂みをかき分けた先に出る。


女性がゴブリンに襲われている。

ざっと6体程度。ゴブリンたちは、一人の女性を囲み、

カバディのような動きをしている。


「ゴブディ、ゴブディ、ゴブディ」


「大変だ、早く助けないと!ストーンバレット!」



クラノスケの手から射出された石は、6体のゴブリンに見事命中した。


「よし!楽勝だぜ・・・?なんだアイツは」


ストーンバレットで吹き飛ばしたゴブリンの後ろから、

のっそりと大きめのゴブリンが現れた。

見た所、ゴブリンをちょうど倍にしたようなぐらいの背丈だ。

右手に鉈を大きくしたような禍々しい武器を持っている。


「ボスキャラってわけか、ゼノン、おれがあのデカブツを抑えている間に、彼女を助けてくれ。頼んだぞ」


異世界に来て、クラノスケがやりたいシチュエーションその1だった。

所謂、俺に任せて先に行けというやつである。

お約束のパターンでは、引き受けた者はだいたい死ぬのだが、クラノスケはそんなつもりは毛頭ない。

美味しいところを総取りする気マンマンだ。


ボスゴブリンは、襲われている女性へと、持っている武器を振り下ろす。

ブオン、ガキィ


上昇志向アップテンポの自動追尾機能のおかげで、クラノスケは、

女性とボスとの間にすべりこみ、鉈を受け止めることができた。


(よし、これくらいなら受け止められるぞ)

クラノスケが少し安堵したのもつかの間、

ボスゴブリンは、両手で鉈を振り上げた。


(マズイぞ、あれは両手持ち・・・威力が倍になる)


ブオン!!ガキィ


ボスゴブリンからの2撃目。クラノスケは何とか受け止める。

瞬間、クラノスケの足が少し地面にめり込む。

(なんてパワーだ。攻撃をいなすだけで精一杯、反撃ができない)


「ゼノン!長くは持たない、早くこの人を連れていくんだ」

クラノスケに逆転の秘策はまだない。だが、ピンチになればなるほど、

先に行けという言葉に渋みがでる。初めての経験だが、クラノスケは直感的に悟った。

いいよ。今のおれ、とてもカッコいいよ。


だが、秘策は思いつかない。


ボスゴブリンの追撃、追撃。攻撃の軌道がそれても、受け止めることは容易い。


「クラノスケ、ヤバくね?アイツ笑ってるけど地面に腰ぐらいまでめり込んでるぞ」


ゼノンは女性の所までかけつけたが、クラノスケが心配で逃げることはできない。

このままだとクラノスケが地面に埋まってしまうと考えた。


(オイラがなんとかしないと・・・) 


ゼノンは決意した。よく見たら、ボスゴブリンの脇腹はずっと隙だらけだ。

闇魔法は届かない、ならばこれしかないではないか。


「うおおおお、これでもくらえええ」

ゼノンは拳を握りしめ、渾身の力を込めてボスゴブリンの脇腹を殴りつけた。

右手が入れば、左手、間髪入れずに右手、左手、右手!!

ゼノンの渾身の連打は、ボスの脇腹に当たった。鈍い音が森に響く・・・

しかし効果はなかった。ボスゴブリンにはノーダメージだ。


睨みつけられるゼノン。

ボスゴブリンは、鉈を振りゼノンを吹き飛ばした。


近くの木まで吹き飛ばされるゼノン。

ぶつかった衝撃で木が折れてしまう。


(痛い・・・これは痛すぎる・・・だが一瞬の隙は作った筈・・そうだろ、クラノスケ!!)


ゼノンは、自分の攻撃でボスが倒せるとまでは思っていなかった。

だが、弱くてもできることはある。隙を作るんだ。

攻撃を自分に向けさせて、ボスの視界からクラノスケを消す。

勘のいい相棒なら、それで充分なハズだ。


だが、クラノスケは地面にめり込んだまま一部始終を見ていた。

そう、ただただ見ていた。

戦いに慣れていないクラノスケに一瞬の隙を突くことなど、まだ無理だったのだ。


ゼノンの拳が痛みだす。木に激突した背中の傷もうずく。身体中が重い。これが・・・失望なのか。

ゼノンは初めて他人にガッカリした。

こんな悲しい、ツライ想いを家族にさせてきたのか・・・。

ゼノンは、痛みで気を失いそうになりながらも、なんとか自分を奮い立たせる。


逃げてはならない。逃げるのは簡単だ。たぶん、女性となら逃げることは可能だろう。

だがクラノスケはどうなる。相棒と言えるほど、阿吽の呼吸はまだない。

が、彼は自分を仲間だと言ってくれた。こんなグズ木偶の坊ゲロ野郎にだ。

その心意気に応えたい。


(オイラがなんとかしないと、なにか・・・)

ゴブリンはまたも鉈を女性に振り下ろす、

それをクラノスケが受け止める。


(まだ、足は動く・・・)


ゼノンは、最後の力を振り絞って、ボスゴブリンに突っ込む。

狙いは先程と同じ隙だらけの脇腹だ。


「うおおおおお」

ゼノンの血まみれの拳が、ゴブリンの脇に入る。

そしてーー


「デッドリーヘル!!」

零距離で、ゼノンはボスゴブリンに闇魔法を打ち込む。

手のひらから放たれた闇の衝撃は当たると同時に、

ボスの巨体を回転させ、吹き飛ばした。


ズガガガガ


その衝撃で、近くにいたクラノスケも吹き飛ぶ。

さらに、逃げ遅れていた女性も吹き飛ぶ。


ゼノンを除く全員が、木にぶつかるまで吹き飛んだ。

お読みいただきありがとうございました。

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