第二十四話 後始末
その後、マサムネが煉獄の炎を起こし、
エンドバクタ中の氷が溶かされていった。
氷漬けになった人々も、ほぼ全員無事だった。
氷が溶けた後、少しのリハビリを経て、
今は無事に今まで通りの生活をしている。
マサムネが放った地走りの射線上にいた人々は、
奇跡的にいなかったので、死者はゼロだった。
マジメに生きていればいいこともあるもんだ。
とマサムネは思った。
「マサちゃん、本当に行くんだね?」
マサムネの目の前には、元気に微笑むアイムールの姿が。
アイムールも街のみんなと同様、氷が溶けると元取りになった。
マサムネは事情を説明し、壊れたドアとかを物的証拠に、
自分がどれだけアイムールの為に頑張ったかを伝えて、エロい要求をした。
現在は事後である。
「アイムール、ありがとう。今回の件でたまたま魔法が使えなくても上手くいったけど、
やっぱり自分の実力不足を痛感したよ。だから行く、魔法神に会いに。
全て終わったら・・・・戻って・・・くるから・・さ。だ・・がら・・・まだあっでねぇぇぇ」
堪えきれずマサムネは泣いた。
大事な所でクールに去るぜができない男なのだ。
アイムールも泣いていた、訓練官のゴンズも後ろで泣いていた。
受付嬢のシェリーとロザリーは泣いていなかった。
「わかったわ。アタイ待ってるから、マサちゃんが帰ってきてギルドマスターになるの、
待ってるから。行ってらっしゃい」
アイムールの言葉を背中で聞きながら、マサムネは、門の所へむかって歩き出した。
また新しい、冒険が始まるのだ。
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「そうですね。マサムネ君はリサナウトの形状変化まで覚えましたよ」
マサムネが旅立つのを、ギルド館の屋上から見守る男ーー会計係のヤグルシだ。
ヤグルシは、空に向かって話している、知らない人が見ると、そっと目を伏せる光景だ。
「いやあ大変な任務でしたよ。転移者が来るからそれまで街の住人に溶け込めって言われても、
5年ぐらいこないし・・・。本当にそんなヤツいるのかなって思っていましたよ。
まあ、長年いると住民に愛着も湧きましたし、助け甲斐があったってものですけど・・・。
久々に空間魔法を使いましたよ。氷漬けの人たちは全員避難させました。
無茶苦茶に斧ふりまわすんだからあの人。 でも面白い存在ですね。
なんで戦う時だけ全裸なんでしょう。ではまた、報告します。エスタ様」
留守番電話にメッセージを入れる要領でヤグルシは、独り言を終えた。
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「おお、ウリゴメ!!久しぶりだな!」
マサムネは、入り口で門番のグランツェと話をしている。
3ヶ月の間にグランツェから、海亀、ウリゴメと呼び方が進化している。
仲良くなった証拠だ。
「おう、マサムネ、アイムールから聞いてるよ。旅立つみたいだね。
達者でな。元気でやれよ。また、戻ってきたらさ今度は捕まえないからさ」
と、グランツェはふざけながらマサムネに別れの言葉を伝えた。
「・・・そういえばさ、なんであの時俺を捕まえたんだ?」
マサムネは笑顔でグランツェに質問した。
「ははは、あの時のお前は、見た目が怪しすぎだったろう。
いくら魔界九家が街から嫌われているとはいえ、あの見た目じゃあ・・なあ。
なんで急に真顔になるんだよ。怖いぜ、マサムネー
マサムネ?なんで近づいてくるの?マサムネ?」
マサムネは、戦斧でグランツェの首を切断した。
「門番としての判断力が全然ないな。使ってない頭はいらないよ」
そう吐き捨て、マサムネは荒野へと歩き出した。
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